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2017-10

韓国ドラマ「トッケビ」小説 コツコツ翻訳23 運命 운명 - 2017.10.01 Sun




ペロリン黒い舌が気持ち悪いがどことなくかわいさもある(笑)パク・チュンホン。
ついに死神の正体が!


ラマでは12話。いよいよ佳境。
セリフも一言一言がせつなくて悲しくて
訳しながら思わず泣きそうになります・・・・


とくに死神とサニーが・・・ううう(T_T)


P193
運命 운명

重みの出たトックァのためにトッケビもいいおじさんになってあげることにした。トックァが来るといってたくさんの食事を準備しているトッケビを見て悲しみをうまく乗り越えたようで幸いでもあったし、また急だったがトックァがうらやましくもあった死神だった。
 「トックァがうらやましい。おじさんもいて」
トッケビがあきれて眺めると死神が手を横に振った。
 「気にするな。俺はちょっと最近、なんかわからないけど羨ましいんだ」
 「ちゃんと話しろよ。羨ましいのはおじさんか。すごくイケメンのおじさん・・」
トッケビの言葉が急にぷつりと切れた。瞬間だったがかすかにゆがんだような視野の中に幼いヨの顔が浮かんだ。






P194
死神と重なった主君の顔にトッケビの顔がゆがんだ。不吉さにトッケビは拳をぎゅっと握りしめた。
 「お前・・・死神になったのがいつぐらいだって言ってたっけ?」
 「300年ぐらいになるんだけど。なんで?俺に何かついてる?」
 「ただ、ほんの少し、お前に以前見えなかった顔がくっついてて」
そうなってはだめだった。トッケビは顔を横に振った。
 「誰。どんな顔?」
 「俺の目に見えてはならない顔」
訳の分からないまま眺める死神に歯ぎしりするようにトッケビが繰り返した。ちょうどトックァがおじさんを呼んでキッチンに入ってきたのでピリピリした緊張感が和んだ。そんなはずがないとトッケビは努めて残忍な予感を無視した。


大学入学後、最初の授業を聴く日だった。階段を踏み鳴らすウンタクの足音が軽快だった。新入生らしく目いっぱい着飾ったウンタクがトッケビの前でくるくると一回りした。
 「今日、開講!私大学生!開講パーティ!だから短いスカート!」
トッケビの片側の眉毛が上がった。さらさらした髪の毛が肩のあたりで揺れるとトッケビの心も揺れた。かわいくて愛らしかった。自分の気持ちとしては、いつ迫ってくるかわからない危険を言い訳に家の外に出ることができないようにしたかった。しかめっ面をしてトッケビが首を横に振った。
 「だめだ」
 「行ってきます」
 「トックァが連れていってくれる。今日は俺は違う先約があって。もしかして何かあったら・・」
心配不要とでもいう様にウンタクがカバンを開けて見せた。カバンの中にはマッチとライターが一杯だった。完璧でしょ?と聞くが、トッケビがウンタクの前に近付いた。
 「ひとつ抜けてる」
近付いたトッケビの声が低かった。まさに「その」タイミングだと思ってウンタクは反射的に目を閉じた。ウンタクの震えるまぶたが面白くてかわいくてじっと見つめていたが、ポケットに準備していたネックレス
を取り出した。カナダの橋で買ったネックレスは29才のウンタクが首にかけていたものだった。首の後ろに腕を回しネックレスをつけてあげて後に下がった。
 「目をなんで閉じてるのかまったくわからん」
 「あ!」
 「これで完璧だな」
期待していた口づけではなかったので恥ずかしいさに鼻をこすったウンタクの表情がネックレスを見て再び明るくなった。見たことのあるネックレスだった。
 「これカナダで。わ~感動的なんだけど。でもなんて書いてあるの?」
 「フランス語で天が決めてくれた運命という意味だ。人間の領域を超えた絶対的な運命」
 「私が好きな言葉なんだけど。運命。どうしてわかったのかな」
ネックレスのペンダントを手で触りながらウンタクが「運命」とつぶやいた。たとえ自分の運命が考え方によっては悲劇のように見えるといってもその運命がトッケビ新婦の運命だからウンタクは大丈夫なようだった。他の恋人たちのようにネックレスをもらったので運命的な恋人になったようで鼻歌が1人でに出た。
 「合コンはダメ。紹介もダメ。ロマン、ダメ。テヒ先輩ダメ。このネックレスの30cm内にどんな男も近づいたらダメだ。俺が考える運命はこういうことだ」
トッケビの断固とした言葉に鼻歌を口ずさんでいたウンタクがかなり残念そうに言った。それをするために大学に入ったのにという反発にもトッケビは断固としていた。そんなトッケビの小言が嫌ではなかった。嫉妬も独占欲を見せるのもすべて。ウンタクの気持ちも同じだったから。わかったと明るく答えウンタクが門の外に飛び出していった。
P197
トッケビが先約といって行ったところはチョヌグループの面接会場だった。トックァが持ってきた会社の書類の間にキャリア採用の履歴書があった。履歴書を出した人の中にトッケビの目にとまった者がいた。自分に最後まで従ってくれた部下、辛い気持ちを押し殺し胸に剣を刺した部下が同じ顔で転生していた。彼がチョヌグループに履歴書を出し縁がつながったことも運命といえば運命だった。
トッケビは面接会場でとても緊張したまま合格を祈っている男を見つめた。彼はある家庭の家長になっていた。スムースではない人生だったのか彼の姿はこざっぱりとしていたが、みすぼらしかった。トッケビは彼のそばに近付いた。くたびれた部下の姿をまるで戦場から戻ってきた時と同じように嬉しくて申し訳なく思った。
向かいの椅子に座ってうるんだ目で自分を見ている長身の男性を男も見た。視線を避けてもしきりと男性の視線がついてきた。そのようにトッケビは男が面接会場に入って行くときまでずっと男を見守った。
数日後、キム秘書、いや、もうCEOになったドヨンが男の合格の知らせを直接伝えた。合格の知らせだけでも男は飛び上がるくらい嬉しかったのに、なんと社長という人がやってきて家も、車も、会社が支給すると言って、何が何だかわからなくなった。大企業なので福祉がいいとしても、身に余ることだった。いったい自分になんでここまでしてくれるのかという質問に社長はただ面接がよかったのでしょう。といい、次には「前世で国を救われました」というわけのなからない事を残しただけだった。
嬉しくもあり家族に電話をかける男の姿をトッケビは屋上で優しい笑みを浮かべて眺めていた。彼の過ぎた人生では最後まで一緒に逝けなかったが、こんな風にでもしてやれて本当に幸いだと思った。
P198

