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2017-10

韓国ドラマ「トッケビ」小説 コツコツ翻訳15 눈물 涙  - 2017.07.29 Sat



国の本はたとえそれが教科書でも、誤字が多いんですよねえ・・
結構びっくりするぐらいな校正ミスがあったりします。
今回も、間違いなくこれは違うだろう、という部分がありました。
「死神」のはずなのに「トッケビ」と書いてあって・・(笑)
P46の最後の部分。( )で但し書きをしておきました^^

このOSTもいいですね。

死神とサニーの切ない恋。

そしてトッケビとウンタクのさらに切ない恋

二人があまりにも純粋でかわいいので
毎回、ヒュ~ヒュ~言いながら訳してます(*^_^*)


눈물 涙
ベッドに横たわったウンタクの口から時々うめき声がもれた。気絶したような眠りに落ちたウンタクの目に痙攣が起こるたびに、口から苦痛に満ちたうめき声がもれるたびにトッケビの眉の下の影が深くなった。大変なことになるところだった。どんなに考えてみてもくらくらこの世が終わるようだった。申し訳なく辛い気持ちでトッケビはウンタクの額に浮かんだ冷汗を拭いてやった。時間がかなり流れてやっとウンタクが目を開けた。
 「・・・おじさん大丈夫?」
ウンタクは顔の上の手の動きを感じながらかすれた声で聞いた。ウンタクは自分のそばを守っている人が、目を開けた時に初めて見える顔がトッケビでよかったと思った。





P37
トッケビは心の中でため息をついた。真っ青な顔をしても自分に大丈夫かと聞いている。
 「質問が変わったみたいだけど」
 「そうかな??死ぬかと思った」
 「すまん。すごく驚いただろ」
 「おじさんも分からなかったことじゃない。あんなに痛むなんて。今まで誰も掴んだことがないんだから」
苦痛に満ちたトッケビが自分を力いっぱい押して、空中を遠くへ飛んだ。瞬間、彼が自分を背中の後ろから抱え、一緒に地面を転がった。すべてのことがいつの間にか起きた事だった。驚きも痛みも自分には瞬間だった。さらに、またトッケビが自分を助けてくれなかったのではないか、剣が少し動いた時、苦痛にみちたトッケビの表情がさらに辛そうに見えた。
寂しいというトッケビに向けてウンタクは明るく笑ってみせた。
 「でもおじさん、本当に飛べるのね。あんな風に見せてくれって、そういうわけではなかったのに」
申し訳なく思わないでという言葉をウンタクはそのように言った。ウンタクが望むことだとトッケビはこれ以上申し訳なさそうな雰囲気を覗かせないことにした。
 「私たち気持ちを引き締めていきましょう。これそんなに甘くないわ」
P38
 「ああ」
 「でも私実際剣が動くのにすごく驚いて・・・すごくよかったじゃない?私が本物の新婦だってこと証明されたんでしょ??」
ウンタクが喜びを一杯に込めて笑った。その笑いに努めて明るく笑っていたトッケビの顔が暗くなった。ウンタクはすでにしっかりした子供だった。一人でもたくましく育ったトッケビの新婦らしかった。ウンタクがトッケビ新婦ではないことを祈った瞬間もあった。お前ではないことを願ったし笑っているウンタクに事実のまま話すことができずトッケビはただウンタクを見つめていた。
うまく行ったと同意を求めるかのように言ったにもかかわらず答えがない彼の姿にウンタクは不機嫌になった。一緒にうまく行ったと言ってくれたらと思った。自分がトッケビ新婦であったことがはっきりした時、ざあざあ降った雨音が依然として耳元に鮮明で、ウンタクは様子を伺った。
 「うまくいかなかったの?」
 「うまくいったよ」
かすかに笑みを見せてトッケビが答えた。ようやくウンタクはやっと安心した
 「ほら~私本物の新婦だったんだから。そういう運命だったのよ。」
運命。自分に与えられた運命がトッケビの恋人であり、新婦ということがもはや本当に確実になったのだ。
剣を掴んで明らかに動いた。そしてトッケビがうまく行ったと言ってくれた。ウンタクは何度か「運命」という言葉を繰り返した。
P39
ウンタクがうきうきするごとにトッケビの心はだんだんさらに重たくなっていった。

