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2017-05

韓国ドラマ「トッケビ」小説 コツコツ翻訳6 ウンタクのセリフ、憎らしいほどに巧い - 2017.05.14 Sun


やっとここまで辿りつきました~(*^^)v
「トッケビ新婦ではないお前に見えるはずがない」というトッケビの挑発に、
ウンタクがムキになって「見えるもん!」と指さした瞬間!
出た~!デカイ剣(-_-)


上の動画の続きです。
なんといってもこのドラマ、ウンタクのセリフが多い。
気の強いウンタクが何としてもトッケビの家に潜り込もうと、
「サボテンみたいに一人で勝手に大きくなるから」というセリフ^^ (3:50あたりから)
선인장仙人掌ソンインジャン=サボテン
大爆笑~!
字幕だと、このようにまくしたてるウンタクのセリフは半分ぐらいの分量になってしまいます。
従い、このサボテンもカット!
ああ、惜しい・・・・キム・ウンスク作家、渾身のセリフたちなのにぃ・・・
本当にセリフが憎たらしいほどうまいですわ。(^^ゞ

日の百想では当然のことではありますが、「トッケビ」がTV部門で大賞を受賞。
前年は同じくキム・ウンスク作家の「太陽の末裔」でした!
最優秀演技賞男優部門は男優賞はコン・ユ。もう、他に誰がいる?って感じですね。。
女優部門でキム・ゴウンが取れなかったのはキャリアのせいかな。
個人的にはキム・ゴウンの演技力が欠かせなかったと思っているのでとても残念でした。
それにしても、キム・ウンスク作家の受賞コメントウケました。即興でコン・ユのコメントをパクリ
パロディしちゃうんだもん。コン・ユも大うけ。さすがですなあ(*^_^*)

では小説のコツコツ翻訳。だいぶ間が空いてしまいましたが続きます。やっと4話^^;;

P145
豪雨注意報 호우주의보

旅立つ前の最後の夜が流れようとしていた。リビングに座ったトッケビと死神の表情が暗かった。なんだかんだと言い争うのに忙しかったが、死神はトッケビがいなくなるのが本当に残念だった。この家が自分だけのものになるので心から喜んでもいいものを、思ったよりも嬉しくなかった。神と近い存在たちの友情というものが芽生えた訳だ。
沈んだ静寂を破って軽快な玄関の呼び鈴が鳴った。ぼおっと空を見ていた二人が驚いてお互いを見合った。呼び鈴だなんて。この家は呼び鈴のようなものは押す必要がない者たちだけが出入りする所だった。壁と壁の間を何でもないように出入りする存在と彼に仕える人間だけがこの家を訪れた。60年間そうだった。二人ががばっと立ち上がった。