いっぱいになったゴミ袋を捨てようと店の裏口を出たウンタクに裏通りに立っていた一人の男の子が「ヤ~!」と手のひらを広げて叫んだ。ううっ、ウンタクが本当にやられたふりをして後ずさりしてうめいた。ウンタクの呼応に少年はいたずらっぽく笑みを浮かべた。
いつか本当に手の平で風を起こし相手を投げ飛ばすことができると信じる少年は、少し前にウンタクが不良学生たちから助けたことがある子供だった。そんなもので相手を投げ飛ばすことなんてできないと少年をからかった学生らに腹が立った。トッケビもトッケビ新婦もいる世の中だった。今は幼くてか弱いおチビちゃんだがいつか本当に武術で相手を投げ飛ばすことができるかもしれなかった。
おチビちゃんに飴でもあげようと、エプロンの中を探すウンタクは悪の気配に肩を震わせた。舌が黒い鬼神が子供の後ろに近付いてきていた。ウンタクはすぐに子供を自分の近くに引き寄せた。子供はただ明るい表情でウンタクを見ていた。
 「遅いからもう家に帰って。おばあちゃんが待ってるから」
ウンタクが背中を押すと、聞き分けのいい子供がうなずいてウンタクの後ろの方に走って行った。走り去る子供が裏通りの先に消える時まで見守ってようやくウンタクは気を尖らせながら鬼神を見た。陰惨な気運が彼の周りにもやもやと立ち込めていた。20年鬼神を見て生きてきたが、こんなに気分が悪い鬼神は初めてだった。
 「また会ったな。あの時は挨拶もちゃんとできなかった。わたしはパク・チュンホンと申す」
パク・チュンホン!名前3文字にウンタクの足がふらついた。トッケビがキム・シンの人生を生きた時、彼に死ねと命令したのはワン・ヨであり、ワン・ヨがそのような命令を下すようにさせたのがパク・ジュンホンだと言った。この鬼神がまさにその者の名前を名乗った。
 「顔色を見ると、お前はすでにわたしを知っておるのだな」
 「知らないんだけど」
なんとか無視しようと店の中に引き返して入ろうとするウンタクをパク・チュンホンが放った名前が捕えた。
 「キム・シン、あの者が言わなかったか。わたしを殺したのが、あやつだと。キム・シンが受けた罰は命の重みだけ増えていく。その中にはわたしの命の価値もあるのだ」
 「何が望みなの」
 「そんなものはない。ただ面白い話をひとつしようというだけだ。わたしを、いやワン・ヨも知っているのだな。キム・シンの胸に刺さったあの剣はワン・ヨから賜ったものだ。この悲劇的な運命の始まりと終わりがまさにワン・ヨなのだ。そのようなワン・ヨが今誰と暮らしているか知っているか?」
 「そんなこと私が何で知ってるのよ」
陰惨な気運のせいか恐怖が襲ってきた。パク・チュンホンをにらみつけるウンタクの目が揺れた。
 「ワン・ヨは今キム・シンと一緒に住んでおる」
 「話にもならないわ!」
 「そうだ。名前もない死神。あやつがまさにワン・ヨだ。そのような二人がお互いを知るようになったらどうなるかな」
 「・・・・」
 「キム・シンが私を殺すか生かすかはお前の手にかかっているようだな。キム・シンの死がお前の手の中にあるようだ。ほほ。そのように考えて見るとお前は死を握っているのだな」
ぎゅっと握りしめたウンタクの握りこぶしがぶるぶる震えた。足から力が抜けて息をするのも大変だったが歯を食いしばって耐えた。死神、彼がワン・ヨであるはずがない。ワン・ヨだなんて話にもならなかった。奸悪な者の術に嵌らないようにしよう。ウンタクはしきりに繰り返したが、パク・チュンホンの言葉を聞く瞬間 自分もまた死神の顔を思い浮かべた。強烈な感覚だった。
 「勘違いしてるわ。わたしが知ってる死神は名前があるの」
キム・ウビン。ウンタクはすばやくドアを開けて店の中に入っていった。ウンタクが消えた場所にパク・ジュンホンは一人残った。奇怪にねじれて上がった口元がしだいに冷たく下がっていった。天界をさまようパク・ジュンホンの恨み、パク・チュンホンの望むことは、ただひとつだった。彼らの破局。
P201

