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2017-10

韓国ドラマ「トッケビ」小説 コツコツ翻訳4 悩める主語の訳し方 - 2017.04.08 Sat

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キン屋の美人社長、サニーがついに登場します。
ユ・インナさんもこのドラマで大ヒットした役者さんの一人ですね。
同じく、死神役でブレイクしたイ・ドンウクさんとCM出演もして今もひっぱりだこらしいです。
キャラクターがとてもよかったです♪

トッケビは相変わらず、ウンタクに振り回されて戸惑っている感じがとてもカワイイですね。
939才!の大人としては19才のピチピチ女子高生とどう向き合っていいのか
まったくわからないんでしょうねえ・・・(笑)

ところで、韓国語の翻訳でいつも悩むのは主語の訳し方。

日本語は男性の場合、「私」、「僕」、「俺」、女性は「私」がありますが
韓国語では敬語、丁寧語の저 チョ とカジュアルな 나  ナ の2種類しかありません。
しかも男女の差がないんですね。

それでミョンミンさんのインタビューを訳す時もどれを採用するか、いつも悩みます。
ミョンミンさんの訳では「俺」は使ったことはないと思うのですが
(私のミョンミンさんのイメージの中に「俺」という選択肢がない)
話し相手の関係などを考慮して、わたし、僕を選択します。


韓国語ではウンタクや死神など年下を相手に話すので「나」(ナ)、パンマルです。
(なにせ939才ですからね。)
なので私は、トッケビが自分を指す主語は「俺」にしました。
僕ではないよなあ・・・私でもないし・・・・
あくまでも私の解釈ですけどね。

Mnetの字幕では「私」になってたような。
訳をする人がドラマの主人公をどのように設定するかで
話し方やトーンが変わることもあると思いますね。

翻訳って奥が深いわ(^^ゞ

今回も難しいところがいくつかありました。
あ、助詞の誤植もありました・・・^_^;
韓国の本は結構間違いあります。


P95
奇跡 기적
 「本当に今日決まるのかな」
チキン屋の前を通るとアルバイト求む、のビラが貼ってあり、ウンタクは早速店の中に入っていった。テーブルがかなりあるが、客は一人もいなかった。窓際の席に座った女性が、じっと動かず、機械的にポンティギ(ポン菓子)を食べていた。とても美しく、現実感がないほどだった。しっかりとドアを開けて入って行きながら、あわわわとなっているウンタクに向かって女性がテイクアウトするかと聞いた。








 「あ、わたしお客さんじゃないんです。アルバイト求むってあったので、社長さんいらっしゃらないですか?」
 「いらっしゃるわ、ここに」
現実感ないほど美しい女性が社長だった。美しいが社長だと言うのでさらに美しいようでもあり、社長が座れとテーブルを叩くのでウンタクはすぐに椅子に座った。そばで見るとさらに美しかった。
 「高校生?」
 「あ、はい。社長さんだったんですね。あまりにもお美しいのでお客さんだと思いました」
 「でしょう? “お客さん”は美しいのに。お客さん見たのがいつなのかわからないわ」
歯切れのいい話し方が魅力的だった。チキン屋の社長、名前はサニーだった。本名は他にあるだろうが、サニーという名前が気にって使っていた。ウンタクはこのような面接は初めてで、かなり面喰った。気になることがあれば聞いてくださいと言ったが、これと言って質問はせず、ウンタクは自らあれこれ話すことにした。
 「参考までに、私は社長さんの条件に全部合わせることができます。これ以上行くところがないです。年は19才で幼いころに両親を亡くして、四顧無託(サゴムタク:身寄りがないこと)で生涯孤独・・・」
 「あ、大根(韓国語で무ム)、うちの大根美味しいんだけど。お客さんが大根くれって言ったのがいつだったか忘れたわ」

(←チキン屋さんでは必ずお甘酸っぱい大根の漬物が添えられて出るとのこと。「サゴムタク」はちょっと難しい四字熟語で、サニーがちゃんと聞き取れず、「ム」という言葉だけに反応して大根、と言ってボケてます(笑))