ドアが家の中に半分ほど開いた。60年ぶりに初めて呼び鈴を押したのはウンタクだった。何の気配もなく誰もいないと思って家に一歩入って首を突き出したが、頭の上に影が垂れ下がった。トッケビだとばかり思ったが、意外にも死神の顔を見たウンタクは驚いてすばやく後ずさりをした。
 「ここは、トッケビさんのお宅じゃないんですか?」
 「ここは俺の家だけど。俺に会いに来たのか?自分の足で?」
 「い、いえ。私が間違ったみたい・・・」
さらに後ずさりするウンタクの背中が何かにぶつかった。
振り返ってみるとトッケビが立っていた。彼の突然の登場はいつも驚かすし有難かった。死神の前なのでよけいに。
この子は、自分が開けるドアについて入って来たと思ったら、もう呼び鈴まで押した。いるとは思わなかっただろうが、恐れも知らず死神がいる所まで訪ねてきた。トッケビは死神に家に入っていろと手で追いやった。旅立って、再び家に戻ってくる時にはウンタクの人生は終わっているかもしれないと思った。人間の寿命はそのように短かった。だからこの前会ったのが最後だと思ったが、ウンタクはまた自分の目の前にいた。
 「お前、何だ。どうやってここを知って来たんだ?」
 「鬼神たちに聞いてきたの。トッケビの家はどこかって。でもなんで死神がこの家にいるの?二人は一緒に住んでるの?」
 「今日までは。お前は何で来たんだ?」
トッケビ新婦ではないと言っていた。家まで訪ねてきたのを見ると、ウンタクが本当に新婦ではないだろうか。夫婦の問題は夫婦でうまく解決しろと皮肉って死神は壁を通過し再び家にすっと戻って行った。
 「できなかった話があって。私に何か見えるかと聞いたんだけど。それが見えたらどうなるの?」
 「なんで聞くんだ。どっちにしろ見えないのに」
 「誰が見えないですって?」
 「なに?」
 「一、それが見えたらすぐに結婚しなければならないの? 二、それが見えたら5百万くれるの?三、それが見えたら・・・どこにも行かない?」
一体ウンタクは何を言っているのか、理解しながらも理解できなかった。こだまの様に最後の質問が残った。「どこにもいかない?」と言う。
 「行かないで。ただここにいて、韓国に。だめ?」
 「お前、本当に見えるのか?」
見えるはずがなかった。見えないと言っていた。そう言っておいて今になって有無を言わさず見えるというのにトッケビがその言葉をそのまま信じることはできなかった。証明しろと要求するトッケビにウンタクもむしろ首を横に振った。三つの質問に対する答えから聞きたかった。
P148
 「お前は見えない」
 「見えるわ。本当よ。本当に見えるんだけど」
ウンタクがかなり悔しい表情を浮かべ、指をびしっと指し示した。手の先が彼の胸の真ん中を正確に捉えた。まさか、という気持ちにトッケビのまなざしが震え始めた。正確に胸の真ん中を指してウンタクが言った。
 「この剣」(イ コム!)
剣が刺さった瞬間の記憶が思い浮かんだ。指先が胸を刺すようだった。トッケビが衝撃を受けると同時に雷が空を裂き落ちた。ゴロゴロと落ちる雷の音にウンタクは少し驚いた。それでも依然として指先は正確に剣を指していた。唯一トッケビ新婦だけが抜くことができる剣だった。
誰かの死も忘れられないまま地獄のような歳月、退屈で長い歳月を耐えてきた彼がついに無に返る安らぎを得られるようになるのだ。
 「初めて会った時から見えてたの。この剣。だったらわたしは何?わたし、まだトッケビ新婦じゃないの?」
トッケビ新婦だった。切実に願っていた死がトッケビの目の前にいた。
 「・・・そうみたいだ」
ゆっくりと口から出てきたトッケビの言葉にウンタクがやっと安心したかのように笑った。
 「本当に?だったらわたし利用価値ができたの?おじさんもういなくならない?」
 「とりあえずは。もっと遠くに旅立つ準備をしなくちゃならないかもしれないから」
何を言っているのかわからず、目を大きく見開いて見上げてみたが、これ以上ちゃんとした説明は返ってこなかった。どっちにしろ自分がトッケビ新婦だというので幸いだった。幸いだが、トッケビの表情が暗くなって、嫌っているようだった。トッケビは依然として私が新婦であることを信じていないのか、あるいは私が新婦で嫌なのか、そのどちらかのようでウンタクは少し気落ちした。もちろん見えない深いところまで落ち込んだのはトッケビだった。
 「最初から見えていたのに、なぜ今まで見えないふりをしたんだ?」
 「最初は礼儀で、その次は怖くて」
 「詳しく」
最初、彼に会った瞬間、道端で目が合った瞬間から見えた。鬼神たちは生前の元気な姿でウンタクを訪ねてきたりもしたが、時々血を流したり、火で焼けたりするなど死の瞬間の姿を見せたりもした。目の前で見るにはかなりむごたらしい姿だった。
彼の剣もそのような姿の一つだと思った。彼の胸にとても大きな剣が差し込まれているのを初めて見た時のことだ。剣に刺されて死んだんだな、見るだけでも痛そうなのにその死の瞬間はどれだけ痛かっただろうか。自然に眉をしかめた。なので知らないふりをした。
 「まったくの初対面で人の辛いことを聞くのは礼儀ではないと思って言わなかったのであって、次には見えると言ったら、どんなことが起きるのかわからなくて言わなかったし、すぐに結婚しようと、そういうんじゃないか?そうしたら大学はどうするの?もし私もトッケビになるのかな?何よりもちょっとお金もち?まあそんな・・・」
以後に何かを見えなければならないというのでもしかしてこの剣のことを言ってるのかと思ったが、そのまま言ったらトッケビ新婦になってしまったら、その次に起きることも心配になった。だから少しこのトッケビがどんなトッケビなのか知りたかったのだが、傷ついた。
最初は自分がトッケビではないと言った。その次には少しためらって私を見てトッケビ新婦ではないと言って、利用価値がないと、人生がおまけだと、腹が立った。自分を救ってくれたありがたい存在ということをわかるようになった以降も言えなかった。ウンタクがトッケビ新婦ではないと確信して旅立つ準備をする彼を無理に引き止めるのはちょっと気が留めた。
 「私、何をすればいいの?新婦として?」
緊張と期待で上気した表情のウンタクが聞いた。トッケビは深く息をのんだ。
 「新婦としてお前が最初にやることは、とりあえずここで待て」