日当たりのよいキャンパス ベンチ、死神とウンタクが自販機のコーヒーを手に持って向かい合って座っていた。死神は誰にも打ち明ける相手がなく、すべてを知ってはいるが、この事に限っては、第三者に近いウンタクを訪ねた。
ずっと悩んできた。サニーの前世を見てトッケビの過去を聞いて、サニーがトッケビの妹であるキム・ソンの転生だというパズルを合わせている間、記憶していない自分の前世が二人の間にはさまれていることを自覚した。自分はキム・ソンと明らかにつながっている人物だったし、トッケビとも関連があったようだった。同時に死神になるぐらい大きな罪を犯した人。
P202
 「その歴史の中でそのように大きな罪を犯した人は3人だ。数千の敵の首をはねたキム・シン、そのようなキム・シンと王妃であるキム・ソンを殺せと命じたワン・ヨ、ワン・ヨを称揚し兄妹を死に追いやったパク・ジュンホン。キム・シンはまだ生きていて、キム・ソンはサニーさんに転生し、だとしたら・・・俺はワン・ヨもしくはパク・チュンホンではないか。ここまでが俺の考えだ」
ぴたりとはまらなければならないすべてがピタリとはまっていた。しばし二人の間に沈黙が流れた。死神も無理にウンタクに答えを求めるのではなかった。何も言えないままウンタクは握っていた紙コップをぐしゃっとつぶした。
 「でも、二人の中の誰であろうと、俺は・・・キム・シンあいつの仇だろ」
死神の声がかすかに震えた。誰になろうと、最悪だった。死神は今最悪の岐路に立っていた。地獄の火がぼうぼうと燃えるように死神の心を締め付けた。
 「二人の中の誰であろうと、俺は・・・サニーさんとは付き合えないだろう・・・」


しばらく考えを整理した死神はサニーの家の前まで行った。すでに別れていたし、彼は死神だった。それをすべて知っていてもサニーはまた訪ねてきた死神にときめいていた。死神に惹かれる気持ちは止めようとしてもうまう止めることができない種類のものだった。前世の兄もいるのに、前世の恋人だったのではないか、運命のようなものではないか、運命だからこそ最初の出会いから今までサニーの心がここまですべてを揺れ動かしたのだ。