お客さんがいないというのが、相当いないみたいだ。ウンタクは背中の後ろから冷や汗が流れるようだった。
 「貧乏なの?」
 「どちらかといえば」
 「学校は?通ってないの?」
 「「通ってます。高3です」
 「いいわね。若くて」
会話の流れを掴むことができず当惑し続けるウンタクだがなぜか気分は悪くなかった。美しい社長だからそうなのかもわからなかった。
 「この後約束あるの?」
 「いいえ」
 「じゃ今日から私たち一緒にしましょ、仕事して」
このように呆れるほど簡単にアルバイトが決まった。
ウンタクはすぐに立ち上がって感謝の挨拶をした。本当に一生懸命やると勇ましく宣言するウンタクを見て社長はくすっと笑ってしまった。社長も幼くかわいくてしっかりしているウンタクが気に入った。このようにウンタクを採用したサニーは用事があるとすぐに出掛けてしまった。
本当に守護神のようだった。ともかく自分はそうではないと言うが、トッケビもそうなのではないか。ウンタクは自分の名前が書かれた名札を胸につけて考えた。この知らせを一番先に伝えたかったのはやはり彼だった。彼が助けてくれたのだから。それでずっと考えてみたが、店には依然として誰もいなかった。考えるだけでも来ると言っていたのに。結局チキン屋の名前が大きく入ったマッチを出して擦った。
 「わたし、ついにアルバイト決まったの!社長さん超美人!」
嬉しくて自慢げなウンタクの前にやはりトッケビが現れた。現れるには現れたが、前とは少し違う姿だった。部屋のスリッパにパジャマ姿だった。ガウンを羽織っていたのが幸いだった。手にはステーキ一切れを刺したフォークを持っていた。
口にいざステーキを入れようとしたのだが、身体が消えウンタクの前にいた。トッケビはできる限りのしかめ面をした。
 「高いもの食べてますね。それなのに500万くれないなんて。」
 「携帯で連絡しあって約束して会うということは考えないのか?文明人らしく」
 「わたしはこのままで大丈夫」
 「俺が大丈夫じゃないんだ。俺のことは考えないのか?」
 「考えたのに、来なかったんだけど」
考えただけでも来るという言葉は嘘だったのでトッケビは内心ぎくりとした。それでもこの先ずっと無防備状態で呼ばれることはできないことだった。
 「未来を約束してお付き合いする考えはあるけど・・・愛してる」
唐突すぎて、思慮分別がないように感じられる愛の告白だった。
アルバイトが決まったと、ウンタクはかなり気分がよかった。顔を一度しかめたトッケビは消えてしまったが、おめでとうの一言もなかったが、別に構わなかった。ステーキの臭いのせいでお腹が空いたのがもっと問題だった。

そのように寝間着姿でウンタクに呼ばれて出ていって以降、トッケビには悩みができた。時と場所を選ばず召喚されるということは思った以上に大変なことだった。トッケビは我を忘れて家の中を行ったり来たりして、死神の部屋のドアを叩いた。なんだかんだと言いあう間柄だが、人間ではない存在同士、話し相手として最高の相手は他にいなかった。
死神は気乗りのしない表情で、トッケビが大騒ぎしているのを見なければならなかった。最初は服だった。服を何度か着替えると、一番かっこよく見えるのはどれかと聞いた。CDケースとLP版を持って来たりもした。クラッシックからK-POPまで聞くスタイルだと。死神は呆れてものが言えなかった。
 「最近誰がそんな音楽を聴くんだ?」
死神が面と向かって否定すると今度は額に入った絵を持ってきた。
 「ちょっとは集中して考えてくれ!俺がこの家を出る時に着る服だと思って。そうすれば簡単なはずだ」
その言葉が集中力を高めることに助けになるのかと思った。それも束の間、あれこれとやるのだがまったく終わる気配がなく、死神は布団を頭までかぶって就寝の準備をした。白いシーツを頭まで被ったのが死んだ人を見るようだと、トッケビは冷ややかな気分で死神の部屋からそっと出ていった。