ウンタクを外に立たせて一人家の中に入ってきたトッケビは死神の部屋のドアをバタンと開けた。寝ようとしていた死神が神経質そうに体を起こした。
 「剣を見たんだ。剣を正確に指差したんだ!」
 「ああ、そうか。トッケビ新婦だって言ってたじゃないか。わかったから出ていってくれ」
死神はどうってことないと言うとトッケビの顔色が曇ってかっとなり怒鳴った。
 「あの子が剣を見たんだってば!あの子が俺の新婦だって!俺はもうすぐ死ぬんだってば!」
 「じゃよかったじゃないのか?死ぬために新婦を探していたんじゃないのか?」
そうだった。生き返った後の一生がそうだった。人間と出会う喜びもあったし、人間が傍を離れて悲しい時もあって大部分の時間死を待っていた。死神は不思議そうな表情で聞いた。何が問題なのかと。そうだ。問題はなかった。ずっと待っていたその瞬間が自らの足でやってきたのだ。トッケビにも死は突然やってきた。
 「もうこのうんざりする不滅を終わらせることができるんだと幸いだと思ったりもするし、毎日うんざりしていたわけでもないんだけど?もっと生きてみたいと思ったりもするし・・・」
結局、本当に死ぬ時が来て心残りになったのだろうか。地獄のようだとだけ思っていたこの人生が。
本当におかしなことだった。未練はないと思っていた。
口を開けば、ウンタクを連れていってやると、死神がなだめるように言った。トッケビはそんな死神の提案を今すぐにでも受け入れるように振る舞った。死神もやはりトッケビの死をそのように望むのではなかった。トッケビはそのような死神の気持ちをわかっているようでもあった。軽く行きかう冗談だったし、本当に友情というものが生まれたようで、今お互いの姿が笑えると思う二人だった。
可笑しいのもつかの間。呼び鈴が再び鳴った。今回は外で待っていたウンタクが鳴らしたことは明白だった。
 「死が俺を呼んでいる!」
 「呼び鈴を押すぐらいなら、親切な方だよ。落ち着けよ。普段、恨みを買うようなひどい事は言ってないだろう?」
ひどい言葉。10回も会っていないのに、9回ぐらいは言ったようでトッケビひやりとした。
いずれにせよ死ななければならないようだった。それが正解のようだった。
二人は一緒に部屋を出た。トッケビの死に向かって行く。
 「ちょっと待っていてと言ったのに、そのちょっとが待てないのか?堪え性のない奴だな」
どっちにしろ無に返るのだから、無礼な振る舞いをするかのようにトッケビは表情をしかめて言った。
 「申し訳ないんですけど、これ以上待てないわ。私がトッケビ新婦だというのを知ってからずっとおじさんだけ待っていたのよ。ず~っとよ。」
実際トッケビだけを待っていたのではなかったが。「新婦」という言葉が悪くはない日々だった。結婚する存在がいるということだし、そのような家族ができるということなの?それが暗いだけの人生に光のように近づいてきてウンタクを照らした。その程度でも十分に辛いときは癒しのようになった。
明日になれば旅立つというトッケビに会って考えた。彼が望まないようなら引き止めるのはやめようと。ウンタクは本当に見送ろうと思った。しかし仕方ない。現実は生易しいものではなかった。トッケビの気持ちまで配慮してやることが難しくなった。今現在、彼は、本当にウンタクが頼れる唯一の丘だった。
 「叔母の家族が家を出ていったの。でも保証金まで全部持っていってしまったの。ゆえに私はもう家も財産もないっていうことでしょ。それでなんだけど。私この家で大人になる。サボテンみたいに一人でちゃんと大人になるから。」(*^_^*)
939才のトッケビは19才のウンタクがこのようなことも気丈に話すのが不憫になった。これが子供が耐えなければならない人生だというにはあまりにも重たかった。死を前に気が気でない中でもウンタクが不憫で彼の手がびくりとした。サボテンのように育ちたいと言う小さな頭を撫でてやりたかった。少しチクチクするだろうけれど。
 「自己紹介させていただくと、大韓民国の平凡な高3受験生、でありたいけど、齢9才で両親を失って身寄りがなく、母のいない空の下で叔母と従妹たちに虐待を受けながら生きてきてはや10年、すべての不幸をぶちこんだごった煮のような人生にあきれ果てる中、おじさんに出会ったのよね。運命みたいに!」
この家で住まわせてくれと、自分を少しかわいそうに見てくれと、厚かましくも並べ立てた。横に立っていた死神さえも気の毒だとうなずくほどに。
 「だから、助けてください」
“助けてください”
誰かが助けてくれと哀願する声を以前にも聞いたことがあった。トッケビ、彼自身も人間だった時はそのように願ったことがあった。生をくれという言葉は生が死にゆく時に言う言葉だった。知らないふりをするには、トッケビは気の弱い神だった。すでに何度かウンタクのために心の優しい神になっていた。
 「助けてくれという子がこの家に誰が住んでいるか知っても、入れてほしいと?」
 「どっちにしろ私、この家がダメなら少なくとものたれ死、ないしは餓死よ。こうして死ぬもああして死ぬも。だだこの家で美しく死ぬから。灯台下暗しっていうじゃない。おじさんが私の灯台になって」
気負いこんできたのか、躊躇いがなかった。あきれ果てながらも、トッケビは結局ウンタクに、自分の死に、ドアを開けてやった。

