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2017-06

韓国ドラマ「トッケビ」小説 コツコツ翻訳 4 사랑해요~♪ - 2017.04.01 Sat



じめに、コツコツ翻訳は便宜上、番号をふってますが、ドラマの話数とはリンクしていませんので
予めご了承くださいませ。
小説は上巻だと、13の章で構成されています。
ドラマだと1~7話までかな。

いよいよカナダのシーンです。
ドラマだとまだ2話の初め・・・(-_-)遠い目

そしてウンタクのかわいい「サランヘヨ~」が登場します。
この時のウンタクの「サランヘヨ」を動画でも見れるように貼り付けてみました。
高校3年生の溌剌としたウンタクのとても重要なセリフですが、
これ以上ないぐらいにキム・ゴウンがウンタクになりきってしゃべっています。
キム・ゴウンの演技の幅に感服した瞬間でもあります。


説を読んでいるとその場面がありありと浮かんで
主人公たちの感情にもすっと入り込むことができます。
ストーリー、キャラクターをそれぞれの役者さんが本当にうまく演じている、と改めて感じました。
本が素晴らしいのはもちろんですが、やはり演技、演出がずば抜けて優れていて、
すべてが完璧だということです。
難しい表現も多くて骨が折れますが、訳していて楽しい作業です☆




P76
愛してる 사랑해요.(サランヘヨ)

背中の後ろでウンタクの声がずっと聞こえているという事実をトッケビは信じることができなかった。振り返ると、当惑した表情のウンタクがいた。言葉を失う気分だった。この子と関わっていてはずっと驚くことばかりだった。今回は、本当に、本当に、さらに驚いた。この世で驚くことをやってしまうのは主にトッケビの役目だった。なのにこの子がずっとトッケビを驚かせている。





「お前、今入ってきたのか?あのドアから?俺について?お前どうやって入ってきた?」
 「ドアノブを握って。ドアを引いて。おじさんにぴったりくっついて・・・でもここどこなの?」
ドアから入って来たことがそんなに驚くことなのかと思った。今、私にはドアの外の世界がもっとびっくりなんだけど。ウンタクは周りをきょろきょろ見回した。パジュの英語村のようでもあった。ドラマの中で見たような風景に、金髪、青い目の外人たちが通り過ぎていった。どこを見ても東洋人は二人だけだった。ウンタクが目を大きく見開いてトッケビのそばにぴたりとくっついて立った。
 「ここ本当にどこなの?」
 「カナダ」
 「カ..ナダですって?カナダ?あの紅葉の国?オーロラのあの?ここが外国だって言うの?」
ここが韓国でないことは明らかだった。顔を上げるたびに赤い紅葉が見えた。異国の秋はこんなにも赤いんだなあ。忙しく目をきょろきょろさせて大きく息を吸った。空気ももっと澄んできれいだと感じた。あの遠くに高くそびえる雄大で美しい城を見ると外国だというのを一目で実感した。我を忘れて見物に忙しいウンタクを置いて、トッケビは歩き始めた。この子はトッケビの新婦ではない。しかし自分が助けてやったからなのか自分と深くつながっていることだけは明らかだった。どうやってドアからついて出てこれたのか。パタパタと後からついてくる足音が忙しくまた軽快だった。少し前まで酷なことを言われて今にも泣きそうだったのに。やはりこんな風に明るい子でなくては、あのような環境で育ちながらこのように笑えるのは容易くなかったのだ。
ウンタクにとって初めて訪れる異国の街はただ美しかった。生まれ育ったところでの辛さのようなものはひとつも馴染まない見慣れない街。
 「わ~おじさん。こんな能力もあったの?」
 「お前にもあるみたいだな。お前、本当になんだ?」
 「ここがカナダで、おじさんの能力がこの程度なら、わたし決めたわ。」
 「何を」
 「決めたの。わたし」
その子は赤いマフラーを巻いてそのマフラーにあごを少し埋めた。赤らめた頬が、あきれるが少し可愛かった。だからまたどんなたわごとを言いだすのか恐ろしかったりもした。
 「わたし、お嫁に行くわ。おじさんのところに」
やっぱり。虚を突く奇想天外な発言だった。話にもならないことを言うなと叱ろうとトッケビが舌打ちをした。ウンタクがすぐに彼の言葉をさえぎった。
 「わたし、どんなに考えてみてもおじさんがトッケビに違いないと思うの」
 「・・・・」
 「愛してる」(サランヘヨ♡)