P100

相次ぐ豪雨の観測に気象庁が一部地域に豪雨注意報を発令したという天気予報がテレビから流れた。チキン屋のガラス窓の外にも雨が降っていた。ウンタクはモップで熱心に床を拭き降り続く雨を眺めていた。社長であるサニーもテーブルに座って窓の外を見ていた。
 「雨が降ってる・・・いいね」
ポン菓子を食べながら言うサニーの横にウンタクが近づいて立った。
 「何がいいんですか?雨が降ったらお客さん来ないのに」
 「雨が降らなくてもお客さんはこないの。どうせ来ないなら雨でも来ればいいじゃない」
本当に不思議な社長だ。美しい社長がいいと言ったのでウンタクも一緒にいいと思ったが、傘がないのが心配だった。
 「私のがたくさんあるし。ひとつ持っていって。面倒だから毎日持って帰らなかったの。面倒だから絶対持ってこないように」
 「え?本当ですか?」
隅に置かれた傘立にサニーの言葉通り傘が何本かささっていた。ウンタクはその中で一番平凡に見える傘を1本取った。
 「うわ、私の傘ができた。ありがとうございます!」
傘を初めて見たわけでもないのにものすごく喜ぶウンタクを見てサニーは無造作にポン菓子を一掴み口に入れた。ウンタクにとって傘がどんな意味か知らず怪しく思ったのも当然だった。
叔母の家族たちは二つある傘の内ひとつもウンタクにくれなかった。サニーが快くくれた小さい傘ひとつも、ウンタクにとってはとても大きな親切だった。アルバイトの口も傘も、少しだけ人生がましになったような気分だった。やはり守護神に出会ったおかげなのか?ウンタクは傘を広げ回してみた。しょぼしょぼと降る雨も今日はそれほど憎らしくなかった。