P155
トッケビの家に足を踏み入れるのに成功したウンタクはひたすら周囲を観察していた。遠くから見た時から驚くほど豪壮な外観の家だと思った。中はさらにだった。部屋が何部屋あるのかすべてちゃんと見物するのも大変だった。リビングの天井に下がったシャンデリアが視線を捕えた。すべてが高級に見え、古いものと新しいものがうまく調和してひとつになっていた。お金持ちだと思っていたがここまでとは思わなかった。違う世界だった。自分が生きていた世界とは端から次元が違う世界。もう一度決心した。あのおじさんと一緒にここで暮らすと。
ソファに座ってそのように心に誓うウンタクの心が丸見えでトッケビが一撃を食らわした。
 「おまえ、俺がイマイチだと、かなりイマイチだって言ったよな」
 「私がとんでもない事を言ったみたい。おじさんすっごくかっこいい。ウォンビンにそっくり。本当に」
あきれ果てるトッケビを置いてウンタクは自分の真実の気持ちが見えたらいいなと軽口をたたいた。
P156
「見えるよ、お前の心が」
 「あ、さっきのウォンビンの話は嘘じゃないから。私、心の声が大きいでしょう」
 「嘘なんだけど」
 「嘘って?あの時、私の心の声が全部聞こえたって」
 「あの時から嘘なんだけど」
 「じゃあ、あの時、私が拉致された時どうやってわかったの?」
 「ただ感じたんだ。正確にはわからないけど。お前の首にあるそのあざのせいみたいだ」
 「わ~詐欺師。私、本当に自分の心の声が聞こえると思って、おじさんのことを考えるのも小さくして、ちょっと小分けにして、途中で歌とか歌って、紅葉の葉を見ても、これはおじさんのことを考えるのではなくて紅葉の葉を考えてるんだって言い訳して、私が、自分の考えにさえも気をつかったりしたのに!」
しっかりしていて、賢いと思ってもまだ幼く世間ずれしていなくて、無駄に正直だった。ウンタクの行動や話は千年近く生きてきたトッケビにとっても初めてのことが多かった。誰かがトッケビに言わなかったそんなこと。動揺を隠そうと、がばっと席から立ち上がった。