ぱあっと咲いた蕎麦の花のようだった。愛していると告白する子がそうだった。愛してるという言葉が耳元で響いてトッケビは腹が立った。トッケビ新婦ではないのだから現在を生きろと言うのに、愛してる、とあまりにも簡単に言った。939年を生きてきた。今やもう、18年生きた子一人をもて余すこともないのに、愛してるという声が耳元でまたもう一度繰り返され、時間がしばし止まったようだった。ぼ~っとして固まってしまったトッケビに向かってウンタクが意地悪く笑った。
 「おお、初めて聞いたふりしちゃって」
 「やめろ」
 「絶対いやでもなさそうだし」
あきれ返った表情で何かを言おうとするトッケビを一度ぽんと叩いて、ウンタクは街に向かって駆けるように歩き出した。なんと素早いのだろう、ウンタクを掴もうとした彼の腕は空を切った。

ウンタクにしてみれば初めて感じた自由だった。どこかに閉じ込められたと思ったことはなかったが、開放感が染み渡った。華やかに輝くものたちがあちこち随所にあって、その輝くものたちを見に、この通り、あの通りを歩き回った。くるくる体の向きを変えながら、ウンタクが一層上ずった声で、おじさん、おじさん、と何度も呼んだ。浮かれる声が今度は紅葉の葉がレッドカーペットのように敷かれた道に入ってきた。風が吹く度に紅葉が舞い落ち、肩の上に、また、ウンタクがかぶったフードの後ろにも落ちてきた。ウンタクが手を伸ばし落ちてくる紅葉の葉を掴もうと必死になった。手が届かないと、何度も飛び跳ねたりもした。それでもうまくつかめず諦めようとしたが、横を見ると、すでにトッケビの手が紅葉の葉を一枚掴んでいた。
 「取ったの?今?違うでしょ?拾ったと言って。早く!」
トッケビはなぜそう言わなければならないのか訳が分からないという表情でウンタクを見た。
 「落ちてくる紅葉の葉を掴んだら、一緒に歩いている人と愛が叶うのよ!早く捨てて!」
奪って捨てようとするウンタクにトッケビが腕を挙げた。長身である彼が腕を挙げるとウンタクは到底奪うこともできなかった。
 「正直に言え、その話、今作っただろ」
 「違うわ。落ちてくる桜の花びらを掴んだら初恋が実る、って知らない?それと同じ話よ」
もう一度飛び上がってウンタクが紅葉の葉を掴もうとしてみたが、トッケビの手まで届くには、あまりにも高すぎた。悔しそうな表情で息巻くウンタクにトッケビが声を出してせせら笑った。
 「愛してるって言ったじゃないか」
 「おじさん、トッケビなの?」
 「違う」
 「だから~、放してよ」
 「ならなんでお前が掴もうとしてるんだ?」
 「あのお兄さんと一緒に歩いてるって思ったからよ」
お兄さん?トッケビの片方の眉が上がった。ウンタクが指さすところを見る間に、ウンタクがぴょんと飛び跳ねて、紅葉の葉を横取りした。ウンタクが指さしたところには金髪の美男が立っていた。正確に言うと、ハンサムなお化け。お化けが見えるというが、本当に時も場所も選ばず見えるんだなと思った。
そのようにじゃれ合いながら着いたところは、遠くから見てウンタクが城だと思ったところだった。わかってみればホテルだった。ホテルは内部も素敵だった。当然このように高級なホテルはウンタクも初めてだった。実際、ここでのすべての場所、雰囲気が初めてだった。慌ただしいホテルのロビーにソファが並んでいた。またしても目をきょろきょろさせているウンタクをトッケビがソファに座らせた。
 「ここで待ってろ」
 「どこに行くの?」
 「用事がある」
 「何の用事?私も一緒にいっちゃだめ?誰に会うの?」
質問の洗礼にもひるまずに口をつぐんでいるトッケビは答えてやろうという考えが全くないように見えた。
 「もしかして女の人に会うの?カナダまで来たんだから、大事な約束があるんでしょうよ。私に、トッケビの新婦じゃないって言ったのもそういう理由なのね。わかった。行ってくれば?私はお金もないし、パスポートもないし、知ってる人もいないし、ちょっと気持ちも不安定だけど待たなくちゃ・・・」
愚痴を並べ立てるウンタクを置いて、トッケビは返事もなくホテルを後にした。遠ざかっていくトッケビを見ながらウンタクは唇を尖らせた。
P82

