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2017-09

韓国ドラマ「トッケビ」小説 コツコツ翻訳5 トッケビと死神の名場面 - 2017.04.22 Sat




あ、やっとこのシーンにたどりつきました~
トッケビの中でも名場面の3本指に入るシーン。
他のドラマやバラエティでもかなりパロディになってますね☆
超かっこいいです!演出がブラボ~!

翻訳はやっと3話に突入しました。
小説版はトッケビとウンタクのエピソードにフォーカスしていて
ドラマの演出はかなりカットされていますが二人の心理描写が丁寧に描かれていて
ますます中身が濃いなあと思うのであります。

回訳ではかなり苦労したのですが
とくに韓国語では面白さがわかっても日本語にすると、「だから何?」っていう部分があるんですね。

そのひとつが「찔리다」(チルリダ)という単語。
意味がふたつあって「刺される」という意味と「虚を突かれる。図星」という意味があります。
ウンタクとの会話の中でウンタクが図星、という意味でこのチルリダを使うんですが
言われるたびにトッケビは「刺される」(体に剣が刺さっている)と聞こえて滅入る場面があります。
補足で解説しましたが、こういうのは日本語にそのまま訳しても・・・?となるので
難しいですね。

ではでは。

P115
憂鬱の証拠 우울의 증거

チキン屋で食と住を解決したことが結局社長であるサニーにばれてしまった。家を出たウンタクを探し叔母が訪ねてきたと言った。叔母がまたどれだけ迷惑をかけていったのか目に浮かび、ウンタクはサニーに申し訳なく思った。傘も快く貸してくれるありがたい社長なのに、私こそ迷惑ばかりかけた。追い出されるだろうという覚悟とは異なり社長は見た目通りクールに見過ごしてくれた。ウンタクの事情をよく理解してくれたようだった。お願いもしていないのに、月給も週給に変えてくれた。ウンタクはいつか必ず恩返ししようと心に誓った。
学校を終えて校門を出ると携帯が鳴った。3万ウォンだけ貸してくれというキョンミのメッセージだった。思慮分別がこんなにもなかった。サラ金から借りた金を使った自分の母親のせいで、時々悩まされながらもお金を貸してくれという言葉がこんなに簡単に出るのかと思い、無視して携帯を再びポケットにしまった。瞬間ワゴン車が1台ウンタクの前に止まると車のドアがぱっと開いて険しい顔つきの男二人が降りてきた。目が合うと不吉な雰囲気にすぐ避けようとするが、視線を外す直前に巨体の男がウンタクの腕をひったくった。