P157

平凡な女子高校生が行くことがないと思える場所、まさにホテルだった。ホテルの訪問はつまり二回目だった。それさえも最初はカナダで巨大なホテルの外観とロビーの見学がすべてだった。今回は韓国のホテルだが、二回目の訪問だけに、最上階スィートルームに来るとは思わなかった。広々としたスィートルームをくるくる回って両手を広げたままウンタクはベッドに飛び込んだ。今まで横になった所の中で一番フカフカだった。天国に横たわったらこんな感じかなと思うほどだった。
実際あの家で寝ることになると思った。トッケビ新婦もその通りだといいながら。トッケビは、どうでもウンタクをここに送りこんだ。おかげでトッケビをサポートするという柳氏の家の人々とも会うことができた。柳会長がウンタクに丁重に挨拶をした。ただ平凡なおじいさんだと思ったが、挨拶をしてもらった名刺を見て手が震えた。本物の財閥に会うことになるとは。必要なものがあれば孫に全部言いなさいと、トックァを紹介した。ウンタクとトックァが目を丸くした。本屋で会って財閥三世だなんだと言っていた若い男は本当に財閥三世だった。不思議な縁だった。
 「スィートルーム、いいなあ・・・ステキなスィートルームに一人だわ」
あえて追い出したわけではなかった。「ひとまず」ここで待てと言った。こんなステキなスィートルームに一人。とても広くて怖くもあった。枕を抱きかかえた。横に寝たウンタクはこれからのことを思い描いた。いつもそうだが生は一寸先もわからなかった。

学校に行く準備を終えてウンタクはホテルの正門を出たが朝にも関わらず太陽が雲にかかって、少しも見えなかった。最上階で眺めた空が曇っていると思ったら、案の定雨が降っていた。
手のひらを差し出して雨のしずくを感じてみた。ポツポツ、指先に落ちる雨のしずくが冷たかった。鞄から傘を取り出して広げ、とっさに怒りが込み上げてきたウンタクは心中穏やかではない表情で空をにらみつけた。
 「めちゃ笑える。嫌いなら嫌いと言えばいいのに。寄ってたかって気分悪くして、登校途中に雨ってどういうことよ!」
トッケビが憂鬱だと雨が降ると言った。あのおじさん、今すごく憂鬱みたいだわ。この間の夜物悲しかった気持ちが再び心の中でぐるぐるした。むかついて下唇を噛んでいると、ウンタクの前に車が近づいて止まった。クラクションの音が鳴って見上げるといかしたスポーツカーでトックァが目で合図を送った。トックァが手振りで挨拶をするとウンタクもいったんペコリと挨拶をした。

ユ会長がきちんとお世話をしなければならないと、とても重要な方だと、トックァに何度も念を押したところだった。どれほど重要なのかといえばトックァのクレジットカードがかかっていた。言いつけ通りウンタクを学校まで送ってあげなければならなかった。派手にスポーツカーを運転し学校の運動場の中までさっ!ドアまで開けてあげた。ウンタクは恥ずかしいと言って頭を上げることもできずにいたが。
学生たちがいぶかしげに見ながら、羨ましそうにヒソヒソ話すのがトックァの耳にも聞こえた。しかしトックァが予想した雰囲気ではなかった。羨ましいというよりは妬みというか。援助交際がどうだとか、皮肉る言葉がたくさん聞こえてきてウンタクの学校生活を大よそ推測することができた。この間トッケビのおじさんに頼まれて調査した気の毒な「チ・ウンタク」、シンデレラでもないのに、叔母と従妹らの虐待の中で育ちながら学校でもお化けが見える子として噂されいじめられた子がこの子なのか、再び確信した。
トックァがトッケビの屋敷に到着した時、長い食卓の端と端にトッケビと死神が座って遅い朝食を食べている最中だった。二人に会うことだけでも寒くてじめじめした気分だった。トッケビは昨日からかなりおかしな雰囲気だった。もともと、移り気でしょっちゅう気分が上がったり下がったりしたが、昨日からは神経衰弱にでもかかった人のように振舞った。海外に旅立とうとしていて突然トッケビ新婦という子が現れたために足首を掴まれてあのようなのだとトックァは大体推測した。トックァには朝ドラを見るように理解不能だった。自分のことを見向きもしないおじさんの代わりに、少しは調子がよさそうに見える死神に聞いた。
 「あの子がおじさんの新婦なの?あの子がなんでおじさんの新婦なの?」
 「さあな。神のいたずらか?」
 「ああ、それでおじさんが憂鬱なんだ。自分の好みのタイプじゃないんだね。神様のいたずらも過ぎるよな。」
最初に契約する時は隠していたが、トッケビと交わす会話を1分だけ聞いてもわかった。白い顔の二番目のおじさんが死神だということを。トッケビを子供の頃からおじさんとして仕えなければならなかったので、トックァは死神の前にいても泰然としていた。
トッケビと同じくらい死神の気分もめちゃくちゃだった。道で出会った女性を見て泣いたと言った。一体初めて会った女性を見るなり涙を流すなんて、何があったというのか。しかし、いずれにせよすでに泣いてしまった死神だった。その女性とお互いが自分のものだとすったもんだした売店の指輪はすでにどうでもよくなった。指輪、本当に綺麗だったが。通り過ぎるだけでも涙が出るあの女性を思い浮かべるとまた涙が出ると思った。信じられないことに胸が痛んだ。
死神が憂鬱なせいで周辺の空気が冷たくなった。サラダが盛られた皿が凍っていた。この家の存在たちはまったく、気分によって一人は雨を降らせ、一人は周囲を凍らせるのでトックァは息苦しかった。
 「よく考えてみてよ。初めてではないんじゃない?男がそんなことではだめだよ。責任とらないと。おじさんはその日を覚えていなくても、その女性は何か覚えているかもしれないじゃない」
トックァが分かっていなくて言った言葉だった。過去に出会ったことがあるというには女性はえらく晴々していた。「サニーよ」と言って。髪の毛を一方に掻き上げた。自分の携帯番号をメモ紙に書くと、唇を押し当てて、キスマークまで残してくれた。まぶたにちらついた。皿が凍ったあまり、ひびが入り始めた。
トックァは心の中で舌打ちした。
 “それ、トッケビのおじさんがルイ14世の時に買ったもので大事にしていた皿なのに・・・”