蒼蒼たる草原が天に届くところだった。トッケビはその真ん中に向かって歩いていた。その中心に墓碑が並んでいた。黒のスーツと手に持った花束は彼らのためのものだった。
 「ユ・グンソン 高麗で生まれ異国の地に眠る」
 「これまで安らかであったか」
カナダの地に漢字で書かれた墓碑はとても異質だった。
 「ユ・ソウォン 安らかに眠れ」
 「ユ・ムンス 友であり、師、ここに眠る」
彼は墓碑に刻まれた文字をじっくり読んだ
 「そち達も無事でいたか。わたしは今までこんな風に生きてきたが、楽ではなかった。」
悲しげに立ったトッケビの後ろにはホテルの建物とケベックのダウンタウンが広がっていた。ただうっそうとした森だった頃、初めてこの地を踏んだ。歳月は流れ韓国が変わったようにここも変わった。変わらずにそのまま生きているのは自分だけだった。生の記憶をすべて持ったまま生きるということは、地獄で生きるのと同じだった。地獄の真ん中だった。
この長くて退屈な生を終わりにしようとしたこともあった。胸に刺さった剣を抜こうとしたことがあった。神に許してくれと祈ってみたりもしたが、神は聞いてくれなかった。剣はぴくりともしなかった。剣を抜く事ができるのはトッケビ新婦だけだった。死を与えてくれる者を彼は待っていた。
とても長く待った。

ウンタクは淡々とした表情でたくさんの墓碑を前に座っているトッケビを見つけだした。ホテルでじっと座っているのに飽き彼を探しに出たところだった。本当に見つかるとは思わなかった。しかし遠くに彼が見えた。ただ、いたずらっぽく近づきたかったが、そうできなかった。何もない空をながめる彼の頭の中が複雑に見えた。にくたらしい事も言わず、静かに座って眺めているので、一幅の絵のようだった。森閑として悲しい絵。髪の毛がなびくと、ウンタクの視線が自然と彼に向かった。タンポポの種を1本抜いて吹いてみた。種が散らばって、遠く離れた彼の周りを包んだ。悲しくて美しい光景だとウンタクは思った。だから静かに見守ることにした。
すぐに夜のとばりが降りた。しばらく座っていたが、気が付くと日が暮れていた。トッケビはまっすぐに身体を起こし立ち上がった。ホテルにウンタクを一人残しておくにはあまりにも時間が経ちすぎた。すぐに戻って行こうとしたが、ホテルへ向かう道にウンタクが立っていた。心配したのも束の間、トッケビはため息をついた。
 「おとなしく待ってろといっただろ」
 「おとなしく待っていたわよ。わたしが来たの知らなかったくせに。用事が・・・ここだったの?おじさんだけ墓碑に名前が無いのね?」
ユ氏の姓を持った墓碑の間で白黒の肖像写真が挟まれた墓碑がひとつあった。トッケビの墓碑だった。名前もなく。”~1801“という年度だけ刻まれた墓碑。
 「住んでいたところをこんな形で離れるの?何回目?」
 「数えてみたことがない。」
つっけんどんな答えさえ悲しくだけさせ、ウンタクは無性に気持ちが不安になった。立ち止まり墓碑の前でペコリと頭を下げ、挨拶をした。
 「こんにちは。チ・ウンタクです。約200年後におじさんの新婦になる人です」
 「違う」
 「違うみたいです。でも約200年後もおじさんは依然としてかっこいいです」
思いがけない話にトッケビはウンタクを見つめた。
 「時々てんでなってないこともあるけど、まっすぐにちゃんと大人になっているので心配しないでください。それでは、わたしはこれで」
もう一度挨拶をしたウンタクが墓碑の写真ではない横にいるトッケビを見て明るく笑い、先に丘を降り始めた。トッケビはその後ろ姿に視線を奪われた。自然にウンタクが踏んだ足取りに沿って歩き始めた。

