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2017-06

韓国ドラマ「トッケビ」小説 コツコツ翻訳3 悩ましい固有名詞の巻 - 2017.03.21 Tue

トッケビ3

ツコツ翻訳しながらも音がほしい時はスマホでSBSラジオ(ゴリラ)を聞いたりするんですが。
ひとつの番組の中でかならず1曲はトッケビのOSTがかかるんですよね~♪
いやいや、いまだにトッケビの余熱が熱いなあ、と感じる一瞬であります。

ところでやっと1話の分量が訳し終わったみたいです・・・
は~どんだけ時間かかるのか。

時間がかかる理由のひとつに、日本語として到底はまらない単語をいったいどうやって訳せばいいのか
悩むことが多いことがあげられます。
とくにこの作家さん、スラングもよく使われるし。
口の悪いいじわるなイモ(おばさん)のセリフなんて、もう最悪!
先生に聞いたら、そんな言葉は覚えなくていい、と言われる始末(笑)

うではなくても今回1週間悩んだ単語があります。

끝방 삼촌 クッパン サムチョン

これは何かというとですね。
財閥3世の金使いの荒い甥っ子トックァが死神に対して呼ぶときの呼び名なんです。
도깨비_トックァ
(ユク・ソンジェ君、演技なかなかうまかったです☆)
トッケビに対しては普通に「サムチョン」(お母さんの弟とか未婚のおじさんを呼ぶ時に使います)
で、トッケビの家に新しく賃貸で入居してきた死神に対して(トックァは死神の正体は知らない)
ドラマの中でトックァは「クッパン サムチョン」と呼ぶんですよ。
この「クッパン」とはどんつきの奥の部屋という意味なんですね。
つまり奥の部屋を間借りしているおじさん、と言う意味なんですが。。。

これをどうやって日本語に~!

Mnetの放送が始まったのでどうやって訳してるかなあと見て見たら
「あなた、」とか、うま~く呼ばないように訳してないんですよ・・・
ずるいな~
こちらは小説なのでそうもいかず。

でわたくしこうしました。

「二番目のおじさん」

どうよこれ!(笑)
いちおう、後輩のY嬢のお墨付きももらったしね☆
SAMTA訳ではこれでいくことにします。
トッケビより年下だし、後から家にきたおじさんだし。
いいんじゃない?←ひとり悦に入るわたくし(^_-)-☆

そうえいば、固有名詞の訳でこんなのもありました。
ウンタクのお母さんの霊魂が「サゴリ病院」にいる、というセリフ。
サゴリは사거리 十字路とか交差点という意味なので
あの四つ角の病院ということなんですが
日本語ではまらないのでわたしはそのまま固有名詞として
「サゴリ病院」と訳しました。
Mnetでは「第一病院」となってましたね^^
ま、病院の名前に意味はないので何でもいいんですけど。
中央病院でもよかったかな~なんて(笑)

ということで続きです。

※修正する可能性がありますので転載はご遠慮くださいませ・・・

P45
―蕎麦の花の花言葉―

今日もお昼はひとりで食べた。一人ご飯を食べるなんてできないと大騒ぎする年頃、しかしウンタクにはとても慣れたことだった。受験が控えていた。お化けが見えるんだってと後ろでささやく子らの話は、フードを被って、イヤホンをしっかりはめて無視すれば終わりだった。母の言葉をよく聞きたかったが、時も場所も選ばず現れるお化けに悩まされ、人が見れば、空に向かって話をしているから、結局おかしな子になって、一人になった。イヤホンからはいつも聞いていたラジオが流れていた。優しいDJの声がウンタクはとても好きだった。