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 「誰ですか?」
 「学生が家を出てどうすんだ。危ないだろ。叔母さんが心配するじゃないか。乗れ!早く!」
 「嫌です。誰か!助け・・・!」
巨体の男は叫ぶウンタクの口をふさぎ開いたワゴン車のドアに引きずりこんだ。逃げ出そうとじたばたと暴れてみたが手に負えなかった。二人の男のせいでお手上げ状態で引き込まれ車に乗せられた。巨体男がウンタクを押さえている間、すばしっこい男が運転席に座った。口を塞がれたままウンタクは恐ろしさにただ震えるしかなかった。あまりの恐怖に涙も出なかった。
目がくらむほどのど派手な柄のシャツを着た男たちは一目でサラ金業者だとわかった。叔母がウンタクを売り渡したのに違いなかった。口を開けば、ウンタクに保険金、保険金と言ってきた叔母だった。それにしても、あんまりだ。どんなに家族じゃないと思ってもこれはあまりにもひどかった。血の通わない他人にもこんなことをしてはいけないことだった。人としてもやることではなかった。いじめは耐えてきたが、このように命まで危険にさらされるとは思わなかった。
車は早い速度で走った。しばらく走ると非舗装路に出た。すれ違う車も少なくなった。日が短くすでに辺りは暗くなっていた。ウンタクはずっと震えながらも気を失わないように努力した。抜け出そうと足をばたつかせたが無駄であることがわかりチャンスを狙っていた。狙っても縛られた手で特にできることはないようだったが。思考が止まったり動きだしたりをひたすら繰り返した。
巨体男がウンタクの鞄の中をくまなく探り始めた。ジッパーを開けてひっくり返しバサバサとはたくと筆記具がどっと落ちてきた。ウンタクの鞄の中のポケットに手を入れ通帳を探すが出てこないと、巨体男が顔をしかめて悪態をついた。運転席の男がバックミラーを見てちゃんと探せとイライラするように怒鳴った。やみくもに拉致したのだが、ウンタクが持っているという女の言葉とは異なり何もないという目つきだった。車の速度を落とし男がたばこを取り出してくわえハンドルを掴んでいない手でライターをつけた。
火のついたライターを見るとウンタクははっと我にかえった。ライターの火を消そうと前に身体を向ける瞬間、鞄の中を調べていた巨体男に先に捕まってしまった。
 「じっとしてろ!」
男がどやしつけウンタクの頭を殴った。
 「ああ、びっくりした」
突然の騒ぎに驚いた運転席の男がライターを落とした。後頭部を強く殴られたことよりも床に落ちたライターのせいで涙が出てきた。
 「おじさん・・・」
切望した。おまけで生きている人生もこれで終わりかと思った。それでも自分を救ってくれる誰かを思い浮かべることができたのは幸いだった。トッケビに出会う前であったら、思い浮かぶ人さえいなかっただろう。悲しい涙をぽつりとこぼしながらウンタクは頭を垂れた。それでも生きたかった。まだ。
 「学生、俺たちせっかちなんだ。女学生がこんな人気のないところに来たらどうなるか分かってるだろ?どこに隠したんだ、通帳!」
巨体男がウンタクの胸倉をつかんだまま揺らした。恐怖に青ざめ理性を失ったウンタクが叫ぶように言った。
 「わたし、本当に知りません!叔母が借りた借金をなんで私に?下ろしてください!下ろしてくれなかったら通報しますよ!」
 「通報?このあま、通報は俺がしたいくらいだ!」
握りこぶしでウンタクの顔を殴ろうとするが、キィ~、耳を割く音を出して車が急停車した。巨体男とウンタクが瞬間的に座席から落ちそうになった。巨体男がちゃんと運転しろと大声で怒鳴ると、運転席の男がぶるぶる震えていた。
 「なんだ?」
 「あそこ・・・!」
周りが急に前よりもはるかに暗くなった。立ち込めた霧が道路の上に降りて一寸先も区分できないほどだった。街路灯の明かりの下だけなんとか見える程度だった。遠くの方の街路灯が雷でも落ちたように、ばりっ!大きな音を立てて割れた。車に乗っていた彼らはぼおっと前を見ていたが驚いて肩を震わせた。瞬間、街路灯の明かりが遠くから順番に素早くばりっ、ばりっ、ばりっ!割れて近くの街路灯まですべて消えてしまった。完璧な闇。車のヘッドライトだけがかすかに前を照らしていた。向こうから背の高い人影が近づいてきた。
暗くかすんだ人影が少しずつ鮮明になってきた。一体何なのか男二人が気の抜けた人のように叫び震える中ウンタクの目は大きく見開いた。見覚えのある顔が見えたようだった。広い歩幅でふたつの人影が近づいていた。
トッケビと死神だった。
 「なんだ、あいつら!頭のいかれたやつらじゃないのか?」
車道を横切って近づく二人に向かい巨体男が悪態をついた。瞬間二人が目の前から消えた。暗いだけで何もない。明らかに見えたのに錯覚だったのだろうか。車の中の男が当惑を隠せなかった。何か不吉だった。
 「何してるんだ。早く車を出せ!早く!」
後部座席の巨体男の催促にやっと我に返った運転席の男がアクセルを踏むと車がガタガタと速度を上げ始めた。その時車体からメリメリと音をたて、何かが壊れる重たい音がした。
車の前に現れたトッケビ、手に剣を持っていた。人々には見えない水の剣だ。強く剣を振り車体を縦に切断する。トッケビの剣が通り過ぎた車体が、ドスン、大きな音を立て、きれいに真っ二つに分かれた。冷たい外気が入ってきた。わあああという男たちの悲鳴が遠くになって、ウンタクは息もできず、助手席だけが命綱のようにぎゅっと掴んでいた。ガタッ、激しい破裂音とともにサラ金業者らが乗った半分は道路の下に転がって落ちていた。
やっと頭を上げると死神が車の横の部分を軽く掴んで立っていた。ウンタクはただ死神を見つめた。車を真っ二つにしたトッケビが近づいてきてウンタクのそばに立った。
 「降りないと」
 ぼおっとウンタクがうなずいた。ウンタクは思った以上に驚いていた。気に入らないとでもいうようにトッケビの眉間に若干皺がよった。
 「荷物をまとめて」
P145
ウンタクはシートの下に落ちた携帯電話や本などを震えた手で鞄の中に入れた。ただ受動的な反応であるだけだった。ウンタクが荷物をすべてまとめると、トッケビが手を差し出した。大きな手だった。その手を掴んでやっとの思いで車から降りたウンタク、どれほど緊張していたのか足が震えて膝がガクガクした。ふらつくウンタクをトッケビが抱きとめた。
 「怪我したのか?どこ?」
ウンタクが車から無事に降りて少し離れると死神が掴んでいた車体を離した。ドスン!半分になった車体が地面に食い込んだ。ウンタクがびくっと驚くとトッケビの胸に身体をぴたりとくっつけた。トッケビの広い胸がウンタクを包んだ。何かを言いたかったが声がうまく出なかった。息苦しさにこぶしで胸を叩いた。
 「何?」
 「怪我したか?って聞くわけ?あんな風に車を真っ二つにしておいて?」
それも死神と一緒に来るとは。死にたくなかったのに死神を連れてくるとは。
 「いや、その、あんな風にする前に奴らが怪我させたんじゃないかとただそう聞いただけなんだけど」
鼻白んだ表情でトッケビがウンタクの様子を伺った。ウンタクはどこかに行ってしまった魂をやっと取り戻している最中だった。血の気のない顔が少しよくなったようでトッケビはしばしウンタクを遠くに立たせ、サラ金業者たちが閉じ込められている道路の下に向かった。悪人は罪を認めなければならない。