 「ここは長く住んだの?」
 「人のいない山の中の小屋が、あのホテルになるぐらいの歳月を行き来した。故郷を離れて初めて定着したのがここだった」
低い声で自分の話をしてくれるので、ウンタクは耳を傾けて聞いた。
 「もったいない。その時その小屋を買っていればよかったのに!そうしたら今あのホテルはおじさんのものなのに」
心から残念がる声にトッケビはくすっと笑った。意味深な笑いにウンタクは頭をくるっと持ち上げた。
 「まさか、あのホテル!」
 「お前、遅刻じゃないのか?」
 「どこに?」
 「学校」
あの巨大なホテルがおじさんのものかと思って驚いたウンタクが、今度は違う意味で驚いた。12時を知らせる鐘の音が鳴る時のシンデレラの気分をわかるような気がした。カナダと韓国の時差がどのくらいなのか知らず、到底今が何時なのかまったくわからなかった。手首にはめた腕時計を悠長に確認しトッケビが1人つぶやいた。韓国は今午前10時だった。

車のクラクションがうるさかった。何かに追われるように急いで歩みを運んでいる人々。その後ろには見慣れた風景。通り過ぎた建物の門を開けて入ると、ここだった。横断歩道の前でウンタクはざらざらした都市の空気を吸い込んで笑った。
 「あ~よく寝た」
その笑いが子供らしくなく切ないようでトッケビは怪訝に思った。
 「夢から覚めたみたい。わたし今まで海外旅行のようなものは想像もできなかったけど、おかげで外国にも行ったし。ありがとうございました。」
紅葉の間でもそうだったが、都心のど真ん中でも本当にかっこいい。ウンタクはもう一度彼を目に収めた。すてきな思い出がひとつできて彼に感謝した。頭を下げて挨拶されると、トッケビはどうしていいかわからなかった。勝手にウンタクがついてきたのだし、やってあげたこともなかった。ウンタクは口元をできる限り上げて笑った。
 「ではわたしはこれで。夢が覚めたから学校に行かなきゃ。わたしがもし今日迷惑をかけたとしても見逃してね! わたし本当にウキウキして楽しかったの!」
ウンタクはトッケビを後に残し、学校に向かって走った。風に思い出が飛ばされなければいいなと思った。ウンタクに生涯なかった瞬間だった。だからさらに大切だった。陰口をたたく人もいじめる人もいなく、ただ開かれた美しい街。少し無愛想だったりもしたが、わたしの横を歩いてくれた、たぶん私の守護神、できるだけいつまでも残しておきたい場面だった。
目が合って、私の愛しているという告白に時が止まったようだった大人の目は、もっとそうだった。