P161

死神はサニーという女性ともう一度会おうと、彼女に初めて会った陸橋に行ってみたが無駄足だった。再び家に戻ると何日も頭の中で生と死を百回以上行ったり来たりしていたトッケビがスーツを着てリビングにいた。白いシャツに黒いネクタイ。端正な着こなしが死神が見てもイケていた。
P162
誰かの生と死が分かれる所にいることで、トッケビは自分の事から少し抜け出すことができた。
 「その服なんだ?礼式か?葬式か?それで結婚は墓場だと言うのか。」
 「俺は今、敬虔な気持ちだから。俺の問いには正直に答えてくれ。」
むっとして聞いてくるトッケビに死神はこれ以上ふざけたことを言うのは止めることにした。腕時計を見たトッケビの目が少し暗くなった。トッケビは亡者があの世に行くためにしばし立ち寄る死神の茶屋で、異国で死ぬ亡者にも会うことができるかと聞いた。ある時守護神になってやった人間の生命が消えかかっているのをトッケビは感じていた。明らかに。
もはや老人になって命の灯が消えかかっていた男も少年だった時代があった。彼が少年であった時トッケビは彼と出会った。異国の地を歩いていた時だった。家の外に飛び出してきた少年とぶつかった。少年の人生がかすめるように読めた。養父の暴力に勝てず少年は家出しようとしていた。辛かっただろう。しかし家を出たらさらにどん底の人生が待っていた。今少し耐えるのがそれでもましだった。
トッケビは少年に忠告してやった。養子をもらったなら、あなたも私の父だと堂々と言えと、そして試験はしっかり受けろと。すると少年の後ろから飛び出してきた彼の養父がこれ以上暴力をふるうことができないよう、転んであばら骨を折ってしまった。どしんという音を立てて倒れた養父を見て、トッケビをもう一度見て、少年は驚いた目をした。
 「そんなことをしていたのか?」
死神はなぜトッケビがそのようなことをするのか少し疑問に思った。基本的にトッケビという種族が人を好きだったようでもあった。
少年は偶然一度会った紳士を一生涯記憶の中で大切にした。自分の人生をひっくり返した人だった。彼が差し出した暖かいサンドイッチをずっと覚えていて、気立てのよい、施すことを知っている善良な人になった。トッケビは最後に彼に一度会いたかった。
 「俺は数千の人たちにサンドイッチを差し出した。しかしあの少年のように前に進んでいく者はまれだ。普通の人はその奇跡の瞬間にとどまりもう一度助けてくれと言うんだ。まるで奇跡を委ねるかのように。でも彼は自ら人生を変えた。だからいつも彼の人生を応援したんだ」
人間の人生にはあまり関与しなかったが、そのように度々トッケビは誰かの守護神になってあげた。
P164