他の人々が人生でなかなか経験できないことだったのだろう。拉致も、真っ二つになった車の中で生き残ったことも、死の峠が生の上にぼろ布のように重なっている気分だった。トッポッキの前に座っているトッケビも平凡な存在ではなかった。煮えているトッポッキの汁をお玉でぐるぐるかきまぜ、ウンタクは水を注いで飲んだ。水を飲んだのでさらに気分がましになったようだった。
 「なんでまだ出発しなかったの?行くって言ってたのに」
しっかりラーメンまで入れてトッポッキを煮ているウンタクを眺めながめトッケビはもうすぐ行くつもりだと言った。ものすごく驚いたようだったが、またすぐ普段のようにさえずっていた。
自分を眺めている視線を感じウンタクは静かにコップを下に置いた。ライターが床に落ちた時、本当に終わりだと思ったし、終わりでなければいいと思った。ひとつのことしか思いつかなかった。来てくれたらいいのにと。ライターも吹き消すことができなかったのに、どうやってきたのか聞くと トッケビがくすっと笑った。
 「強く念じる方みたいだな」
 「来れないかもしれなかったじゃない」
 「来ない理由がなかった」
ほうきだ。このおじさんはただのほうきだ。
自分が必要ないと言ったトッケビを恨みたかったがウンタクこそ、彼を恨む理由がなかった。むしろありがたくてなぜか申し訳なかった。自分を見る彼のまなざしがほろ苦かった。
 「すみませんでした。こんな風に新婦でもない私を忙しい中助けに来てくれて」
かなりすねているようだった。なだめる術もわからずトッケビは少ししかめっ面をした。
 「わたしの人生はおまけだとおっしゃったのはその通りみたいだし。19年前にわたしと母を助けてくれたそうじゃないですか。だからもうおじさんを恨まないことにしたの」
 「恨んでるみたいだけど。それもかなり」
横目でにらむウンタクにトッケビが言うとウンタクは違うと言い張った。トッポッキが煮えているガスの火を止めてウンタクは、ああ汁がなくなっちゃう、汁がないとしょっぱいのに、とぶつぶつ言っていた。これは恨んでいるのではないとあえて訂正しようとするが。そうだ。寂しいのだ。トッケビ新婦に本当になろうとしたのではないが、それでも議論もなく、うんともすんとも細かい話しもなく、違うとだけ言うからだ。
 「そうじゃなくて。これからは召喚もしないし。思ったりもしないし。何もしないから気を安らかにして、出発して。お元気で。いい人に会えたらいいと思うし。ちゃんとした自分を見つけてくれるそんなキレイな人。」
寂しい心をいっぱいに込めて、ダダダと言いたいことをすべて吐き出しウンタクは席を立った。自分を救って、また救ってくれた、2回も救ってくれて恨むどころかありがたいだけの。でも旅立つという人を目の前にしてトッポッキを食べたい気分ではなかった。すっかり煮えたので思う存分召しあがれと挨拶までして出ようとするウンタクをトッケビが掴んだ。
 「わたしお金ないの」
 「金は俺が出すからお前は時間を出せ。食べていけ」
 「わたしにご飯食べさせてくれるの?」
 そうだ。ご飯を食べさせて拉致したわけではないんだし、ウンタクがお腹が空いていることを心配した。
「心配、した」トッケビが素直に認めた。少しびっくりしたウンタクだったが、すぐに首を横に振った。
 「いやよ。おじさんと一緒に食べるのいや。それなら包んでもらってよ。」
 「恨んでいるのに違いないな」
率直すぎて、すべてばれてかわいいほどだった。トッケビが笑うと恥ずかしくなったウンタクは結局座ってトッポッキを食べ始めた。
P125
トッケビはトックァを通じて、気の毒な事情をたくさん抱えた目の前の女子高生、ウンタクの人生を調べたところだった。すれ違う縁の短い未来や吉凶禍福を見ることができるトッケビでも、詳細な内の事情まで知ることはできなかった。トックァが調べてきたウンタクに関する内容は十分予想可能なレベルだった。ウンタクの母が残した保険金が1億5千万ウォン。ウンタクの叔母は、まだ未成年であるウンタクの保護者の振りをしながら勝手気ままにやっていた様子だった。予想よりももっと、町内で噂になるほど辛く生きてきたようだった。
サラ金業者はお互いを恨み、噛みつきながら辛く生きることだろう。叔母の家族は金を盗んだ詐欺師として追われるだろうし、刑務所で朽ちるようになるだろう。財産に目がくらみ、肉親を虐待した者の最期はそうなって当然だった。彼がそのようにするだろう。