たとえ担任に、遅刻したとこっぴどく叱られたとしてもということだ。高3がどんな心構えで遅刻するのかと、職員室に呼ばれてたっぷり絞られた。勉強はよくやるが、貧しく、友達ともうまく付き合えないウンタクを担任は露骨に嫌った。誰かが自分を好きになってくれないことは珍しいことではないのでウンタクはただもう一度耐えた。気分が沈んだ時はやはり好きなラジオを聞くのが好きだった。静かな曲と声が心を癒してくれた。
鞄から本を出しパラパラとめくると、その間から紅葉の葉が出てきた。彼が掴んだ、落ちてきた紅葉の葉だった。赤く染まった紅葉の葉を見ると、自然にその瞬間と共に口元に笑みが浮かんだ。ドアを開けて出たらまたカナダだったらいいのにと思った。
 「ちょっと、あんた。こんな夜になるまでどこをほっつき歩いてたんだい!」
カナダはおろか、玄関のドアを開けて入るや否や叔母の鋭い声がウンタクを切りつけた。学校に行ってきたのだと答えると、いちいち口答えするのかと五月蠅かった。早く夕食を作れと、キョンミとキョンシクも腹が減ったとうるさく煩わした。手足も全部ついた人たちがウンタクだけを見ていた。聞こえないようにため息をつくと、すぐに腕まくりをした。
冷蔵庫におかずがあまりなく、海苔巻を作ることにした。ほうれん草を茹で、塩をし、卵を焼いた。海苔巻をきちんと揃えてまな板に載せたが、キョンミが部屋から何かを持ってドタバタと出てきた。揺れる紙に見覚えがありウンタクはビニールの手袋を外し、慌てて台所から出た。
 「あの子、海外にでも行く準備してるみたいよ!カナダだって」
叔母がパンフレットをひったくり目玉をぎょろぎょろさせた。
 「ああそうか。この子はそんな奴だと思ったよ。保険金で海外に飛ぶつもりなのかい?それなのに通帳がないだって?」
P89
くたびれた表情のウンタクが叔母に向かって手を伸ばした。ウンタクも気持ちは海外に飛びたかった。どこでもいいから、このうんざりする家の中でなければいいと思った。
 「返して。記念に持っていたものなんだから」
 「記念だって?これのどこが記念なんだ!あんたがこんな所にいつ行くんだって?今日は覚悟しな。育てた恩をこんな風に返すつもりか?」
手癖の悪い叔母の手がウンタクの背中をたたき始めた。あまりの痛さにウンタクがうめいても止めずに、逃げようとしても肩や背中をたたき続けた。それでも最後までパンフレットを諦めないウンタクだった。
目の前で騒ぎが起こっている最中、その原因を作った張本人のキョンミは知らんぷりをして台所に入っていき、ウンタクが作った海苔巻を切ろうとして包丁で指を切った。うわ~っ、キョンミが大げさに血が出た指を振って自分の母親を呼んだ。ようやくウンタクをバチバチと叩いていた叔母の手が止まった。
血が滲んだキョンミを取り囲む叔母の家族たちをちらっと見るとウンタクはパンフレットと鞄を持って家を出た。自分で作った海苔巻も1本辛うじて手にして逃亡した。ウンタクもお腹が空いていた。なんとか生きて行こうとして踏ん張る行為だった。人気のない路地のベンチに鞄を抱え、海苔巻を口の中に無理やり押し込んだ。こんなことはよくあることだから泣きたくもないが、しわくちゃになったパンフレットを見るとしきりと涙が出るようだった。すてきな思い出さえもしわくちゃになった気分だった。
海苔巻1本、全部口に入れとぼとぼと通りを歩いた。同じところをもう4回も通り過ぎた。家から出てきたものの友達もなく、行くところがあるはずもなかった。人々は皆大勢で歩いていたがウンタクはひとりだった。気づくたびに骨身に沁みた。今日朝だけは誰かが私の横を歩いていたのに・・・
 「ん?」
建物の上からその姿を見下ろしていたトッケビがウンタクの前に立った。彼が建物の上から人間たちの生活を見下ろすというのは度々あることだった。今日は特別にウンタクを見ていた。自分に愛してると告白したちゃっかりした子を。
 「会ってからいくらも経ってないのに。こんな夜更けにまた呼び出して」
 「わたし呼んでないんだけど?」
世の中で一番重たい鞄を持って歩くようだったウンタクの表情が少し柔らかくなった。トッケビが自分の前にいた。明らかに私の守護神はトッケビに違いないとウンタクは思った。鞄が少し軽く感じた。
 「呼んだ」
 「違うんだけど、今度は本当なんだけど?」
 「お前、今俺のことを考えたか、考えなかったか?」
あ、考えた。横にいてくれる誰かを、守護神を。
 「ほれみろ。だろ?俺のことを考えただろう。お前がそういう風に俺を思って、だから俺がすごく忙しいのにしょっちゅうこんな風に呼ばれてくるんじゃないか」
 「おじさんのこと考えただけでも召喚されるの?」
 「正確ではないが、デリケートで敏感な方だからお互い注意しよう」
しらばっくれるトッケビの言葉にウンタクが素直に謝った。彼がちょっと面倒くさい気がした。
 「俺のことを考えたって、どんな類?」
 「うん・・・カナダがすごくきれいだったんだけど、あそこに住めたら幸せだろうな、でもちょっとは幸せだったな、って考えてみたら、おじさんのことが当然思い浮かんで。服も高そうだし、時計ももっと高そうに見えてホテルも持っているようだし、欲しいものはすべて持っているのに、なんで悲しそうに見えるの?」
言いながらウンタクはちゃんと考えた。悲しく見えた。墓碑の前の彼は。だからさらに明るく名前のない墓碑に挨拶をした。秋の風にコートの裾がはためいたせいか?このおじさんが悲しく見えるのは?あるいは自分が悲しい時おじさんと出会ってそんな風に見えるのかもしれなかった。ウンタクは余計なことを言ったかと照れ隠しに笑った。
トッケビは少し合わせていた視線を避けた。いつも面喰うようなことを言う子だった。
P92
 「それはそうと。なんで同じところをくるくると回ってるんだ。こんな夜中に、怪しげに。」
 「それをまたどうして知ってるの?」
 「俺も知らなければよかった」
泣きそうなのに泣かないので、結局こうして降りてきたのだ。呼びもしないのに前に立っていた。自分もわからず気がかりだった。
 「叔母さんの家族が寝るのを待ってるところなの。一度寝入ったらおぶってもわからないし。さっさと寝て朝早く出るの。12時になれば寝入るから」
トッケビは舌打ちした。だからといってこんな風に12時までずっと怪しく歩き回るというのか。不敵な女の子だった。結局トッケビは女子高生の怪しい行動に賛同することになった。一緒に通りを1周、2周回って、この店の前を過ぎたのは3回目だ。
ウンタクは隣で一緒に歩いてくれるのが有難かった。ありがとうと面と向かって言えないのは、しきりに消化が悪くて散歩するだけだと彼が言い張ったからだ。10分前までは涙を飲みこむのに精いっぱいだったのに今は笑いをこらえていた。