トッケビとその新婦の運命がどこに流れていくのか知らず、混乱する仲で、、現実もまた混乱、そのものだった。トッケビがウンタクを救うために道路の方をめちゃくちゃにしたところだった。駐車場に止めてあった車がすべてひっくり返った。台風が通り過ぎたわけでもないのに1台ずつひっくり返った車を撮った映像がすでにインターネット上に回っていた。
映像を先に発見したのはトックァだった。トックァは頭を抱えた。自分も問題児の財閥3世だが、トッケビのおじさんの事故はスケールが違った。天佑グループがひと肌脱がなければならないレベルだった。トックァはキム秘書にすぐに電話をした。
キム秘書は職員らを総動員してインターネットに上がった映像を消すことを陣頭指揮した。一方死神は事故目撃者と被害者らひとりひとりと目を合わせ記憶を消さなければならなかった。つぶれた車は突風による破損。補償金でトックァが与えるお金は空から突然落ちてきたもうけ物であるだけだと、記憶を消してでっち上げるのに奔走した。
P40

体に傷はなかったが大きな事故は事故だったのか驚いた筋肉があちこち痛いと悲鳴を上げていた。部屋の中に肩や足に湿布を貼ったウンタクはガチャンと皿が割れる音に驚きリビングに行った。階段の下にトッケビが倒れていた。その横で粉々になった皿を死神が黙々と片づけていた。
トッケビのせいでひとしきり外で苦労して戻ってきたので、トッケビに対して暖かい気持ちになれない死神だった。家に戻ってきてもまたトッケビの尻拭いだった。
 「おじさんどうしたの?まさか死んだんじゃないでしょ?」
 「薬のせいだ。寝かせておけ」
 「あんなところに寝てたら体によくないのに」
割れた皿のかけらを片づけるついでにトッケビも部屋に動かしてくれたらいいものを、死神は無表情にひゅいっと背を向けて行ってしまった。ウンタクとしては自分よりもはるかに大きくて重たいトッケビを動かす能力がなかった。目覚めるまで放っておくしかなかく、ウンタクはすぐに部屋に行き、厚い毛布を持って出てきた。少しでも暖かい気運が横たわる彼の横にとどまったらいいという思いで家の中にある蝋燭を一抱えて来て火を付けた。毛布をかけたトッケビの横にウンタクが横たわった。
P41
 「どうしたの?なんで薬飲んだの?まだ痛いの?」
寝入った彼は静かだった。微動だにしない彼の顔をじっと見つめた。ほのかな蝋燭の火が彼の顔の上で揺らいだ。笑う顔と同じぐらい、寝ている顔もずっと大切にしておきたいぐらいすてきだった。痛むことでなければもっとよかった。手を伸ばして前髪を注意深く上げて額に手を当てた。幸い熱はなかった。
 「大きくなった大人がところ構わず倒れちゃって・・・」
切なさの籠った声がトッケビの顔の上に雨のしずくのように流れた。うっすらと気がついたトッケビが口を開いた。
 「・・・痛くて」
 「目が覚めた?」
 「・・・湿布の匂い」
 「あちこち痛むの。おじさんもすごく痛い?さっき大丈夫って言ったくせに」
 「うそだった」
素直な告白にウンタクがぷっと笑った。目を閉じた彼の声がとても低かった。
 「毎日嘘つくのね。早く良くなってね」
心を込めてウンタクは頭をなでた。1回、2回、ゆっくり動くウンタクの手の動きは、3回目で彼の髪の毛の上に届いた時、トッケビは目を開けた。
P42
 「どこか痛いか知らないだろ…」
 「どこが痛いの?」
 「・・・初恋、ものすごく痛いな」
ウンタクの手の動きが止まった。上がっていた口元もぎゅっと一文字に閉じられた。隣にいたのは自分なのに、初恋を思い出すなんて悲しかった。
時折変わるウンタクの表情をトッケビはじっと見ていた。
 「すごく可愛いかったみたいね。詩集に書き写してたし。」
 「うん。すごく。毎日毎日・・・可愛い」
 「相当具合が悪いみたいだわ。危険な状態、今。ゆっくり寝て。早く。でないと体にさわるよ」
ウンタクは心の中を見透かされたくなくて、憎たらしい言葉は憎たらしい言葉で返してやった。そしてさっき慎重だった手の動きとは異なり、少し痛いでしょうと強く肩をポンポンと叩いて立ち上がろうとした。
 「行くな。。。」
 「なんで?初恋とか思い出す人が。可愛いって?。それ、新婦に向かっていう言葉?」
 「よく見るとかわいいところがある。だから行くな」
目を閉じたまま言うトッケビの言葉にウンタクは口を尖らして再び手で腕枕をして横に寝そべった。自分は初恋ではないけれど最初で最後のトッケビ新婦だった。彼は新婦の前でさえも初恋の話をするやつだったが。新婦には閉じた目でも心をときめかせるやつだった。ドキドキするほどに悲しく見えるやつでもあった。なのでウンタクはまた長い時間彼のそばを見守った。
お互いの心臓の音が近くで聞こえた。


