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항아리 hangari はんあり

韓国俳優キム・ミョンミンに関するインタビューや記事の日本語翻訳ライブラリー
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コツコツ翻訳

韓国ドラマ「トッケビ」小説 コツコツ翻訳33 見つけた、悲しい愛 찾았다, 슬픈 사랑(完)





年2月25日からスタートしたコツコツ翻訳。
まあ夏には終わるだろうと高をくくっていたのですが・・・
あれれ、予想以上に時間がかかりました。
読んでいただいていた方には申し訳ありません・・・

この本はいわば「トッケビ」解説本
ドラマだけ見ても十分素晴らしいドラマなのですが
本を読むとさらにその世界観が理解できる、作家の意図を読み取るのに
助けになります。
時間かかったけど訳してよかった~

またこんなドラマ、小説に出会えることを期待しつつ・・・
コツコツ翻訳ひとまず終了です。


P345
見つけた、悲しい愛 찾았다, 슬픈 사랑
チャジャッタ スルプン サラン


ウンタクが去ってから30年後。
死神に最後の名簿が出た。長い罰の終止符だった。長い間留まっていた邸宅で荷物を整理した後、死神は最後の名簿を開いて見た。

キム・ソン。考えてもみなかった名前に涙がにじんだ。便りは出さないと言ったのにこのように便りが来た。キム・ソンの名簿を握ったまま死神はリビングに出た。死神の最後の出勤を見送ろうとトッケビがリビングに出てきた。長く待つ間、死神がいてくれて、退屈ではなかった。




P346
 「気を付けて」
 「元気で」
 「いつでも、どんな姿であっても幸せに」
 「これまで世話になった。雨を降らせないように」
 「心配するな。別れは俺の長い業だから」
そのように言いながらもトッケビは目頭を熱くした。罪の償いをすべて果たし気楽に立つ日なので笑いながら送りださなければならないのだが寂しい気持ちはどうすることもできなかった。ある時は彼の主君であり、今は彼の友だった。その次もあることをトッケビは願った。お互いの心をはっきりと読み取る二人はそれ以上話すこともなくしばし沈黙した。
 「あとで茶屋に来てくれ。規則をもう一度破ってみようかと。どうせ行くのだから。」

普段よりもパリパリとアイロンのかかった黒いスーツ姿の死神が座って待っている茶屋のドアが開いて1人の老女が歩いて入ってきた。サニーだった。茶屋に足を踏み入れた瞬間、老女は死神が知っている若い時のサニーの姿になった。震える目で死神が彼女を見た。相変わらず見るだけで震え、涙が出る死神だった。サニーがかすかに笑った。
 「少しも年とってないのね。相変わらずイケメンで、元気だった?」
 「便りは出さないって言ってたのに」
P347
 「うっかりしてたのよ。私が出会った男が死神だったってこと。この知らせがこっちへ来ると思う?」
 「・・・会いたかったです」
 「そうだと思ったわ」
サニーもまた死神に会いたかった。死神もサニーもこの世を生きる間、お互いが恋しかった。死神はサニーの手をそっと握ってポケットから玉の指輪を取り出した。この世で再び会うのはよそうと言いながらサニーが死神に返したものだった。
 「一度、きちんとはめてあげたかったんです。あんな風に乱暴にはめてしまってすみませんでした。」
玉の指輪がサニーの指にぴたりと合った。サニーが泣きそうになりながら笑った。とても会いたかったと、今度はサニーが告白した。
 「サニーさんが、私が見送る最後の亡者です。」
 「そうなのね。じゃあその次は?私たちどうなるの?こんな風にハッピーエンドかしら。私たち?」
 「サニーさんは3回目の世です。」
自らの世は見ることができなかった。2度の世はすでに分かっていた。しかし3回目の世かも知れず、最後の世かも知れなかった。二人の目が曇った。来世に再びサニーと会って、その時は絶対にはずれのない幸せな結末にしたかった。茶屋の窓の外にトッケビが来ていた。彼とサニーの目が合った。
 「相変わらず兄は眼中にもないのだな」
嬉しくて寂しくて不憫ないくつかの感情が絡まった。サニーは久しぶりに会う兄に向かって笑った。
 「こんな風に顔を見て行くことができて嬉しいわ。」
 「いい友をもったおかげだ」
 「兄さんを置いて先に行くのを許してね。元気で。兄さん。いつかまた会いましょう」
 「幸せにな。不器量でかわいいやつ」
おぼろげな目でトッケビがサニーに惜別の挨拶をした。死神がサニーの手を握って席から立ち上がった。二人一緒にトッケビに最後の挨拶を交わしドアを出て共に笑顔で階段を上がった。
トッケビは随分前、サニーを通じて二人の未来を見た。おそらく来世であっただろう。どんな悲しみもなく明るく笑う二人の姿がトッケビの目に浮かんだ。時期が来るたび寺に登り灯明を上げると、トッケビはいつも遠い世に妹と主君が再び出会い、その世で幸せであることを願った。その願いが成就するであろう。来世の二人は間違いなくハッピエンドだった。
P349