急いで支度をして出て行った家の前で死神がぼんやりと立っていた。今日もやはり黒いコートに黒いスーツの恰好だった。死神だと広告でもして歩いているスタイルだったが、サニーとしては想像もできなかった。ただ久しぶりだった。いつも久しぶりな二人なので、向かい合った二人のまなざしが切なく光った。
 「指輪を返してもらうついでに出てきたのよ。私たちまだその口実が残っていたから」
 「・・・」
 「なんでそんな表情なの?私に会いたくて来たんじゃないの?」
白い顔が蒼白でサニーは心配そうに聞いた。
 「そうです。でも自分が誰か分からず、恐ろしい気持ちで・・身を引きます」
再び付き合おうというのでなく引き下がるですって?この男がいう言葉は度々サニーを苛立たせた。付き合っては別れ、別れても付き合うのだが、今回は本当に終わるようで死神が言おうとする言葉をすべて塞ぎたかったし、それができなければ、自分の耳を塞ぎたかった。
P204
 「すべての回答が間違いの私ですがどうかこれだけは合っていることを願います」
 「そんなこと言わないで」
 「生きていない私には名前がありません。そんな私に元気かと聞いてくれてありがとうございました」
 「そんなこと言わないで!」
サニーの切実な願いにも死神は言おうとした言葉を続けた。今日でなければいつこの言葉を伝えられるか分からなかった。
 「・・・死神のキスは、前世を思い出させます。あなたの前世で私が何なのか怖いです。でもいい記憶だけが残っていますように。その中にあなたのお兄さんの記憶も残っていたらいいでしょう。そしてその人がキム・シンであるならいいと思います」
 一歩前に近付いた死神が用心深くサニーの頬を包んだ。涙があふれんばかりの目を閉じた。静かに唇を合わせた瞬間、川の水が氾濫するようにサニーの頭の中に前世のすべての記憶が流れこんだ。
 「陛下を愛する女性は大逆罪の妹です」
 「だから行ってください。止まらずに行ってください。陛下に」
熱い涙が頬を伝ってこぼれた。口づけは熱く濡れていた。唇を離してサニーがやっと目を開けた。大きな目からぽろぽろ涙がこぼれた。大きな衝撃がサニーを襲ってきた。荒い波打つ海の中に身体が投げられたように息が詰まって、胸が痛む記憶からもがき抜け出したかった。混乱した。短い瞬間、生生しく描かれたさらに短い記憶が、全身の感覚を支配していた。
P206
 「これ・・・何なの?私がみたもの・・何?」
そんなサニーを見つめていた死神の心が痛んだ。最後の確認だった。しばらくは痛みを、全部忘れさせてあげることだった。
 「あなたの前世です」
裏通りの街灯が二人を薄暗く照らしていた。死神はゆっくりと目をまばたきした。
 「もしかしてあなたの前世にキム・シンがいましたか?もしかして・・・あなたの前世に私もいましたか?」
サニーが辛そうにうなずいた。死神は諦めた。やはり自分はサニーの前世にもいた人物だった。泣いているサニーの濡れた目の中に死神が映った。惨めなほどに悲しい姿だった。だからすべて忘れることを願った。
 「幸せで輝いていた瞬間だけが残り、悲しく辛い瞬間はすべて忘れてください。前世だろうと現世だろうと。そして・・・私も忘れてください。あなただけはそれでもハッピーエンドでありますように」
視線を合わせたまま死神はサニーに催眠をかけた。最後の挨拶とともに死神の目からも涙がこぼれた。催眠にかかったサニーのまなざしが微妙に変わった。辛い目でサニーを一度見つめ、死神は黒い煙になって消えた。
P206
何があったのかまったく知らないまま トッケビはサニーの店の周りから覗いた。しきりに訪ねてきたりしたので、トッケビとしては今まで通りの事をしただけだが、サニーがドアを開けてトッケビを呼んだ。
 「今日はまた何かしら?ノリゲ?薬果?ポソン?」
言葉づかいはいつもと同じだったが、なぜかサニーの雰囲気が落ち着いていた。怪訝なトッケビが躊躇した。転生した妹はすごくとんでもない妹になっていて相手をするのが難しい側面があった。
 「でも、お兄さん、陛下が本当に私を不細工だとおっしゃったの?」
サニーがトッケビをじっと見上げて聞いた。すごく久しぶりに出会った兄の顔をサニーはじっと見つめた。本当に姿がそのままだった。生がずっと続いているという言葉が本当なのかもしれないと思うと気が遠くなった。
トッケビのまなざしがかなり揺れ動いた。妹が言った言葉が依然として鮮明に彼の心の中に残っていた。でもサニーが再び聞いた。陛下が自分を不細工だとおっしゃったのが事実かと。
 「いくら戦場をさまよった兄上だとは言っても、手紙の返事を一度も送ってくれないし」
P207
 「本当にお前が、本当に・・・」
 「今までわからなくてごめんなさい。兄上、幸せになると言った約束も・・・守れなくて」
数百年の歳月が流れた今やっと申し訳ないと告白し、サニーは涙を流した。その長い歳月を一人残されていた兄が気の毒でまた悲しかった。
トッケビはただ妹が自分を思い出し、わかってくれたことだけでも感激だった。申し訳ないという気持ちは彼がさらに大きくごめんなさいという妹を胸に抱いたまま遅れてやってきた再会の涙を流した。
 「渋柿、コッシン、絹の反物・・ありがとう。これからは不細工な妹にしょっちゅう会いに来なくてはなりません」
妹に刺さった矢、そこに今まで積もった後悔が涙で少しずつ流されていった。