真心を込めてコーティングした紅葉の葉をくるくると手で回した。あ~きれい。私が作った紅葉の葉のしおりがすごく気に入ってウンタクは笑った。人気のない夜だった。図書館の後ろの階段でウンタクはかがんで座りマッチを持った。意味もなく髪も一度整え、わざとらしい咳払いをして、呼吸を整えた後、マッチの火をつけてふうっと吹いた。目の前にトッケビが現れる番だから。
 「おじさん、私、おじさんにプレゼント・・・!」
ウンタクは言い終わらないうちに口を開けたまま固まってしまった。前に現れたのはトッケビではなく死神だった。見たことがあった。私を現世かあの世かに連れて行こうとした。ウンタクは目をぎゅっと閉じてまた開けては素早く首を回した。
 「マフラー、マフラー置いてきちゃった」
訳もなく首の回りをさわりながら後ろを向いたのに死神がいつの間にか目の前に移動していた。
 「やっぱり、お前は俺が見えるんだな。10年前も今も。リアクションもまったく同じ。見えてるのはすべて分かってる。もうお前を守る者もいないし」
やはり逃げるのは難しいようだった。ウンタクはこぶしを握ったまま死神を見た。心臓が激しく鼓動した。
 「わたしもバレてるのは知ってるわ」
 「引っ越したんだな?おかげで10年間探していたところだがこんな風に会うとはな」
 「それなら探さないでよ!この程度ならこの世ではストーカーと呼ぶのよ。訴えてやる。名簿に私の名前もないじゃない」
 「その他漏落者*の名簿には上がってる。19年分の証明書類が頭痛の種ではあるが」*名簿から漏れた人
現世で名簿に上がった亡者が再び生き返ることは奇跡だと言うなら、死神にはその奇跡というその他漏落者が発生したという意味だけだった。漏れてしまったのだから、書類を準備しもう一度名簿に上げなければならない人間のことだ。
 「じゃあ私はどうなるの?死ぬの?わたしやっと19才になったのに」
 「9才でも死ぬし、10才でも死ぬ。それが死というものだ」
冷徹な死神の言葉に思考が止まった。恐ろしい。死ぬほど辛いことはあっても死にたいと思ったことはなかった。いつか自分にも希望というものが生まれるはずだから。そのように耐えて待っていたらついに私の願いを叶えてくれる誰かができたと思ったのに。ここにきて死ぬことはできなかった。
息を止めたウンタクの後ろで黒い影ができた。影の存在に気付いた死神は眉間に皺を寄せた。
 「今度はいったい誰と一緒なんだ、お前」
振り返ってみるとトッケビが立っていた。トッケビを発見したウンタクが驚いて駆け寄り、かかとを上げて手のひらでトッケビの目の前を塞いだ。
 「目を閉じて。目を合わせたらだめよ。あの人死神なの」
ウンタクの手のひらで前が塞がれたトッケビは目を下に向けてウンタクを見た。ウンタクは震えていた。声も手も震えた。そうしながらも硬く死神を警戒していた。まるで自分を死神から守ろうとでもするように。自分ひとり守ることもできず大いに固まっていながらも。
P104
最近、都心におかしなほど雨がたくさん降るのはトッケビのせいだった。彼の気分によって気まぐれに変わった。いつも完璧な姿で会う準備をしていてもウンタクは呼ばなかった。それでイライラした。なぜイライラするのかは正確にわからないが。
そしてついに呼ばれたのに、死神の前だった。本当におかしな子だった。いつでも変な気分になった。今まで経験したことのなかった気分。毎回違う種類で、いつも変だった。目の前を塞いだウンタクの手をぎゅっと掴んで下ろした。そしてウンタクを見て言った。
 「大丈夫だ。俺たち旧知の仲だ。」
トッケビは今度は死神を見て言った。
 「仕事中だったようだな」
その言葉を聞いたウンタクが止めていた息をふうっと吐いた。それでも依然として警戒心を解かず死神をにらみつけた。その視線を受けている死神こそ聞きたかった。二人が知り合いであることが不思議だった。
 「俺はそうだが、お前は何をしているのかわからないね」
 「俺は人間の生死に関与している最中だ」
 「だから言うけど。すごい間違いを犯すようだ。この子はすでに19年前・・」
死神が言い終える前に晴れた空に稲妻が走り暗い空が大きく光った。トッケビの表情が険しくなった。
P105
死神は固唾を飲んだ。トッケビから心の声が聞こえてきた。
 「トッケビが真面目な時はちゃんと話を聞けと教わらなかったか?気を付けろ。お前の生死にも関与したくなるかもしれなから。」
いったいどんな関係なのか想像もつかなかった。いったい誰のためにトッケビがこの子の生死に関与しているというのか。死神も怒ったトッケビの考えに逆らいたくなかった。二人のただならぬ雰囲気に勝てず、ウンタクが逃げようとするとトッケビが腕を掴み引っ張った。
 「大丈夫だ。そこにいろ。お前を連れていくことはできない」
 「でもさっき、私を10年探していたって」
 「それでも、お前を100年探していたとしても、それでも、どんな死神もトッケビに嫁に行くという子を連れていくことはできない。それもトッケビの目の前で。」
トッケビの低い声にウンタクの目が大きくなった。救急車の音が遠くでうるさく鳴り響いていた。死神は目深にかぶった帽子をかぶり直した。今日ここにきたのはウンタクではなく、病院で仕事をしていた医者の息を引き取るためだった。細かい話は家ですればいいことだった。
 「じゃ、また会おうな。今日のように偶然でもいいし、先に約束してもいいし」
死んだ人が話す言葉に違いはなく、ウンタクは本能的に身体を後ずさりさせた。死神は悠々と救急車が過ぎていった病院に向かった。