トッケビから初恋についての言葉を聞いた以上、ウンタクは気を使わないわけにはいかなかった。「初恋だった」の本の横に崩して書いた文字が目にちらついた。トッケビの日記でもことごとく読んで初恋の正体を解き明かさなければ気持ちが治まらないようだった。気持ちがさらにうっとうしくなるかもしれないが。
じっとしていられずトッケビの日記帳を書き写したノートをトックァの前に差し出した。千字文を3才で卒業したというトックァの言葉をすべて信じることはできなくても腐った綱でも掴んでみようという心情だった。
 「でもこれって何?」
 「おじさんの内偵よ。特に初恋に関して。私たちだけの秘密だからね」
P44
 「俺、こういうの大好きだよ」
ぎっしり詰まった漢字の上にウンタクなりに解釈を書いておいたノートをトックァが注意深く解いていった。一文字ずつ辿りながら読んだトックァの目が一か所にしばらく佇んだ。
 「この文字は聴くのチョンだって。もしかして知らないかもと思って」
もしかして知らないのではという憂慮する気持ちにウンタクが説明をくっつけた。

 この人生が褒美だと思うこともあったが、結局私の生は罰だった。
 誰の死も忘れなかった。
 神は依然として聞いてないのだから。


 「神は依然として聞いていないのだから・・」
口元が少し歪んでノートを持つ手に力が入った。トックァの微妙な変化にウンタクは解釈を期待するまなざしでトックァを穴があくほどじっと見つめた。
 「恋文だな」
 「恋文?」
 「ああ、悲しい愛の告白だ」
ウンタクがカッとなって唇を噛んだ。トックァがいたずらっぽく微妙に目を輝かせた。ノートの中間部分、文章と文章の間を怪しげに眺め噛み砕くように詠んだ。
 「このように百年を生きたある日、日和りのよいある日・・・」
もう聞きたくないウンタクはノートをぱっと伏せた。まあ、ありえることだ。九百年の人生で忘れられない女性が一人ぐらいはいるだろうとずっと思ってきた。それでもいざこのように切々と書かれた日記まで残っているのを確認してみると気持ちが荒んだ。