休み時間、ウンタクはしばしうつぶせて窓の外を見ていた。窓の外には黄色い銀杏の葉が宙を舞っていた。紅葉の葉を見れば自然とカナダを思い浮かべた。話にもならない愛の告白に当惑した顔、横で答えてくれた柔らかい声、墓標の前に立っていた後ろ姿。
 「知らない、行こうが行くまいが」
P126
学校を終えて店に行こうと向かう道が突然見知らぬ道になった。通りのあちこちに散らばっていたのはトッケビだった。トッケビ粉食、トッケビ本屋、トッケビ演劇ポスター、夜のトッケビ旅行のバナー広告まで。一面おじさんを思浮かべるものばかりだった。ウンタクは自分の頭をかき乱した。どんなに考えないようにしようとしてもトッケビはその長い脚で大手を振ってウンタクの頭の中を歩いていた。
結局ウンタクは街の小さい書店に向かい、捨ててきた紅葉の葉を取り戻しに行った。
元々はトッケビに紅葉の葉を渡そうとコーティングまでしたが、渡せなかった紅葉の葉を次の日、書店の児童コーナーのトッケビ童話の本にはさんで出てきた。それがもう数日前のことなので、もしかしたら本が売られて見つけられないかひやひやした。幸い、本はそのままあった。ただ自分を財閥3世だと言い張る若い男、トックァが本を買おうとしていたところだった。自分のものだと言っても信じないトックァをやっとの思いで説得し無事に紅葉の葉を受け取った。
紅葉の葉は再びポケットの中に戻ってきたが依然として気持ちはザワザワしていた。いつ旅立つのだろうか。ちょっとしたらと言ったから明日?まさか今日もう旅立ったんじゃないよね。チキン屋の厨房のガス台でイカを焼きながらウンタクは考えた。剣で車を真っ二つにしてしまった彼。無表情な顔が怖かった。自分に向けた怖い表情は少しも怖くなかった。それでも蝋燭を吹き消せば来ないかな?どこに行ったとしても。
P127
あらぬ考えがぞろぞろと続いた。そのようにぼうっとしていたら、イカに火がついたことも気づかなかった。ユ指に感じた熱気にウンタクが驚いて叫んだ。フーフー、もしや店が火事になったら大変だとイカについた火を必死に消してみると、やはりだった。
店の中にトッケビが立っていた。本を持って思索に浸っているように頬杖をついて立っている姿が洒落ていた。何かの広告のようだった。ウンタクはため息をついた。
 「本読んでらっしゃるんですね?」
 「いつも本をそばに置いて、音楽と絵に造詣が深い方だ」
 「すみませんね。読書してらっしゃるのに邪魔しちゃって」
 「だから。なぜ邪魔するんだ。もう呼ばないと言ったじゃないか」
トッケビが本を伏せて聞いた。失敗だった。完全な失敗。イカを焼いていてそうなったのだ。なぜまだここにいるのかと聞くウンタクの言葉にトッケビはなぜか傷ついた。
旅立つ準備をしているところだった。荷造りをしていた。そうしていてもふとウンタクを思い出した。死神と出会った日、自分の目を隠したウンタク。自分を守ろうとした。ウンタクを助けために。ウンタクが自分を助けようとしたのは違っていた。しかしお互いがお互いを助けたいと思う間柄にはなっていたようだった。その時煙が立ち込め、身体が消えた。ウンタクが自分を呼んでいて、少し笑いがおきたようだった。
P128
 「それでは、私はこれで。荷造りしないと」
 「あの~」
 「お前は必ず行こうとすると引き留めるな」
 「おじさんがいつも話しかけようとすると行っちゃうんでしょ? 気になることがあるんだけど」
 「5百(オベク)万はやらないぞ」
 断固とした言葉にウンタクはびっくりした表情を浮かべた。
 「告白(コベク)してあげないって聞こえた。おじさんが当てずっぽうで飛んでもない返事をするからよ!」
自分が聞き間違えたのを棚に上げ人のせいにするので呆れかえった。
 「どこからが俺のせいなんだ?」
 「あの時からよ。私が何か見えなきゃいけないっていった、あれ」
はっきりしたかった。はっきりして、トッケビの理想のタイプではなくて、新婦ではなくなったであるとか、幼いであるとか、おじさんが気に入らなくて新婦ではなくなったであるとか、ということだ。あまり恨めしい気持ちになりたくなかった。
 「だから、私が何を見なくちゃいけないの?利用価値があるようになるには」
 「教えたら見えるとでも言うのか?」
 「ううん。見えても見えないと言おうと思う。」
予想できない質問と答えが続きトッケビは当惑した。
ウンタクは恨めしくならないように質問を始めたのだが、聞けば聞くほどさらに恨めしくなっていた。
 「それが見えておじさんがすごく良くしてくれたらどうするの?五百万パッとくれて、やたらと肉を食べようと言って、欲しいものはないのかと言ってくれて。それでは私が疲れるじゃない?私はおじさんのことそれほどでもないのに。」
まともに虚を突かれた。何かに「(虚を)突かれる(韓国語でつかれると刺されるは同じ言葉)」のはものすごく嫌いな彼だが、ウンタクがそのようにした。別にという言葉にかっとなり、駄々をこねた。
 「何か特別なものが見えないか?すごく痛そうに見える、そういうもの?」
トッケビの言葉にウンタクの頭の中をかすめるものがあった。ほんの一瞬だった。
 「見える?」
重ねて聞くトッケビにウンタクは関心を消したかのように振舞った。
 「なあんだ。じゃ、さようなら。私忙しいからこれで」
見えるのだろうか。トッケビは目を大きく開いたままウンタクを掴まえた。
 「肉食べるか?何か欲しいものはないか?」
 「五百万、でなければお肉」