ウンタクはホテルのスイートルームのテーブルに座って必死に問題集を解いていた。修能試験まであとどれほども残っていなかったので。高3だから。学生らしく勉強しながらウンタクは待っていた。広々とした空間が寂しくなる時も待っていた。
しかし天気が悪く、台風でも来るかのような様子にトッケビの屋敷を訪ねドアを叩いた。いったいどれだけ気分が悪いのだろうか。そんな蓋然性のためにウタンクの気分もどん底になった。ドアを開けて、私をなぜ避けるの?蝋燭を吹くのはプライドが傷つくので吹かずにいるのに、蝋燭を吹いちゃうからねと脅迫もしてみた。それでも屋敷の中は静まり返っていた。トッケビ新婦を探していると言って、見つけておいて放置するのはどれだけ根性がねじ曲がっているのかと思った。
次の日になってもトッケビは音沙汰がなかった。ウンタクは結局、飾り棚の上に蝋燭をいっぱい並べ火を付けた。蝋燭の火を消してトッケビを呼び、消えればまた呼び、消えればまた呼ぶのだ。ウンタクは唇をすぼめた。フ~、泣きたい気持ちで蝋燭を消した。
ちらっと目を開けるとトッケビがウンタクの前に立っていた。こんな風に簡単に呼ぶことができるのに、来れるのに、彼は来なかった。少しくたびれた顔だった。黒いスーツがものすごく似合っていて、わけもなく憎らしかった。
 「どこにいたの?なんで避けるの?」
ウンタクがトッケビを見るなり問い詰めた。
 「家に来たのか?避けてるんじゃなくて、忙しかった」
 「私を避けるので忙しかったんじゃない。考えてみたら定職もないみたいだし。もしかしてあれ?」
悔しいというようにウンタクが少し呼吸を落ち着かせて聞く。
 「いじめ?」(セリフでは소박:ソバクとは新婚初夜に新郎が外に遊びに行ってしまうことを言うらしい(笑))
 「は?」
 「じゃ何なの?トッケビだと言っても避けて、そうではないと言っても避けて。剣が見えないと言っても避け、見ても避けて、卑怯よ。本当に大人は卑怯よ!逃げてみれば? 私、これ全部吹き消すから!」
そうでなくても来ようと思った。ウンタクは分からないだろうが、彼にしてみれば、ウンタクにもう一度会うには勇気が必要だった。死ぬ日だけを待っていたと思うと未練が多く、未練は時間が過ぎるほどに無くなるどころか増々大きくなっていった。少年として出会った彼が年を取って天国へ向かう階段を上るのを見守った。そうしていたら、また自分は忘れられない死だけが残ったというのを改めて実感した。このような時はまた、死ぬのがましだ、この生を終えて死だけを考えるのは止めにしなければならないと思うようになり、この死を受け入れようとうなずいた。
涙声になって叫ぶウンタクの後ろに蝋燭がゆらゆら揺れていた。本当にたくさんの蝋燭。暖かく美しい蝋燭の明かりだった。
 「ものすごく綺麗だな」
 「わたし本当に真面目なんだけど!」
 「俺も」
静かなひと言にウンタクも押し黙った。二人の視線が交差した。トッケビの目がなぜか悲しかった。元々こんな悲しい目だったかな?少し寂しかったようでもあった。それでも今彼の目がこんなに悲しいのはすべて自分のせいのようで、ウンタクは自分の方こそ悲しくなった。
 「私、おじさんの家で住んではだめ?空き部屋が多いのに」
 「お前がなんで部屋が空いているかそうでないか分かるんだ?」
 「ユ・ドックァさんが」
トッケビが ふっ、と作り笑いをしながら吐き捨てても、ウンタクは引き下がらなかった。引き下がる場所もなかった。
 「いったん待ってろと言ったじゃない。いったんていうのは普通1時間か、最大でも半日でしょ?今日で何日目よ。その間に雨も降ったんだけど。憂鬱だったの?私のせいで?」
 「・・・そうじゃない」
そうではないと言ってくれてそれなりに幸いだったが、ウンタクの心は傷ついてから相当の時間が経っていた。悲しくてトッケビ新婦はできないかもしれなかった。
P167
 「大丈夫。話してくれても。私もここ数日、心の準備をしたの。どんなことを言われても受け入れる覚悟ができたの、私。」
 「覚悟をなんでお前がするんだ。覚悟は俺がしなければならない状況なのに」
少し空しい笑みを浮かべ、トッケビは大股で部屋の中の冷蔵庫に向かった。何の話かとじっと見つめる目を回避しながら。ウンタクは知らなくてもいい話だった。知っていいことは何一つない。冷蔵庫の缶ビールを開け一気に飲んだ。
ウンタクはじっと立っていた。私のせいで憂鬱なのではないと言いながらもまったく答えてくれないトッケビの気持ちをひとつも理解できず。
 「夕飯は食べたのか?」
 「剣が見えると言ってから、おじさんの事はよくわからない。こんなこと言うはずじゃなかったんだけど」
すっきりしたビールが食道を通って流れていき、首の下でチクチクとした。
 「何の覚悟をしなければならないの?1人でしないで一緒にしましょうよ」
 「ステーキ食べるか?ルームサービスに頼んで」
 「・・・はぐらかすんだから。仕方ない、見逃してあげるわ。」
ため息をついたウンタクがコートを着込んだ。考えてみれば自分がトッケビに出会った瞬間からどうしなければならないのか悩んだように、このトッケビも急に現れた新婦に対していろいろ考えることが多いのかもしれない。ウンタクには気分のいい考え方ではないけれど、いずれにせよ大人びた自分が大人を理解してみることにした。今日は牛肉の気分ではないと、別のものを食べようと言って、ウンタクはわざといたずらっぽく笑った。
ビールをまたひと口、トッケビはウンタクのその笑いにまたチクチクした。