 「ちょっと!」
曲紹介をするDJの声をさえぎり、キイ~という聞きたくない騒音が聞こえてきた。そして女性の声がウンタクを呼んだ。驚いてぎくりとしたが、最大限何事もないふり、なんの音も聞こえないふりをし、首に巻いた赤いマフラーを一度さわって、ポケットの中の携帯のボリュームを最大に上げた。歌の声がイヤホンの外に漏れ出た。後ろからささやく子らの声よりもさらに無視するのが大変なのは、実際この音だった。
 「ちょっと、あんた、トッケビの新婦だって?」
トッケビ新婦
お化け達はウンタクをしばしばそのように呼んだ。お化けの間ではウンタクがトッケビの新婦のようであった。なぜそのようになったかはウンタクもわからなかった。お化けが見える存在だからそのようなあだ名がついたのかもしれなかった。「トッケビ新婦」であれば自分に夫がいるということだが顔も知らないトッケビの夫がいるというのがウンタクはかなり快くなかった。それでも一方では待つようになる時もあった。夫なら家族だから。いや、違う。どんなに家族が、誰かが必要だと言っても、恐ろしいに違いないトッケビを急に夫にすることはできなかった。
そのようにわざと別の考えをしながら、歌を口ずさんだ。雨が降る日に傘もなく、フードを被って歌まで歌う姿がおかしな人のように見えたのは当然だった。しとしと降る雨にフードが少し濡れた。
 「ちょっと!あんた見えてるじゃない」
しつこい娘のお化けだった。長い髪を垂らし、執拗にウンタクを追いかけた。ウンタクは目を合わせないように必死になり、わざと違う方向へ行った。
 「あんた、なんでしきりに見えないふりするわけ?」
ずっとくっついてきた。また反対の方向に身体をひねると、お化けが裂けるような音を出し、飛びかかった。
 「悪い女!」
 「あ~マジでキモイ!」
少し前とは違う奇怪な恰好にウンタクが驚いて目を閉じた。再び目を吊り上げ、これ以上無視できないと諦め、あっちへ行けと手振りをした。
 「ほら、全部見えてるくせに・・・」
何か訴えようとしたのか、ウンタクはため息をついた。自暴自棄な気持ちで話でも聞いてやろうとするが今回は娘のお化けが見えないものでも見たように驚いた表情を浮かべた。いや、驚くのはこっちでしょ、ウンタクはあきれた。何かを言う暇もなく娘のお化けが驚きながら離れていった。
 「あんた、本当なのね。ごめん!ごめんね。悪かったわ!」
娘のお化けは、あわわと言いながら遠ざかるうちに黒い煙になって消えてしまった。魂をぐいっと引き抜くような登場と退場だった。まあ消えたから幸いだったが、何事だったのかと思い不愉快になった。お化けも驚いて逃げるような人なのか。気分のいいことではなかった。
しばらくはずしていたイヤホンをつけると向かってきた男と目が合った。傘の下の男は目を合わすしかない見とれてしまうほどの長身だった。その間でウンタクと同じ制服を着た学生たちを初め、人々が何人か通り過ぎていった。しばし時間がゆっくり流れるような錯覚が起きた。
いつか見たことのあることのようだった。何回か会えば、覚えているほどの印象だったが、思い出せなかった。ただそんな感覚が残っていた。ウンタクは再び視線を移した。早く家に帰らなければならなかった。

家に戻るなり、炊飯器にお米を入れ、洗い物をした後、洗濯をした。忙しく動くので額に汗がにじんでいた。居間のソファに横になってテレビを見る人達は叔母と叔母の息子、娘。ウンタクの従妹らだった。ウンタクはこの家のお手伝いさんに他ならなかった。母のいないウンタクを育てたのは叔母だったし、実際、育てたというよりもウンタクが一人で大きくなったのだが、いずれにせよ書類上の保護者だった。それでウンタクはこの家であらゆる家事を引き受けた。
スープまで作って、お膳の上におかずをてきぱきと揃えてのせた。おはし、スプーンまできっちり揃えやっと食事してと呼ぶが、怠け者の家族たちは聞いているのかいないのかだった。いっそ一人で育てばよかったと思う時が一度や二度ではなかった。
 「食事してくださいよ。男ひとりに、女ふたりの方!」
何度かさらに大きな声で叫んでやっと家族らはのろのろとお膳の前に座った。
 「ちょっと、黙んな、腹立つわ。これしきの食事で、えらそうに」
家事だけ引き受けるのなら我慢するのに、虐待まで受けた。叔母が母の姉妹なのか疑ったのも幼い日の事だった。18才の頃になってすべて受け入れるようになった。悲しくて泣くのは12才までだった。終わらせたかった。
 「なんでわかめスープ?今日誰か誕生日なの?」
 「やだ、あの子、自分の誕生日だといってわかめスープ作ったわけ?」
従妹のキョンシクとキョンミがぶつぶつ言った。ウンタクは一生懸命、自分の手で作ったわかめスープを食べた。
いずれにせよ出来立てのスープは暖かかった。
 「お前のせいで母親が死んだのに、よくもまあ自慢げにわかめスープなんて。学がないから恥じもお知らないんだろ」
本当に恥ずかしいのは何かもわからず、言っていいことと悪いことの区分もなく、あまりにもひどい人たちだから、ウンタクはさらに気丈にならなければならなかった。
 「誕生日祝ってくれてありがとう。叔母さん」
 「へっ!恩をあだで返すとはね。優しくした私がバカだった。死んだあの子だけがかわいそうだね。未婚の母がせっかく育てたっていうのに。」
 「それはちょっと言い過ぎじゃないですか」
 「言い過ぎって何が!あんたには母でも私には姉だからね。」
 「だからですよ。心でも、親等でも私がもっと近いんですよ」
わかめスープ一杯をきれいに空にしてウンタクは席をたった。悲しくなりたくなかったが今日はどうしようもなく悲しかった。今日は特別に少し悲しくなってもいいと思った。シンク台に器を置いて玄関に向かった。ロックもまともにかからない古びた鉄の扉を開けると依然として雨が降っていた。やはり傘立には傘が2本しかなかった。後ろではキョンシクとキョンミが傘を持って出たらだめだと騒ぎ立てていた。
 「あんた、出ていくなら通帳置いていきな」
 「わたし、通帳なんて持ってないですから。一体何度言ったら・・・!」
あ!ウンタクが驚いて声を上げた。叔母が投げた茶碗がウンタクの後頭部を打って地面に落ち、騒々しい音を立てた。ご飯粒が地面にべたべたとくっついて、ウンタクの髪の毛にもくっついた。どっとあふれそうな涙をこらえ、叔母の方を振り返った。
 「なんでわたしに分かるんですか?叔母さんが全部持っていったじゃないですか!家賃の補償金まで全部持っていったじゃないですか!」
辛うじて涙を押し殺したまま叫んでウンタクが飛び出した。さっきよりも雨がさらにたくさん降っていた。空が代わりに泣いてくれるのかと思ったが、空は私の心を知るはずもない。ウンタクは落ちてくる雨に打たれた。