図書館の前には二人だけが残った。頭の中が果てしなく混乱していた。ウンタクは食い入るように、固い表情のトッケビを見つめていた。
 「言えよ。言いたいことがたくさんあるって顔してる」
 「やっぱり、トッケビじゃない。そうだと思った。でもなんでトッケビじゃないって嘘ついたの?」
追及したかったがひどく暗い表情なので、不安で声が震えた。ウンタクはポケットの中の紅葉の葉を思い出した。予想通り彼はトッケビだった。なのにこれまで自分はトッケビではないと言ってきた。ウンタクはそれでまた傷ついた。彼が私にトッケビ新婦ではないと否定したことが・・・彼がトッケビであることを願いながらも同時にそうではないことを願ったのは、彼がウンタクを見て、トッケビ新婦ではないといったためだった。
 「最初はお前ともう一度会うとは思わなかったからだ。お前が入ってくると思うか?一度も誰も付いて来たことのない俺の扉の中に」
 「その次は?わたしがその次も何度か聞いたじゃない」
 「その次は訂正する必要がないから。最初から今までたぶんこれからもお前はトッケビ新婦ではない」
 「じゃあ、わたしは何なの?幽霊たちが毎日あのトッケビのもんだと声をかけて、無視すれば見えないといじめて、見えれば見えたでくっついてきて、こんな風に生きてきたのに、死神は生きていること自体が間違いだと言って。こんなわたしは何なの?」
 「言っただろ。お前が甘んじて受け入れなければならないものだと。俺に問いただすことではないと思うが」
自分がトッケビではないために、ウンタクにトッケビ新婦ではないと言ったことは、それでも平気だった。
でもやはりトッケビだった。彼がトッケビであることが明らかになったのに、依然として私をみてトッケビ新婦ではないと言っている。ずるいと思った。ほんとうにずるくてひどいと思った。突然死神に会って驚いた気持ちがやっと落ち着いたと思ったのに、守ってくれて嬉しかったのに、そうだったのに。
結局わっと泣き出した。トッケビという存在は、水に流される直前に掴もうとしたわらであり、空から降りてくることを願った綱だった。ウンタクの世界においてたったひとつの期待であり、希望だった。他の人とは違って、辛いことだらけだったこの人生の中で、自分の存在意義を探す・・・。でも簡単に違うと言った。すべて持っているのに、何も持たない女子高生にあまりにも過酷だった。
 「私がトッケビに会ったら本当にお嫁に行くとでも思ったわけ?正直言ってよ。他の理由でしょ?もしかして私がかわいくないからトッケビじゃないって言ったんじゃない?おじさんの理想からものすごく離れてるから?」
トッケビは唖然とした。泣きながらもとんでもない話をするこの子と一緒に泣くことも、だからといって笑うこともできなかった。
 「お前はかわいい」
違うと言ったのに。トッケビじゃないと言ったのにかわいいとは言ってくれた。泣いたウンタクの心情が重たくのしかかった。沈んだ黒い瞳に自分がいた。どうってことのなかった女子高生 チ・ウンタクが泣き顔をしていた。
 「俺は900年を超えて生きてきたんだ。俺はきれいな人を探しているんじゃない。俺にとって何かを発見してくれる人を探しているんだ。だから何も発見できなかったお前はトッケビ新婦ではないのであって。ただそれだけだ。お前に利用価値がないと言ったのはそういう意味だよ」
お前は違うということを簡潔に整理までして言ってくれたのでさらに傷ついた。
 「傷つく必要はない。むしろ幸いだと思え。お前が俺に何かを発見していたら、お前は俺をものすごく恨んでいたはずだ」
どういうことだかわからなかった。恨むのは今もしてるんだけど。ウンタクは、それなら最後までトッケビじゃないと言えばいいのに、なぜ今になってトッケビだと明かしたのか問いただした。
 「違うという理由と同じ理由で。でたらめな希望で俺を呼ぶなと、俺はもうここから離れるんだから」
 「・・・どこに?」
深い目がただ自分を見ていた。やっととまった涙なのにまた胸のあたりで泣きたい気持ちがこみ上げてきた。でたらめな希望が生じないようにするなら、誰かと一緒に歩く幸せな気持ちを味あわせないようにすべきなのに。すごく悪いトッケビだ。
 「もういいわ。答えないで。誰がおじさんの新婦になるって?花のような19才がおじさんにぞっこんになりましたって?もう二度と呼ばないから気を楽にして暮らしてください。わたしもおじさんが必要じゃないの」
出来る限り堂々と見せたかったが、たぶんだめだっただろう。ウンタクは悲しい気持ちをいっぱいに抱いて背を向けた。旅立つという人を掴まえて言ってみても無駄なことのようだった。どうせ自分は必要ないのだ。トッケビにも、あのおじさんにも。