死神とサニーの出会いがここで出てきました。
なお、セリフはドラマと小説は同じではありません。

(つづく)

● COMMENT ●

トッケビ

はじめまして ゆひと申します
4月からトッケビの原作を読み始めて、やっと今p200まできました
途中???な箇所が沢山あって挫折しかかったところで、運良くこちらに辿り着きました
「サボテンのように・・・」も訳がモヤモヤしていたのですがSAMTAさんのおかげでスッキリしました
しかもすごく味のあるセリフだとわかって嬉しかったです
ありがとうございましたm(__)m これからもぜひ頼りにさせて下さいね
宜しくお願いいたします

SAMTAさんはキム・ミョンミンさんのファンなのですね、
お顔は「六龍が飛ぶ」で毎日拝見しています 素敵な俳優さんですね
もうすぐクランクインの「V.I.P.」という作品も今から楽しみです

ゆひさん
オソオセヨ~パンガウォヨ~(*^_^*)

わ~小説版「トッケビ」訳していらっしゃるんですね☆
しかも200ページ!すばらしい。
私は今187ページぐらいです^^;;;
なかなか進みません(笑)
それでもキム・ウンスク作家の言葉の世界にどっぷり漬かり
今の韓国語を知ることができるので楽しいですね。
なかなか日本語が当てはまらないことも多くてもどかしい思いもたくさんしますが(笑)
こちらこそ「コツコツ翻訳同士」としてよろしくお願いします。

あ、はい。2009年5月からミョンミンさんのファンになり早いもので8年です。
ミョンミンさんも話しがとても面白い方で滑舌が素晴らしく良いので
私の韓国語の教科書的存在です^^
V.I.Pは実は撮影は終わっていて、今年の8月ぐらいに公開と言われています。
私も楽しみです。

またお時間ありましたらぜひ遊びにいらしてくださいね。
翻訳の方は1章を1週間のペースでと思っていますが、どうなることやら・・・(^^ゞ

あっちゃー失礼いたしました
V.I.P.はもうすぐ公開なんですね
たまたま見つけた記事が最近のものだと勘違いしてましたが昨年の10月の記事でした(笑)
日本公開はいつ頃かな? 待ち遠しいですね~!

トッケビ、SAMTAさんの翻訳を先にカンニングしないように、一生懸命前もって予習しまーす(^^♪

ゆひさん

いえいえ、韓国の記事は結構古いものが混ざってたりするので
間違えやすいですよね~
ケンチャナヨ~
V.I.Pは韓国らしいノワール映画でそれも「新世界」監督作品ですので
ぜったい日本劇場公開されると信じております!
楽しみです!


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MM ENTERTAINMENT 김명민님
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MMエンターテインメント
キム・ミョンミン様

プロフィール

SAMTA

Author:SAMTA
横浜在住
韓国ドラマ・映画好き
韓国俳優キム・ミョンミンさんの
カンマエに嵌ったのが2009年5月。
それからミョンミン道一筋です☆
韓国語、韓国料理など韓国文化全般に
興味があります。☆

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