P51
ウンタクはポケットにあったお金を全部集めてケーキをひとつ買い母と海を見に行ったりした防波堤に行った。しゃがんで慎重に箱からケーキを出した。9才の誕生日以降、ケーキを買って、ケーキの上にろうそくを付けるのは初めてだった。絶対しないと心に誓ったのに、今日一日だけはひとりでも祝ってあげたかった。自分の誕生日。自分で祝ってやらなかったら誰も祝ってくれないのだから。神のようなものはいないから願い事もしないと思ったが、それも今は分からなかった。ただとても切迫していた。
降りしきる雨がしばし止んだ。幸いなことではあったが、曇った天気が変わりやすくじめじめしていた。それさえ自分の人生のようで、マッチを付けたウンタクはムカついた。風でうまく火がつかなかった。手で壁を作ってかろうじてろうそくに火を付けた。
 「アルバイト、なんとか見つかりますように、叔母さんたち、ちょっと何とかしてください!彼氏ができますように」
お願いです。素早くて切実な願い事だった。もしかして風でろうそくの火が消えるか息もつかずに祈った。ろうそくはまだついていた。ウンタクは両手を合わせて続けて祈ってみた。これ以上悲しくなりたくなくて祈る願いだったが、祈って見るとさらに悲しくなった。ぽとり、涙が火の上に落ちた。
 「・・・わたし何してるんだろ。誰かに祈るなんて。神様がどこにいるのよ」
空が急激に暗くなっていた。また雨が落ちてくるようだった。波の音が大きくなった。今日という日は本当にうんざりする日だった。生きることもうんざりだった。
ウンタクは合わせた手を離して、ふーふー何回か強く息を吹いてろうそくを消した。そしてどんな神様もいない空に向かって叫んだ。
 「ここでまさか雨まで降るんですか?これって夕立ですか?梅雨ですか?止むことは止むんですか?」
強風が吹いた。髪の毛がなびいて乱れた。一日中めちゃくちゃだった。
 「傘も2本しかないなんて!雨がなんでこんなにしょっちゅう降るのよ!」
吹き付ける風に目を開けられず目をぎゅっと閉じて叫ぶが、急に風が収まった。四方が静まり返った。
変わった空気に顔を上げると長身の男が立っていた。いつか見たような男だった。とても背が高くてかなり首を曲げなければちゃんと顔を見れなかった。男の手には白い花束があった、いつどこから現れたのか、目の前に男がいて、ウンタクは驚いて後ずさりした。