息巻くウンタクと別れたトックァはトッケビの家に向かった。最初に剣を抜いて無に戻ろうとする前、トッケビが柳会長に預けた掛け軸をトッケビに返すようにというお使いを完遂するためだった。すでに何回が会えずに空振りしたところだった。
トッケビが非常に大切にしてきたこの掛け軸の中に何があるのかはトックァも最近まで知らず、少し前に知るようになった。掛け軸には女性の絵が描かれていた。トックァの目にも高貴で美しい女性だと思ったが、涙を浮かべるほど感動的な絵ではなかった。トッケビにわからないようにその絵を一緒に開けて見た死神が急に涙を流したことに戸惑ったのはそのためだった。道を歩いていて初めて会った女性を見ても泣いただなんて。病気にでもなったのかと疑った。掛け軸をトッケビに戻してトックァが死神とのことを伝えた。
 「泣いたって?」
P46
トッケビの声に不愉快な気持ちが込められていた。トッケビが聞いても理解がしにくい話だった。なぜ泣いたのが気になったことを超えてなぜか気分が悪くなった。掛け軸を巻いたままトッケビはすぐに死神の部屋に向かった。
 「泣いたって。お前がなんで泣くんだ。俺も泣かないのに」
死神は急にドアを押し開けたこともびっくりしたが、いきなり問いただすトッケビの後ろのトックァを横目で睨んだ。もうトッケビに告げ口したのだ。涙が出て当惑したのは自分も同じだった。サニーを見て泣き、掛け軸の中の女性を見ても泣いた。サニーがいるのに他の女性と浮気でもした気分だった。サニーと自分がどんな関係でもないのにそうだった。
 「俺も驚いていろいろ考えてみたんだけど、スタンダール・シンドローム*みたいなもんじゃないかと思った。すごく感動的で胸が一杯になって。でも誰だ?この絵の女の人は?」
*美術的・文化的価値の高い芸術作品を鑑賞した人が動悸・めまい・失神・錯乱・幻覚などの症状を呈する心因性の疾患。
 「お前には関係ない」
トッケビがわざと冷たく言い返した。死神は絵に描かれた女人を思い浮かべおぼろげな気分に駆られた。
 「ただ・・どこかで会ったことがあるようで・・」
会っただなんて。もしかしてと思う気持ちでトッケビの目が大きくなった。
 「お前が会ったという女人は誰なんだ。俺が知っているこの女人は俺の妹だ」
初めて聞くトッケビの家族史にトックァとトッケビの(*死神の間違い)目が大きくなった。
P47
天からぽとっと落ちていつも1人だと思っていた彼に妹がいたという事実に驚いた。確かに考えて見れば彼も一時は人間だったから家族がいたことは当然だった。
 「本当に俺の妹に会ったことがあるのか?よく考えてみろ。どこで会ったのか」
 「妹・・俺の亡者の中の一人だったと思うけどこれもまた正確ではない」
 「この子が転生したって?いつ?」
 「正確じゃないって。俺が幾百年の間連れていった亡者がものすごい数なのに顔を全部覚えてると思うか。どこかで見たようで、心当たりを探っているんだ。記憶はなくて感情だけ残ってるから・・・ただすごく悲しい・・心がものすごく痛かった」
考えを辿ってみようとすることだけでもすでに死神の心がぴりぴりしてきた。
とつとつと話す死神を置いて、トッケビの目が深くなった。最後の瞬間まで守ってやれなかった妹はトッケビが抱いてきた大きな傷の中のひとつだった。
部屋の中の雰囲気が重くなっていく瞬間、トックァが叫んだ。
 「おじさん、俺わかった!2番目のおじさんがおじさんの妹の生まれ変わりじゃない?“兄さん”て一度言ってみてよ。2番目のおじさん」
二人の男の鋭い視線が同時にトックァに刺さった。
死神が会ったようだと言って一抹の期待を抱いたが、やはり妹は探すことができないようだとトッケビは失望そた。
P48
トッケビとトックァが部屋を出て行ったあと、死神はひとり鏡の前に立った。女人がトッケビの妹だったという事実を知ってみるとさらに気分がおかしかった。自分がいつか会った亡者だったのか、あるいは前世に知っていた人だったのか・・自分の前世と繋がった女人だと思うとあまりにも漠然とした。彼のすべての記憶はきれいに切り取られていたので。始めから自分は死神だっただけ 一人の人間だった瞬間がなかった。
少し前に後輩の死神から聞いた話を思い出した。ある死神が亡者を連れていったが、前世が思い出され、前世で彼の妻だったその亡者をその他漏落者として処理したまま一緒に逃げたという話。前世に洗い流すことのできない大きな罪を犯した者達が自分のように死神になった。しかし自分がどんな罪を犯したのかは記憶と共に忘れられていた。
彼は前世をどのように思い出すようになるか。死神はふと気になった。思い出したら出したように、思い出さなければ出さないようにすべて神の意志であるだけだ。失った記憶を再び取り戻した神の意志が何だったのかとても気になった。自分の前世はたぶん探し出すことはできないだろう。大部分の死神がそうであるように。だから絵の中の女人もこのように疑問の中に葬られるようになることだった。