授業を終えて正門に向かうウンタクの歩みが重たかった。どのように言えば正しいのか確信が持てなかった。考え込むウンタクの横に少女の鬼神がくっついていた。いつものように「ちょっと!」と呼んでもウンタクは見えないふりをして通り過ぎた。そのやり方をよく知っていた処女の鬼神なのでウンタクの目の前まで行って大声で叫んだが、依然としてウンタクは見えない振りをした。
P208
少女の鬼神はわざとウンタクが持っていた本を地面に払い落とした。ウンタクが少し動揺して手から落ちた本を拾い上げた。見えないふりではなく、本当に見えないのだった。ウンタクを驚かそうとした少女の鬼神がむしろ驚いた。少女の鬼神を通り過ぎて歩くウンタクの首筋にあったトッケビ新婦の烙印が以前よりもぼやけていた。
自分を迎えにきたトッケビの車に乗ってもウンタクはためらっていた。どことなく彼の雰囲気が落ち着いていて顔色を窺った。落ち着いているにはいたが、気分が悪いようではなかった。運転する彼をちらちらと横目で見た。
 「俺も」
 「え?」
 「俺がお前を迎えに行って気分がいいよ」
 「あ、キム・シンさんが学校まで迎えに来てくれて私も嬉しい」
 「もう遅い」
 「考え事していたから。でも何かいいことでもあったの?さっきからちょっとそうなんだけど」
 「やっと聞いたか。妹が、ソンが、俺を思い出した。」
 「本当に?すごい、よかった。でもどうやって?」
ウンタクの声が高くなった。トッケビも妹が自分の記憶が蘇ったことを思い出すと笑みがこぼれた。
 「あ、それは聞かなかったな。でもどうやって前世を思い出したんだろう」
しばしぶつぶつ言いうトッケビを見たウンタクの表情が再び暗くなった。トッケビはそんなウンタクを心配そうな目で見た。運転中に言う話ではないようでウンタクは少し車を止めてくれと頼んだ。
トッケビは道端に車を止めてウンタクの言葉を待った。一体どんな話をしようとこんな風にじらすのか想像がつかなかった。車の中の空気が息苦しく感じられてウンタクは生唾を飲み込んだ。たまに性急で火のような所があるトッケビを知っているウンタクは心配した。おじさんが怒らなければいいが。
 「おじさんが、私が思っているよりずっと度量のある人だっていうの、わたし信じるわ。本当に」
 「何なんだよ」
 「私がある亡者と出くわしたんだけど、どうみてもパク・チュンホンだと思うの」
 「お前がなんでパク・チュンホンを知ってるんだ」
 「ごめんなさい。この前死神のおじさんとしている話を聞いちゃったの」
聞いても特にいい話ではなかった。彼の悲しみと恨みに関することだったから。トッケビの目が細くなった。ウンタクがそんなことを知らなければよかったと思ったし、すでに知っていたとしても可能な限りそんな事実から遠く離れていたらと思った。
 「初めはただの悪鬼だと思ったんだけど・・・何が目的なのかよくわからないわ。なんとなく周りで起きているおかしなことが関連していると思うし。社長の前世を思い出したこともそうだと思うし・・」
 「よく話してくれた。ありがとう。とりあえず家に連れて帰るから家にじっとしていろ。トッケビの家が一番安全なんだから」
怒らなくてよかった。でも最後まで死神がワン・ヨだという事実は言えなかったウンタクは、ただゆっくりうなずくだけだった。トッケビはハンドルをぎゅっと握りしめ再び車を発進した。