分厚い暗幕カーテンの隙間から窓の外が見えた。何日目かの薄暗い空だった。窓の前のソファにトッケビが座っていて、彼の周りに雲がいっぱいにできていた。あの子は傷ついたと言った。そして泣いた。自分が泣かせたことに間違いはなかった。
 「噂では新婦が現れたら死ぬらしいけど」
死神が眉間に皺を寄せてトッケビのそばに近づいた。空気がとても湿って家の中で呼吸をするのもしんどかった。
 「残念なことに死ねない。あの子には剣が見えない」
 「まだ見えないだけかもしれないじゃないか。あの子がまだ幼いから」
 「まだ幼いから近づくな」
トッケビが目を吊り上げて死神は一歩下がった。
 「なんで守るんだ。剣も見えないと言うのに」
だから。ウンタクは何も見えないという目つきだった。トッケビ新婦なら当然自分の胸に刺さった剣を見なければならなかった。だから何も見えないウンタクはトッケビ新婦ではないはずで、そうではないからないと言っただけなのに、結果的には泣かしてしまってすまなかった。あの子が望んだことを一つも聞いてやれなかった気分だった。アルバイトも解決し、叔母の家族のこともすぐに解決してやろうと思っていたのに、自分が救った子だからこのような責任感が生まれたのかもしれなかった。
だんだんひどくなる湿気に耐えられなくなったトックァが部屋から飛び出してきて除湿機を回し始めた。除湿機の横でトッケビはため息をついた。ため息ひとつで、周りの雲がさらに大きくなった。トックァが呆れたように叫んだ。
 「おじさん!雨はだめだよ!誰が拭くの!?」
19才の女の子のせいでこうだと皮肉を言う死神の言葉と、超ウケるといって根ほり葉ほり聞きほじるトックァのせいで疲労に襲われるトッケビだ。ウンタクを思ったのではないと言っても、死神はすべてお見通しだと首を横に振った。
 「でもさ、傷つけたのなら、“傷つけてしまってすまない。”男らしく謝れば済むんじゃない?」
何もわかっていないトックァの言葉にいたずらに突かれたようだった。彼が謝らなければならない理由は当然なかった。


営業が終わったチキン屋は暗かった。ぞくぞくする寒気に準備した毛布で体を包み、いすを合わせてベッドのようにした。その上で横たわろうとしたら、色々とよくない考えが目の前を行ったり来たりした。
死神に存在を知らせてしまったことにウンタクは死神を避けしばし居所を家からチキン屋に変えることにした。居場所を変えたウンタクのおかげで死神もトッケビも無駄足を踏んだ。
あの子を傷つけてしまったようだがトッケビは謝るつもりはなかった。しかし心配だった。自分は939年生きてきた大人の中の大人で、ウンタクは19才の子供だから。まだその根拠も分からない責任感でウンタクをもう一度探す途中だった。死神を避けて引っ越ししろと言おうとした。すでにあの家には誰もいなかったが。
P112
天井を見ながら横たわったウンタクはゆっくり目をパチパチとした。社長にばれたら首になるかもしれなかった。だからまごまごしている暇はなかった。この寒さに外で野宿することもできず、未成年者の身分で本当に行き場に困った。家といってもウンタクの「私の家」ではなかった。ただ寝る場所であるだけ。店よりも背中が痛くないこと以外は精神的に居心地の悪い家だった。自分はトッケビの新婦になる運命だと思ったし、あのおじさんはトッケビだった。運命。ロマンチックな単語だった。ロマンチック?言葉がロマンチックなのであって、危うく売られるところだったことには違いない。なのでウンタクもトッケビが現れたといってむやみに新婦になると言ったことではなかったが、トッケビが先に違うと言う。あまりにもひどい言葉だけを選ぶのがうまいので、賞でもあげるところだった。
 「ほうきのくせに!」
 トッケビは本来ほうきのようなものから生まれたと童話の本に書いてあった。なんの変哲もないほうきごときに、息巻いてウンタクが布団を蹴飛ばし、すくっと起きた。悔しくてこのままではいけないと思った。