P49

日が暮れていく午後の日は晴れても曇ってもいなかった。気楽な恰好でテラスに座っていたトッケビがちょうど仕事を終えて帰宅した死神を呼んで一緒に缶ビールを飲み干した。まだ世の中の垢もついていない幼い亡者を送りだした日であれば、倍に疲れた。このような疲労を背負った業が恨めしくもあり、この仕事が前世に犯したとんでもない罪を贖罪する道だと思うと甘受するしかなかった。
 「昼酒いいな。特に仕事終わりの昼酒」
低めにぶつぶつ言う死神をトッケビがガン見して口を開いた。
 「兄さんと言ってみろ」
 「殺すぞ!」
 「当たってるみたいだ。顔白いし」
ねちねちと言うトッケビを見て死神が持っていた缶ビールをぺちゃんこにした。一瞬缶が凍りついた。怒る死神を見ないふりをしてトッケビは視線をそむけた。
 「無に帰るというのはいったいどういうことかと思って、ちりや風や雨になって飛んでいくのか?世の中のどこかへ?」
 「ただ本当に無になるんじゃないか? 食べるム?(ムは韓国語で「大根」)」
P50
死神の突拍子もない言葉にトッケビがぷっと笑ってしまった。酒がまわっていたせいでもあった。二人の男が酒気と冗談の中でくすくす笑った。
 「なんでそんなことで悩むんだ。どうせ、その他漏落者が剣も掴めないのに」
 「ウンタクが・・・剣を掴んだ。剣が動くまでやった。あの子、本当に新婦だった。ものすごく痛かったんだ。初めて感じる痛みだった」
笑っていたトッケビの声が再び寂しくなった。ウンタクは自分が新婦だったと良かったと言ったが、トッケビは心が重たくなった。
驚いた目で見ていた死神がはっと思い出したように聞いた。
 「その他漏落者にそれを抜いたら無に戻るというのを話たのか?」
 「まだ。最初は言う必要がなかったし次は言うチャンスがなくて、結局言えなくなったよ。どうやってこの話をするんだ。お前の手で俺を殺してくれと」
 「ならどうするつもりだ。剣が動いたって」
 「可能な限りずっと隠しておく」
 「いつまで?」
 「さあな。約80年ぐらい?」
P51
トッケビの意図が一目でわかり死神は目を細めた。
 「まさに人間の寿命だろ。今19歳の一人の少女が最大長く生きられる」
缶をぎゅっと握っていたトッケビの手から力が抜けた。そのようにできるかできないかトッケビも確信できなかった。なるがままそのようにここで80年程度過ごし、ウンタクの寿命が尽きた頃に無に帰って消えたかった。そのようになったらなかなかいい結末だと思った。
 「もしかしてと思って言うんだけど、本当にそうしたいというなら、その他漏落者に絶対剣の事実を言うな。愛?そんなのはすべてホルモンのいたずらだ。80年?それはお前の考えで、お前が2年ぐらい生きてどこかで変死体で発見されるかもしれない。俺はそんな亡者をたくさん見てきた」
トッケビの瞳孔が揺れた。そうでなくても心配で死にそうなのに、心配がまたひとつ増えた。トッケビと人間の寿命が違うように感情の深さも違うはずだった。
死神は困り果てた表情で額に皺を寄せた。笑おうと言ったことなのに、トッケビの心をさらに重くしてしまったようだった。
 「でもなんで急に剣が動いたんだ?掴むこともできなかったって言うのに。その時と何が違ったのか?」
 「そうだな。何が違ったか?あ・・!あの子が俺を好きだから?それだ。いやいつからだっけ?なんであの子は話をしないで人を混乱させるんだ?」
P52
真の愛のようなもの・・・初めて口づけする時、そのようなことをしなくちゃならないと軽はずみに言ったウンタクが思い出された。
こっそり上がっていくトッケビの口元を見て死神は心の中で舌打ちした。憂鬱だ、良かったと言って気分がしょっちゅう変わっていた。ひとり相槌を打つトッケビを嘆かわしい表情で見ていたがテラスの後ろの入り口からウンタクが顔を出した。
外出着を着たウンタクが死神だけを呼ぶと、トッケビの方には目もくれず、出かけてくると言った。トッケビとしては何もわからない状況だったが、ウンタクはトッケビのすばらしい初恋のせいで傷ついたところだった。日が暮れるのにどこに行くのかと聞いたのはトッケビだったが、ウンタクは死神に向かって図書館に行くと答えるとさっとドアを閉めてしまった。まるで突き放された気分でトッケビは慌ただしく閉められたドアを眺めていた。
 「あの子のすることを見ていると2年も長いな。約1年2か月?」
呆れた表情でトッケビは死神をにらみつけウンタクを追いかけた。