妹も、友も、新婦も去り、1人残されたトッケビは蕎麦の花畑をゆっくり歩いた。季節は数多く変わった。ウンタクが残していった赤いマフラーをしたり、ウンタクと踏んだ紅葉を踏んだり、雪を降らせたり、雨を降らせたりもしながら、トッケビはずっと時間を歩いた。その終わりに2度目の世のウンタクが現れるのを待ちながら。どんな姿でくるのか、どこからくるのか分からずいつも緊張して楽しみだった。
高麗から今に至るまでそうであったようにトッケビは数十年に一回ずつ住む場所を移した。慣れたことだった。そばにいる人も変わった。幼くて分別のなかったトックァも自分の祖父がそうであったように老人になって自分の孫をトッケビに紹介した。誰かの死が、悲しみが慣れないままトッケビに留まり、いつも寂しかったが、ウンタクを待つ人生なのでウンタクがいなくてもずっときらびやかだった。
トックァの孫が大きくなって老人になり彼のそばにいた。コートを準備して出かける支度をするトッケビを見ながら白髪の交じった彼が聞いた。
 「どちらへ行かれますか?ナウリ」
 「散歩しようかと思って」
P350
 「あちらの大通りは避けてください。韓国から学生が旅行に来ていてうるさいですので」
彼の言葉にうなずきながらトッケビはホテルを出た。
プラハ、パリも良かったが、ケベックのホテルは彼が最も泊まるのが好きな異国の地だった。ウンタクとの思い出が一番たくさん残っているためだった。見通しのよい平原の風景はウンタクがいた時と大きく変わっていなかった。墓標が少し古くなって、少しだけ増えただけだった。
自分の古い墓標に寄り掛かって座りトッケビは本を広げて一枚ずつページをめくった。そよ風が頬をくすぐった。本から視線を離し、顔を上げ風景を眺めた。いつ見ても毎日少しずつ違う雲の形が、日が暮れる空の色が美しかった。美しくて、トッケビの人生で一番美しいものたちが恋しくなった。
ウンタクがプレゼントしてくれた腕時計の秒針の音がひときわ大きく聞こえた。感覚が敏感になっていた。誰かの息が噴出したたんぽぽの胞子ひとつ、ひとつトッケビの視野にだんだん飛び込んできた。柔らかい表情でゆっくりまばたきするトッケビの背中の後ろに影ができた。影の周辺にも胞子が雪のように降った。
顔を上げてみた。ウンタクだった。
P351
制服を着たウンタクが丘の上から一歩ずつ降りてきていた。二度目の世のウンタクの名前はパク・ソミンで、彼は依然としてキム・シンだった。トッケビはその場で立ち上がった。
 “千年、万年続く悲しみがどこにある。千年、万年続く愛がどこにある”
 “わたし、あるに1票!”
 “どっちに1票だ?悲しみか、愛か?”
 “悲しい愛”
1日が千年のようだった。毎日繰り返される千年を耐え抜くと、ウンタクが本当に約束しを守ってくれた。明るく笑いながらトッケビを見つめるウンタクの目に涙が溢れそうになった。そんなウンタクを見るトッケビの目頭も熱くなった。優しくその歩みを見守った。
すぐ目の前まで近づいたウンタクが感激で胸いっぱいな声でトッケビを呼んだ。
 「おじさん」
トッケビの目から涙がぽろりとこぼれた。
 「私、誰だかわかるでしょ」
トッケビがゆっくりとうなずいた。
 「最初で最後のトッケビ新婦」
”내 처음이자 마지막, 도깨비 신부”
ネ チョウミジャ マジマッ トッケビ シンブ
※(ネ=私の、という意味ですがあえてここは訳さず)
 
終わり



※誤字脱字ばかりだったと思いますが、最後まで読んでいただき
カムサヘッスミダ~감사했습니다.