真昼間の焼肉屋で結局トッケビは休む間もなく牛肉を焼いていた。じゅうじゅう鉄板の上で焼かれる肉がすでに何枚目なのかわからなかった。ウンタクの感情は目に浮かぶほどに正直なものだったが、この問題においてはトッケビも感が働かなかった。やたらと顔色をうかがい、注意深く本当に見えるのかだけを重ねて聞いていた。
ウンタクははっきりと答えてあげたのではなかった。見えるようでもあり、見えないようでもあった。自分の胸に差し込まれた大きな剣が。
トッケビは矢も楯もたまらなくなった。焦れこむ理由が、ウンタクが自分がそのように探したトッケビ新婦だったらよかったのか、考えたままにウンタクがトッケビ新婦ではないことを望んでいたのか区別できないままだった。
すっかり肉でお腹も膨れた後、ウンタクはカフェで生フルーツジュースまで注文した。カフェでトッケビはしばし守護神になった。お互い名前も知らなかった男女をカップルにしてあげた。前世に善行をたくさんした人たちだった。とても深く絡んだ二人だったのでトッケビは彼らのために喜んで魔法のような瞬間を作ってあげた。たびたびやることであった。
 「本当に守護神なのね。」
ウンタクは頬杖をついて今日もさらにハンサムな秋の日差しの中のトッケビを見つめていた。その姿を見ながら、自分の前世が気になりだした。
 「おじさん、私の人生がこの程度なのは私が前世で罪を犯したからなの?トッケビ新婦として生まれたのはその罰なの?」
P131
トッケビは、やはり陽射しの中に立ったウンタクを見下ろしていた。かすかな眼差しだ。明快であり、やっかいな質問だった。
 「前世がどうだったかは知らないし、現世を論ずるには19才はまだ幼く、お前はトッケビ新婦ではなく」
 「あ、引っかからなかった。多事多難ではあるけど、わたしも自分の人生が好きよ。母さんにたっぷり愛されて、私の傘もできたし、おじさんに会えたこともいいし、あ、違う、よかったし」
 「。。。。。」
 「過去形。」
ウンタクが素早く付け足し、トッケビはむしろ笑う。19才ウンタクが可笑しくて威勢がよくて。
 「後から文句も言うし。見えるのか見えないのかまだ答えはなくて。見えるの?見えないの?」
 「母さんがこう言ったの。人は横になれる場所を見て足を伸ばし、行くときを知って旅立たなければならないって。どういう意味かわかるでしょ?」(※自分の身の程をわきまえるという意味)
 「わからないんだけど」
 「私たち、ここまでっていう意味よ。私はこっちに。じゃ、さようなら。」
 分かれ道だった。ウンタクは右に歩いて行った。振り向くのはやめようと心に決めながら。振り向いてもどうせ彼は瞬間で消えているだろうし、私は傷つくだろうから。なぜ傷つくのかと言えば、嬉しかったからだ。
少しでもそばに誰かがいたということが、呼ぶ人が、助けてくれる人がいたということがだ。一人ではなかった瞬間。その瞬間があのおじさんと一緒でさらに良かったようでもあった。でも彼はいなくなる人だ。振り返ればいなくなってしまう人。
 固く心に誓っても結局振り返った。19才ウンタクは依然として期待していた。幸せになる期待、当然誰もいないと思っていたところにトッケビが依然として立っていた。視線が絡み合った。何か言うことがある人達のように。おいそれと言葉を取り出すことができない人達のようにしばらく立っていた。結局何も言えない人達のように。


外出準備を終えた死神にトッケビがくっついていた。面倒くさいほどに自分の後ろをついてまわるトッケビに死神は苛立った。クリーニング屋に行って、スーパーマーケットで買い物をする平凡なスケジュールだったが、マーケットまでついてきた。トッケビは死神がウンタクを連れていくチャンスを狙っていると考えた。その他漏落者は連れていかなければならないのはその通りだが、19年分の書類を準備するのは並大抵ではなかった。面倒くさくてまだ後回しにしていたのだが、トッケビがこんな風では一日も早く連れていかなければならないと思う、そんな心境だった。死神がショッピングカートを押しながら言った。
 「俺はあの子を連れていかないし。すごく応援しているんだから。今」
 「お前がなんであの子を応援するんだ」
 「俺は本当にあの子の味方だ。新婦が剣を抜けば死ぬんだと。海外に行くのではなくて永遠に旅立つのがもっといいんじゃないか?今すぐは剣を見れなくても見ることができる日が来るかもしれない奇跡にようなことを信じてみようと。俺はその日に賭けた。」
 ぶつぶつと言う死神にしばしキレそうになったトッケビだったが、すぐに怒るのを辞めた。死神がカートに入れた食品を順番にレジ台の上に上げた。
トッケビが、前世であり今生きている生のすべての瞬間が忘れられなくて辛ければ、死神はその反対だった。すべての瞬間の記憶がなかった。前世で洗い流すことができない大きな罪がある者たちが死んで昇天できず、そだといって地獄の火に落ちることもないまま、死神になった。死神になって亡者を導くくたびれる仕事をしながら罪を償うのだ。二人の辛さは全く異なるようでもあり、似ている部分もあった。他の平凡な人々は受け入れることのできない辛さだ。
それさえも神の意志かもしれないが、どういうわけか同じ家に住むようになった。小心でおひとよしにまで見える死神とかなりぶつかり合った。それでもしばらく一緒に暮らし情が生まれた。トッケビの表情が前と異なり思いっきり真面目になった。
P134
 「わかった。約束を一つだけしろ」
 「急に何の約束」
 「俺がいなくなったら、あの子に構うな」
そうでなくても、飛び出したような大きな死神の目が大きくなった。それまで旅立つと言ってきたし、死神もトッケビの家を自分の家として確定できるので行けと毎日のように背中を押していた。それでも突然な気分になった。