図書館に行く道、ウンタクとトッケビが一緒に落ち葉を踏みながら歩いた。ウンタクについて出てきたトッケビにかなりいじわるをしていたが、それでも気分は少しよくなっていた。今トッケビのそばにいるのは自分だった。
P53
「でも、剣の話なんだけど。急になんで動いたのかしら。掴めもしなかったのに」
ちょうどトッケビも話したいことだった。トッケビが期待いっぱいにした表情でウンタクを見つめた。
 「お前・・・俺に言うことはないのか?」
 「ないけど」
 「あるはずなんだけどな」
 「あ、あれ・・・一つあるにはあるけど」
 「お、すごく顔に出てるぞ。言え。我慢せずに、お前が何を言っても俺は偏見なく受け入れる人なのを知っているくせに」
トッケビがどんな言葉を期待しているかも知らずウンタクは一度つばを飲み込んだ。
 「お金がたくさんあるのはわかるんだけど。家にだけいて大丈夫なの?」
 「話すことがそれか?」
 「いえ、人がちょっと外に出て活動してこそ健康でいられるのに、高麗時代は国事だけしてたそうじゃない。でしょ?」
思いもよらない話にトッケビはぼうっとなった。当然どこに飛ぶかわからない女子高生ではあったが、もちろん厳密に言えば定職についたことはないが、家の中で遊んで暮らす人になったことが気に障ったし、期待していた話ではなく、気まずかった。言いたいことが本当にそれか?トッケビは口をぎゅっと結んだ。
P54
トッケビも仕事をしようとしたことがあった、ちゃんとできなかっただけ。
 「俺も仕事があったんだ!」
やったことがないのではなく、やろうとしたのなら、なんで職業がないのか見当に値した。ウンタクは十分に波乱満場だったであろうトッケビの会社生活を描いてみた。
 「ああ、それで無職で家にいるのね。大した人じゃなくて」
 「大した人じゃないとはどういうことだ」
 「大した人じゃないなら当然でしょ。足りないってことよ。周りの無職の人を見てよ。トックァさんもちょっとそうじゃない」
 頭の先まで呆れたトッケビがかっとなった。ウンタクが自分を足りない人として見たというのが無念だった。実際に聞きたかった言葉は聞けずにかなり気分が悪くなった。
 「わ~そんな話は初めて聞いた。本当に初めてだ!マジで」
 「ああ、初恋の人はそんな指摘はなさらなかったのね。初めて聞いたのを見ると」
初恋。その言葉にかなり興奮していたトッケビがくすっと笑った。
 「お前、嫉妬してるのか?」
足の先までくすぐったい気分が上がってきた。ちょっと前まで怒っていたくせに今はもうニタニタと笑いが出てきた。
ニタニタするトッケビを見て、ウンタクはカッとなった。
P55
「わ、私がなんで嫉妬するのよ!高麗なのか朝鮮なのかいつの時代かもわからないのに!いつ付き合ったの?高麗?朝鮮?朝鮮中期?後期?上品でキレイだったでしょう。でも初恋は元々成就しないものなのよ」
誰かも知らずにウンタクはトッケビの初恋を嫉妬し、彼に向かって怒っていた。隠すつもりで隠そうとするが、ひとつも隠せない感情がトッケビの目に明らかに見えた。ウンタクが純粋に自分を好きなのが気分良かった。相手が怒るほど気分が良くなるのは不思議なことだった。トッケビの笑みが濃くなった。コートのポケットにゆっくりと手を入れたまま、息巻いてぶるぶる震えているウンタクのまゆげを見下ろした。
 「もう帰って!待たなくていいから、遅くなるんだから!」
ウンタクが怒った肩を上下に揺らしながら、図書館の建物に入っていった。嫉妬するのが可愛くて笑ったのにウンタクはかなり恥ずかしいようだった。一人残ってウンタクの後ろ姿を見ていたトッケビの心がドキドキするほど再び寂しくなった。
 「誰がそういった。成就しないだなんて・・・嫌だ・・・」
冷たい空気の間でトッケビの声が風と共に飛んでいった。ウンタクがすでに行っていない空間を眺めながらトッケビはしばらくその場所に立っていた。


せつないね・・・

(つづく)

● COMMENT ●

コツコツ翻訳有難うございます

SAMTAさん
 
P37~P55 の訳文を読ませてもらいながら、ここの場面の映像が思い出され
さらにせつなくなりました。
このOSTも心にしみます。

トッケビは見終わってからも
さまざまな思いや感情を呼び起こす物語りですね。




ムスカリさん
こんばんは~♪コメントありがとうございます♡
この回もウンタクの嫉妬がかわいくて
そんなウンタクに振り回されるトッケビもかわいくて

何度思い出しても切ない気持になります☆


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プロフィール

SAMTA

Author:SAMTA
横浜在住
韓国ドラマ・映画好き
韓国俳優キム・ミョンミンさんの
カンマエに嵌ったのが2009年5月。
それからミョンミン道一筋です☆
韓国語、韓国料理など韓国文化全般に
興味があります。☆

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