幽霊らをまず探したのは初めてのようだった。ウンタクを追い回した少女の幽霊からお婆さん幽霊まで幽霊4人がウンタクの前に集まった。ウンタクが幽霊と騒げば通り過ぎる人々にはおかしくなって独り言を言うように見られると思い、人気のない裏道に入った。
 「わたしにトッケビ新婦だっていったじゃない?なんでそう言ったの?」
ウンタクは問いただした。噂の震源地は事故が起きた日を目撃したおばあさん幽霊だった。おばあさんが目をホ細めて自分が見たことを聞かせてくれた。
「私見たからね。顔をみて助けてくれたんだよ。あんたの母親は綺麗な人じゃないか。すっかりこと切れた母親の息が一瞬で戻ったんだけど、真冬に桜はひらひらと舞うし、どんなに不思議だったか」
怒った顔のウンタクの表情が少しずつ柔らかくなった。母さんがそんなに大きな事故に合って助かったことも驚くことだが死んでいく母とお腹の中の私を助けてくれたのがトッケビ、まさにあのおじさんだということだ。
「たぶん、あの日あんたと母親は死ぬ運命だったんだよ。少しして死神がその場所を探しにきたけど徒労に終わって行っちまった」
 「自分の新婦を助けたのね!」
少女の幽霊がロマンチックだと軽はずみに言った。本当にロマンチックな運命だった。しかしひとつも嬉しくないし、せつなかった。
 「おじさんの話は全部あってたわ。私は最初から恨む資格もなかったのね。トッケビでなかったら、生まれることもできなかったし、それなら母さんと9才まで過ごした記憶もなかっただろうし・・・」
わたしの人生は本当におまけだった。感謝しても足りないぐらいなのに怒ったなんて。申し訳なく思ったがまた腹も立った。そうなら最初から親切に言ってくれればそんな風にウンタクも怒ることもなかったのだ。誤解もせず、“ありがとうございました”と言って明るく挨拶をしていたのだ。辛かったが、それでもお蔭で母に会うことができたと。



(つづく)

● COMMENT ●

あの面接の大根のところ・・・字幕版では、わざわざ大根(ム)って出たのですが、なぜに??と思っていました。その前の四顧無託(サゴムタク)があってこその会話だったのですね(o^∀^o)

あと、トッケビがかっこよく見せようといろいろとしていたのに、呼び出しがなかったので雨が多かった……それも納得でした!! トッケビがイライラすると雨になるというのは分かっていましたが…
疑問にも思わずに流していた部分でした。

ドラマでは演者が自分の心も全部ひとり言のようにセリフにして見ているこっち側に分かるように話してくれますが、本を翻訳してくださって、細かく解き明かしてくださると本当によくわかります。

トッケビを最後まで見て、2つどうしても納得できない疑問と、説明だけ(ドラマの字幕)では分かりにくい疑問1つ・・・(笑)楽しみです~~~\(^O^)/

このみさん

え?「納得できない疑問」ですか?
ほほ~小説で解決するといいですが・・・(笑)

このドラマは、
人の死生観を扱う哲学的宗教的な部分がベースに敷かれているようで
ドラマとしてはかなり高尚な作品だと思います。
(目が肥えてしまい、最近、見たいドラマがないのもそのせいか?)
私も、訳しながら、ああそういうことか、と何度も納得した次第です。
一度見るだけではわからない作家の意図のようなものが
本で知ることができるというのはありがたいですね。



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プロフィール

SAMTA

Author:SAMTA
横浜在住
韓国ドラマ・映画好き
韓国俳優キム・ミョンミンさんの
カンマエに嵌ったのが2009年5月。
それからミョンミン道一筋です☆
韓国語、韓国料理など韓国文化全般に
興味があります。☆

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