10 Comments

そら says..."完結おめでとうございます!"
長い長い翻訳、本当にお疲れ様でしたー☆
最後の翻訳をドキドキしながら読ませていただきました。
SAMTAさんのお陰でドラマと小説の両方を堪能できて、
ますますトッケビというドラマの素晴らしさを噛みしめています。

死神とサニーの来世は小説では描かれなかったのでしょうか?
刑事と女優で出会って恋に落ちるエピソードも私の好きなシーンでした。
死神のときは恋する小学生のようにサニーの前ではドギマギしてたのに、
生まれ変わったらクールなわりに意外に肉食(?笑)なオトコに
なってるし^^
イ・ドンウクさんは王様と死神と刑事を上手く演じ分けてましたよね。

トックァに孫が出来てるってことはトックァも大切な人を見つけたんですね。
孫にトッケビおじさんが囲碁を教える話とかもあれば楽しかったのに~。

来年DVDが出るということですがなかなかお高いですね。。。
今まで高くてDVDを買ったことないのですがトッケビだけは欲しい!!
と思っていましたがあまりに高額で躊躇してしまう。。。うーん

今は六龍が飛ぶの視聴で忙しい(SAMTAさんの六龍の記事多すぎです笑)
のですが、落ち着いたらまた何度もトッケビ翻訳を読み返させて
いただくと思います。
読めば読むほど面白くてまたコメントちゃうかもしれしません♪

長文失礼いたしました。
2017.11.27 20:27 | URL | #- [edit]
ムスカリ says...""
SAMTAさん

翻訳完結。有難うございました。

毎回、様々な思いや気持ちを喚起させてくれる内容で
読みごたえがありました。

トッケビ、映像と翻訳文で堪能しました。
脚本、俳優、映像、音楽どれもよく、素晴らしいドラマでした。

これからも、色々教えて下さいね。      ムスカリ


2017.11.27 23:52 | URL | #- [edit]
SAMTA says...""
そらさん
ありがとうございます~!
お待たせしましたがやっと完結しました~!

そうですね。
小説の方はトッケビとウンタクの二人の世界に集中して描かれたので
残念ながら死神とサニーの来世の部分はありませんでした。
残念!
ドラマではスパイスの役割を果たしたトックァも小説ではあまり出てこなくて
これまた残念でした。
いいおじいちゃんになったんでしょうね(*^^)v

DVDはどうしても日本だとあのくらいしてしまいますね。
まずはレンタルでどんな感じに訳されているか確認されてから
決断されてもいいかもしれませんね。

あ、「六龍が飛ぶ」ダントツで記事多いです(笑)私もびっくり!
気付かないまま毎回上げてたらあんな風になってしまいました(^^ゞ
ドラマだと毎回リアルタイムで視聴できるし
話数が多いとそれだけ記事も増えますね~
それが楽しみでもあります。

トッケビ翻訳は終わりましたがここのはんありはまだまだ続きますので
また何か機会がありましたら、せひ気軽にお越しください。
お待ちしています☆
2017.11.28 19:25 | URL | #fyi.zixU [edit]
SAMTA says...""
ムスカリさん

ありがとうございます。
ここまでクオリティの高いドラマに出会うことは
そうないですけれど
ドラマと本の両方で楽しんでいただけて
私も訳した甲斐があります!

またこんな感じでドラマを楽しむチャンスがあるといいですね(^_-)-☆
※もちろん、ウリペウニムで!