暗い夜、薄暗い裏通りにパク・チュンホンが黒い舌をペロリとしながら男性の歩行者に近付いていった。そんな彼の後ろに大きな影が舞い降りてきた。突然現れた恐ろしい気運の影に歩行者はびくっとして逃げた。何を見て驚いたのか、パク・チュンホンが振り向くとものすごい剣幕で自分を睨みつけているトッケビと出くわした。
トッケビはすぐに念力で彼を引き寄せ一気に首を平然と掴んだ。トッケビになって初めて訪れた宮殿、パク・チュンホンの首を一瞬にして締めたあの時と同じだった。
P211
 「900年を逃げていたがこんな風に会うとは・・・虚しいな」
 「気にするでない。すぐにあの世に送ってやる。しかし900年を避けていたのに今になって私の前に現れた理由は答えてもらわねばならん」
 「やはり卑しい武臣出身だけに900年の歳月にも本質を見抜く目がないのだな。仇が近くにいても気づかないざまが間抜けだから、私が自ら教えてやろう」
パク・チュンホンの首を握った手の握力が強くなった。首を絞められてもパク・チュンホンの黒い舌は休みなく動いた。
 「やはり貴様の舌は900年が過ぎても愚かだな。一番先に舌を抜いてやる。その次は体を切り刻んてやろう。今やってやろう」
地面にパク・チュンホンを投げ飛ばした後、トッケビは水の剣を手に持った。そして彼の体をためらいなく切った。しかし水の剣が通った場所には黒い煙だけがしばし漂っていただけで、パク・チュンホンは何の打撃もなかった。
パク・チュンホンはその場に立ってにやっと笑いトッケビを嘲り笑った。
 「お前もわしも900年の歳月だ。たかが水の剣でわしを切れぬ。守護神ごときをやって生きたので本当に天の神にでもなったと思ったか。」
 「貴様、いくらでも殺してやるから心配するな」
再び水の剣で体を切ろうとした瞬間、パク・チュンホンが近くと通り過ぎた男の体に入った。パク・チュンホンの霊魂が入っていったと言っても何の罪もない人間を切ることはできなかった。トッケビが水の剣を手から離すとパク・チュンホンが再び男の体から外に姿を現した。
 「そのように鈍いから容易く命を落としたのだ。お前が朽ち果てた間見間違えるほどに大きくなったぞ。ヨ
は。
 「ヨの名前をもう一度口にしたら・・」
トッケビの目に火花が走った。目の前の仇をなんとかして八つ裂きにしたかった。
 「お前のそばにいるあの死神が誰なのか知っているのか。剣を下し、その剣をお前の胸に刺した者がまさにそいつだ。そいつがまさにワン・ヨだ」
 「ばかなことを」
 「お前の愚かな妹は現世でもあいつに惚れたのだ。かわいそうに、お前は最後まで復讐ができないのだ」
当惑して立ち止った隙を狙ってパク・チュンホンが人間の間に混ざっていった。人間に憑依しながら渡り歩き、トッケビの包囲網から消えていった。追いかけたトッケビは一瞬世界が崩れ落ちる感じがした。二度と味わいたくない感覚だった。掛け軸の中の絵を見て泣いた死神、死神の顔から一瞬通り過ぎたワン・ヨ、そして指輪。指輪!なぜ覚えていなかったのか。ソンが死んでいく瞬間、白く美しい手にはめられた指輪だった。彼が立っていた地面が崩れていった。
治まったと思った怒りが激しく吹きだした。トッケビが青い火花に変わった。



(続く)

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プロフィール

SAMTA

Author:SAMTA
横浜在住
韓国ドラマ・映画好き
韓国俳優キム・ミョンミンさんの
カンマエに嵌ったのが2009年5月。
それからミョンミン道一筋です☆
韓国語、韓国料理など韓国文化全般に
興味があります。☆

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