 「ただ、あの子を連れていこうと身構えた瞬間、俺はいつどこにいてもすぐに戻ってくる。あの家に。だからあの子をそのまま放っておけ」
新婦でもないのに、そんなお願いをするのは自分が救った命に対する責任感だからか。死神は目を細めた。
 「いつ行くんだ」
 「明後日。嬉しいか?」
死神は答えもなく袋に会計したものを入れた。本当に情が移ったようだった。二人の顔の上に影ができた。

会計を終えてマーケットから出てくるためにトッケビはドアを開けた。一歩入るとある家の小さい庭だった。ウンタクの家だった。手にマーケットの袋を持ち、振り返っても死神は見えなかった。トッケビのドアをついてこれるのは誰もいない。いや、いなかった。ウンタクはちゃんとついて来たから。ドアは彼が思うところに彼を導いた。慌ただしく立ってたが、注意深く表玄関のドアが開き、誰かがにゅっと顔を出した。トッケビと視線が合いひどく驚いたウンタクだった。心臓が飛びでるかと思った。再び会うことはないと思っていた。すぐに彼を掴んで表門の外に出てきた。
 「家まで来てどうするの?叔母さんが知ったらわたし殺される。気づかれなかった?叔母さんたちもう寝た?」
 「知らん」
 「ああびっくり。うちに何のご用です?私に会いに来たの?」
 「俺がお前のことをちょっと考えたみたいだ。」
しばし視線が重たく落ちた。すぐにウンタクはわざと咳払いをし、ドキドキする心臓を落ち着かせた。
 「どうして?私が新婦の振りして、かわいい振りして、毎日命を救わなくちゃいけない面倒までかけたのに、なんで会いに来たの?」
気を取り直して問いただすウンタクを見てトッケビの口元が軽くなった。死神にお前を連れていくなと警告してよかったようだ。(死神に邪魔されず)少し長く生きて、こんな風にずっと爽やかに成長すればいい。
 「こんなのを見たくて来たみたいだ。見たから行くよ。叔母さんの家族は消えた。家は誰もいないから入れ」
ウンタクは正直なトッケビの言葉に驚いたが叔母の家族が消えたという話にさらにびくりとした。まさかトッケビが私の願いを叶えてくれたと言って、殺したのではないかということまで疑った。
 「それを望むならそこまでするし」
 「違う、冗談なのに!」
 「俺も冗談だ。じゃ行くよ」
まじめなようでありながら、違った。ウンタクは目を細めた。
蕎麦の花を持っていこうと家に立ち寄ったところだった。家出した勢いで机の上に掛けてあった蕎麦の花が気になっていた。もうすっかりバラバラになっていたかもしれないのに。それでも旅立つ前に顔を一度見たのでよかったと思った。裏道に一人立ったウンタクは思った。