2017.11.28 19:28 | URL | #fyi.zixU [edit]
ミシマエリ says..."読みごたえあり、友達にもお勧めしました"
最終回までたっぷり楽しませていただき、ありがとうございました。ちょうど紅葉の季節。赤い紅葉を拾ってはストーリーを思い浮かべたりして…。観てよし、読んでまたよし。本当にありがたかったです。すっかりはまりこんだ私はついにメープルの苗を注文し、近々庭に植え付けようと計画しています(笑)
2017.12.04 20:01 | URL | #- [edit]
SAMTA says...""
ミシマエリさん

最後まで御付き合いいただきまして、ありがとうございました。
メープルの苗!ステキです☆
毎年秋にトッケビの特別な紅葉を楽しめますね。
うらやましいです~(^_-)-☆

私は日曜からなごり紅葉を見に京都に行ってました^^;;
カナダの紅葉と日本の紅葉とでは、やはり趣が違いますね^^

2017.12.06 20:30 | URL | #fyi.zixU [edit]
蒼子(あおね) says..."偶然見つけて読ませて頂きました"
はじめまして
今年の春にテレビ東京の放送でトッケビを観て、
6月からコツコツと二次小説など拙く書かせて頂いている
あおねと申します。

当時、随分探したのですが、小説版の翻訳は
残念ながら見つける事が出来ず。
初夏に訪ねたソウルで2冊の本を手に帰国したものの、
これまた初心者の域を出ない(つっかえながらハングル文字が読める程度の)
私の韓国語能力にはエベレスト並みの山谷・・・・・・。
いつの日か読めるよう夢見て韓国語の勉強、という状態でした。

昨日、自分のブログのために調べ物をしていて、
偶然こちらの翻訳とブログに巡り合い、夜なべして
読ませて頂きました。

私が読みたかった、物語の背景が小説にはとても丁寧に
描かれていたのだと知りました。
仰る通り、小説と言う名の解説書のように感じました。

大変な長い時間と労力をお使いでしたでしょうに、
公開してくださってありがとうございます。

心から感謝します。

そして、こちらをお借りして恐縮ですが、もし差支えなければ、
こちらのブログを私のブログの方で紹介させて頂きたいのですが、
いかがでしょうか。
ご検討宜しくお願い致します。
2018.11.01 09:11 | URL | #- [edit]
SAMTA says..."ようこそ~♪"
蒼子さま

わ~、感激です。
こんな誤字脱字の多い、しかも全然日本語になってない訳を読んでいただきまして、
感謝です。

そうそう、まるまる10か月ぐらいはかかったかもしれませんね(^^ゞ
私もトッケビにはどっぷりはまり、
しばらく抜け出せませんでした。
今も韓国ドラマの最高峰だと思っています。

小説訳、こんなのでよろしければ、せひリンク貼ってください。

ちゃんとした日本語の小説になってない部分も多々あってお恥ずかしいですが
愛情だけはたっぷり注いで訳しました^^;;

個人的には、この2冊を訳し切ったことが少しは自信にもなり、
これから韓国の優れた小説を少しずつ訳して行こうかな~などと
大それた野望(笑)も持ち始めたりしております^^

本当にありがとうございます。

あ、そうそう言い忘れました。
二次小説を書かれていらっしゃるんですね!
すばらしい~
私は創造力が皆無なので、自ら創作される方は尊敬いたします~(^_-)-☆

2018.11.01 21:00 | URL | #fyi.zixU [edit]
蒼子(あおね) says..."ありがとうございます♪"
快くご承知頂きまして、ありがとうございます!
ストーリーと名のつく物に挑むのは小学校の時の宿題以来です(笑)
直ぐに挫折と思いきや物語の深みからゆるゆると続いております。

私は英語を勉強した時に、学校では大嫌いだった長文読解を
気になる小説の翻訳1冊で克服した経験があります。
なので、2冊を訳しきられたことで自信がついたとおっしゃるのは
本当によくわかります。私も、いつかこの2冊を読み切れることを
一つ目標にしていますが、遠い先のことになりそうです。

これからもブログの方に、ちょくちょくお邪魔させて頂き、
色々ゆっくり読ませて頂こうと思っています。
どうぞ宜しくお願い致します!
2018.11.05 08:38 | URL | #Zxm0ZDXY [edit]
SAMTA says...""
蒼子さま

やはり~語学の勉強に「長文読解」が欠かせませんね。
私は英語は挫折しましたが
韓国語はひたすら片っ端から文章を読み漁り
なんとかここまでたどり着くことができました。

韓国語もぜひぜひ頑張ってください。
そしてまた、お時間ありましたら覗いてみてください^^

こちらこそご紹介いただきましてありがとうございます♪
2018.11.07 18:28 | URL | #fyi.zixU [edit]

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