二人を、通り過ぎた女子高生が発見した。ウンタクをいじめていたクラスの子の中の一人スジンだった。
30代中盤に見える男性とチ・ウンタクとは。援助交際の現場だと噂が立てば相当恥をかくことになるだろう、車の後ろに身体を隠したまま、二人の姿を撮ろうとスマホを持った。ボタンを押そうとした瞬間バタっと車のドアが開いた。あまりにも痛くて声も出すことができなかった。人が後にいるのにドアを開けたらだめではないかと大声で叫ぼうとしたが、車の中はガランして誰もいなかった。いったい誰がドアを開けたのかもわからず戸惑いが消えなかったが、ドアが独りでに閉まった。ひどく驚いたスジンはそのまま逃げ出した。
写真を撮ろうとするスジンを止めたのはトッケビだった。ウンタクが気づかないようにずっと話しながらも後ろではスジンの方に能力を使った。何回が街でウンタクと目が合った時、後ろで陰口をたたく子たちを彼も見ていたので、すぐにウンタクを困らせようとしているのがわかったのだ。スジンがいなくなって、安心して見下ろすと、何も知らずに口元に笑みを浮かべたウンタクがいた。この子も本当に苦労してるんだなあと思った。
 「ところで私のアルバイトはいつ?」
 「明日」
 「まさか、チキン屋の前で鶏の恰好で焼かれるんじゃないでしょ?」 
 「そういうの嫌いか?」
 「まったくどんな守護神よ・・・あ、叔母の家族は?」
 「いびきかいてる。家に入れ」
しばらくの間一緒に歩いてくれながらトッケビは後も振り向かずに大股で歩いて行ってしまった。いつの間にか家の前にいた。お休みなさいの挨拶をしようとしたがすでに消えてしまっていた。よくぞ現れては消えるのを繰り返す人だった。



(つづく)

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プロフィール

SAMTA

Author:SAMTA
横浜在住
韓国ドラマ・映画好き
韓国俳優キム・ミョンミンさんの
カンマエに嵌ったのが2009年5月。
それからミョンミン道一筋です☆
韓国語、韓国料理など韓国文化全般に
興味があります。☆

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