機内用のキャリーよりもさらに小さい革製のバックにトッケビは2、30年ほど溜まった荷物をまとめた。衣類が数枚、パスポート、本、古い手紙、とても古びたノートがすべてだった。ノートは彼の日記帳であり、祈祷文が書かれていた。死を望む祈祷、行って見れば遺言状だった。そして小さい箱をじっと見つめた。注意深く箱を開けると綺麗に包まれた掛け軸が入っていた。沁みでもできてはいけないと息も止めて古い掛け軸を広げた。王の前に進んで行ってくれと言った妹の肖像画だった。王が最期に残した絵でもあった、美しく、また美しかった。
トッケビの目が悲しさで湿っぽくなった。周りの空気も一緒に湿気を帯びた。荷物をすべて整理しリビングに入った彼は冷蔵庫から缶ビールを2缶取り出し開けた。トックァにはクレジットカード1枚でもやれば十分だろう。大事な肖像画は柳会長に渡す予定だった。誰よりも大切にしてくれる人だった。この家は契約書通り死神に残していけばよい。再び戻ってきた時、ここはどのように変わっているだろうか。
すっきりしつつもほろ苦いビールを喉に流し込んだ。2缶程度飲むと、どこかに行きたくなった。トッケビは席から立つと玄関のドアを開けて出ていった。目を開けると・・・違う。再び家に戻ってきて再びドアを開けて出ていった。また、違う。
トッケビがずっと出たり入ったりしているうちに、気分が悪くなった。その様子を見ていた死神が言った。眉をひそめながら、いったい何をしているのか聞いても、トッケビは何も言わずにドアから消えまた戻るを繰り返していた。短い瞬間、どこをどのように歩いているのかわからなかった。
 「何してるんだ?ビール2缶でそんな風になるのか?」
トッケビの目が少しとろんとしていた。酒もかなり弱かった。
 「どこにいるのかわからん」
 「誰が」
 「俺を呼ばない。呼ばないから探すことができない。全知全能までではないができないことはないのに。あの子を探すことができない。俺が持っているのは何の役にも立たない。」
 「実際そうだ。のんびり暮らすのがいいよ。じゃあこの前はどんなふうにしたの?」
見つけた。毎回。こんな風に
ドアノブを一度回して出た。ドアの外が明るくなって暗くなった。再びドアが開いた。肩をすくめたトッケビが戻ってきた。トッケビの行動を見守っていた死神は、いやいや、と首を横に振った。外で雨が降り始めた。一粒、一粒、トッケビは靴箱の横の黒の長傘一つ手に持った。そこにも居なければ、たぶん会えずに旅立つことになるようだった。
そして探し出した。
あの海辺だった。防波堤に今日も波が近づいてぶつかって引くを繰り返していた。そして自分が救った小さい少女、いつもあのように一人でいる少女をトッケビはぼんやりと眺めていた。
ウンタクは海辺にしゃがんで海なのか空なのかわからない水平線に向かって訴えていた。叔母の家族が出ていくと保証金をすっかり抜いて消えたのだ。連絡先などどこに行ったのかまったく分からなかった。家主であるおばさんに聞いてみても返ってくるのは答えではなく早く荷物をまとめて、という話だった多くない衣類と乾いた蕎麦の花だけようやくとりまとめた。本当に家も財産もない身の上になってしまった。明日はもっと良くなるだろうという思いが恐ろしく悪くなった。もっと悪くなるかもしれなかった。すでにどん底まで落ちたと思っていたのに。
地下鉄のコインロッカーに荷物を預けて学校に行ったが、学校では担任の先生がまたウンタクをネズミを掴まえるように掴まえた。鞄からぞろぞろこぼれ落ちたマッチとライターのせいでたばこを吸っているという嫌疑をかけられた。先生に誤解だとそうではないと説明する術がなかった。すでに先生はウンタクがタバコを吸うと確信している状態だった。今、それが問題ではなくて、私が本当に名前だけだった家もなく保護者もいなくて大変なんです。そのようなことを言いたかったが、ずっと言うことができなかった。
海に向かって言うべきか、空に向かって言うべきか。ウンタクが悩んで空を仰いだ。たぶん優しかった母さんは天国に行っただろう。
 「母さん、元気? 母さん、天国に行った? 天国はどう? ここよりまし?母さん、わたし・・・・」
母が必ずしていなさいと言ったマフラーに顎を埋めた。言葉が出てこなかった。ずっと同じ言葉を繰り返した。
 「母さん、私・・・」
鼻先がつんとした。
 「母さん、私、元気じゃない」
耳を傾けてみたが、静寂だけだった。ウンタクはため息をついた。
「誰も私に元気か聞いてくれないの。」
涙がつうっと柔らかい頬を伝った。同時に空からも雨粒が落ち始めた。頭のてっぺんに、足先に、落ちる雨粒。涙も雨も、嫌気のさすような人生の象徴のようだった。雨が降って、また泣きたくなった。
 「また?もうこりごり。本当に、雨の降る人生」
膝をかかえてその間に顔を埋めた。背中に雨が降った。しかしすぐに静かになった。ウンタクの人生にこのように雨が止むはずがないのに。不思議に思って顔を上げた。傘を持ったトッケビが静かにウンタクを見ていた。
 「俺が憂鬱だからだ」
トッケビの低い声にウンタクはゆっくりと目をパチパチした。淀み一つない黒い瞳がトッケビに届いた。
 「雨はすぐ止む」
 「おじさんが憂鬱だと雨が降るの?」
笑わせようとした言葉だと思って、聞き返したがトッケビがかなり真面目にそうだと答えた。ウンタクは笑ってしまった。泣いて笑ったらだめなのに。これは反則だった。断崖絶壁に立ったようにひやひやする時こんな風に傘になってくれたらそれはいい人ではなく、悪い人だ。いなくなる人だから。自分は利用価値がないと言う人だから。どうせ人ではなくトッケビだが。
 「だったら台風の時はどれだけ憂鬱なの?」
 「それは俺じゃない。地球の憂鬱。元気だったか?」
元気じゃない、と少し前に言った。誰も元気かと聞いてくれないと。でもこのように聞いてくれた。傘の上にバラバラと落ちていた雨が静まった。本当に雨が止んだ。疑うような目で見つめるとトッケビが少し笑みを浮かべた。
 「今、気分がよくなったんだよ」
本当なのか不思議なトッケビの国にいる気分だった。ウンタクは手の甲で涙の跡を拭いた。本当に憂鬱なら雨が降るのね。憂鬱なんだなあ。このおじさんも。
 「わたし、おじさんを呼んでないんだけど」
 「呼んでないな。俺も忙しい。あれこれやることが多くて。ずっと」
 「大変!」
 「どうした?」
 「雨が降るたびにおじさんが憂鬱なのかなと思うからよ。四顧無託(身寄りがない)でいっぱいいっぱいなのにおじさんの心配まで増えて」
笑うことも泣くこともどちらでもない表情でウンタクが口角を上げた。その表情が華やいた。心までウンタクの輝きが届いた。トッケビが視線を伏せた。自分が救った子供は確実によく育っていた。ただもう少し寂しくなければいいのだが。薄手のコートが気になった。
 「寒くないか?なんでこうしているんだ」
 「不幸だから。もうただ風邪みたい、不幸が。忘れていたころにやってきて時がくればかかるの。嫌味を言ってる(刺される)わけではないけど。」
 「知ってて言ったんじゃないだろ?」
 「図星(刺される)というのがあるみたいね」
 「その言葉を言うな。俺が一番嫌いなことばは「刺される」だ。」
大したことではない言葉に閉口するトッケビを見てウンタクはニタニタと笑った。彼との会話が楽しかった。一人で泣いていたこととは比較にもならないほど。傘を持ったトッケビはウンタクにもっと話しを聞いてやるといった。空に向かってした話をウンタクは彼にした。
 「もしかしてこの話知ってる?人間には4回生があるんですって。種を撒く生。撒いた種に水をやる生。水を与えた種を収穫する生。収穫したものを使う生。」
 「そんなことなんでお前が知ってるんだ。それは死神が亡者にしてやることなのに」
 「トッケビ新婦稼業で19年目なのよ。鬼神たちの話でしょ。だからすごく悔しい。わたしのくそくらえな人生がいつも同じなの。」
本当に悔しいというように眉を下げウンタクがトッケビをじろじろと見た。辛い話をすべて聞いてやるように振舞ったが、いざこのようにしてやらなければならないとは思わなかった。願いを聞いてやる方がいっそ楽だった。そんなトッケビの難しさに気づいたのかウンタクが先に言った。
 「たくさんあるじゃない。肩をトントン、頭をなでなで。5百万ポン!」
慰めてやる方法。何が必要なのか明白だった。ウンタクの丁寧な説明にも返ってくるものはなかった。ちっ!ウンタクは唇をゆがめすぐに鞄の中からそっと何かを取り出した。コーティングされた紅葉の葉が思い浮かんだためだった。今度は本当に渡すことができそうだった。
 「プレゼント。綺麗でしょ?」
 「綺麗だな。」
手に持った紅葉の葉はものすごく薄かった。カナダの思い出がすっぽり詰まっていた。ウンタクには本当に大切な思い出だった。真っ赤な紅葉の葉が綺麗だった。この紅葉の葉に込めた思い出も心もすべて美しく感じられてトッケビはかえって悲しくなった。手を上げてすっとウンタクの頭を撫でてやった。髪の毛の上を通り過ぎたぬくもりが暖かかった。
 「何してるの?」
 「頭を撫でて・・・元気で、という挨拶。俺は明日旅立つんだ」
だからいなくなるという存在だった。探しに来てくれる人ではあったが。務めて心を引き締めた。いい思い出もひとつぐらいはできたし、慰めてももらった。だから辞めなければ。何を辞めなければならないのかわからなくてウンタクはただ辞めなければと自分を諭した。再び傘の上に雨が降り始めた。不規則な拍子で降る雨音が心臓の鼓動のように大きく響いた。


(つづく)

気の強いウンタクに言葉でやり込められるトッケビがかわいいです。
セリフが面白い~♪

この次はいよいよ・・なんですが・・・
GWが入るのでしばし間があくかもしれません・・・・・
ミヤナムニダ(-_-)

● COMMENT ●

この回、すごく長い翻訳でしたね~~~お疲れさまでした。

イッキ読みしたくて、何度か読みかけては止めようと……そしてようやく読むことができました。
シーン、シーンが蘇ってーーー
日本語にしにくい韓国語のニュアンスも解説してもらってなるほどと・・・・

あの車まっぷたつから、ウンタクがトッケビがいなくなるとモヤモヤしているところまで読ませてもらえて、あぁそうだった!そうだった!と反復しながら読み進めました。
あぁ言えばこういうふうなウンタクの頭の回転のよい会話がいいですね~

車まっぷたつのシーンはメイキングで見て、撮影たいへんだったんだなぁと思いました。
死神とトッケビの登場シーンは、ドラマの中でのパロディも含めて楽しくてすごく印象的なシーンでした。

このみさん

長~い章、読んでいただきありがとうございます~(^^ゞ
そうでした。この回、異常に長くて、訳しても訳しても先が見えない・・・・
へこたれそうな作業でした・・(笑)
それでも続けられるのはシナリオが面白くてセリフが楽しいからですかね。

ウンタクのセリフがいいですね。
頭がいいというか、独特な論理展開で900才超えるトッケビも
タジタジなところが面白いです♡
コンケビ、カワイイです♡


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プロフィール

SAMTA

Author:SAMTA
横浜在住
韓国ドラマ・映画好き
韓国俳優キム・ミョンミンさんの
カンマエに嵌ったのが2009年5月。
それからミョンミン道一筋です☆
韓国語、韓国料理など韓国文化全般に
興味があります。☆

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