P53
校門の前で目を合わせた。通りを歩いていてまた一度。あるカフェの前でもまた一度目を合わせた。ただすれ違ったのではなかった。制服を着たショートへアの女の子はまっすぐに自分を見た。「目が」合ったのだ。おかしなことだった。それでその子の後を追った。その子は気配を感じて振り返りすぐに身を隠した。気配を感じるだなんて。さらにおかしなことだった。
柔らかいソファに座って考えにふけっていたトッケビを現実に戻したのは明かりだった。ろうそく一つつけていなかった家を柳会長が明るくした。以前トックァを紹介した男は中年を過ぎ、すでに人生の終わりを目の前にした老人になっていた。
 「明かりもおつけにならずに」
 「考えることが多くて」
また時間が流れたのだな。そばにいた者達が年老いて死んでいく間、トッケビは顔に皺ひとつもできないまま人生を生きた。ここでもまた何十年か滞在したので旅立たなければならなかった。誰かが時間の流れの中で足踏み状態にある自分に気づき不思議に思う前に。今回はニースに行くことにした。
柳会長が準備した書類をテーブルの上に置いた。
 「いくつか手を入れてくれと言ったので、今月末頃に行ってください」
 「そうか。」
 「今旅立たれたら、生きているうちにもう一度お会いするとはできないでしょうね」
柳会長の目じりに涙がにじんだ。何度目かの別れでも気持ちが優れなかった。
 「すべてが有難かった」
最初に死体として腐っていった自分を訪ねてくれた時から、何代かに渡って自分に仕えてくれたこの家の者たちに彼は本当に感謝した。
 「しかし、ナウリ、今回も一人で行かれるのですね」
 「そうなったな。わたしが出会ったある女性も・・・剣を発見できなかったから」
 トッケビの表情が悲しくなった。トッケビ新婦は今回も見つけることができなかった。褒美であり、罰として下された生、この生を終わりにするためにもトッケビはトッケビ新婦を探していた。誰かの死だけを耐え、忘れられない生。とても長い歳月を送ったトッケビが感じるには、もうこの生は褒美というより罰に近かった。
 「わたしは幸いなんですが。ナウリ、剣のせいで苦痛を受けられる時は、早く新婦が現れたらと思っても、こんな風にお目にかかると、誰も剣を発見できなければと思いますし、ただ人間の欲ですね」
 「わたしも幸いであった」
死を待っていて考えた彼から出た答えに柳会長が意外な表情を浮かべた。
 「そちがまだそばにいて、酒もふんだんにあって、今夜はひとまず生きていたい」
トッケビが かすかに笑った。柳会長も少し口元を緩めた。
 「また戻られる時は、トックァがいると思います」
柳会長の仕事はまもなくトックァに引き継がれるだろう。幼稚園の制服に名札を付けていたこましゃくれた子供はすでに25才になってトッケビをおじさんと呼んだ。依然として怖いもの知らずは抜きんでていて、分別はむしろ無くなっていた。クレジットカードを使うのに忙しい財閥3世だった。少し前に、そのようなトックァがけしからんと柳会長がクレジットカードを取り上げると、返してくれとかなり駄々をこねていた。今も外からドタバタと登場してはうるさく玄関の暗証番号を押していた。
柳会長とトッケビが過去と現在、また未来を見通し気落ちしていた家は、トックァのせいで騒がしくなった。騒がしさを避けるためにトッケビは部屋のドアを開き中へ入っていった。

 ドアを通過すると蕎麦の花が広々と広がった野原が現れた。ちょっと前いた都心の中の大邸宅とは完全に異なる古いほったて小屋、高く青い空。終わりのない地平線。トッケビの空間だった。物思いにふけって花畑を歩いていて白い蕎麦の花を何本か摘み手に握った時、声が聞こえた。鬱憤に満ちた女の子の声だった。
かなり腹が立った様子だった。泣いているんだな。泣き声がトッケビの耳にも悲しく、しばし歩みを止めた。そして体が透明になり消え始めた。どこかに移動していた。
蕎麦の花が広がっていた野原はいつの間にか海になっていた。トッケビは静かに目の前の女の子を見つめ聞いた。
 「お前か」
 「わたし?何が?」
驚いたウンタクが聞き返した。トッケビは固く険悪な表情をした。願い事を祈る声が神である私に届いたようだった。その可能性はあった。しかし自分がここに来るとは思わなかった。声の主人公である女の子は知っている顔だった。自分と時々目を合わせた、考えに没頭するようにした張本人だった。
 「俺を呼び出したのはおまえかと」
 「わたしが?わたしは呼んでないんですけど」
突然現れて自分を呼んだかと言うんだけど、詐欺師みたいなのかな?今さら詐欺まで合うのか?しかし詐欺師にしては完璧すぎる。いやかっこよかった。聞きたかったのはウンタクだったが、畳みかけてきたのは彼だった。
 「お前が呼んだのだ。いったい俺をどのように呼び出したのか。考えてみよ。どのように呼んだのか」
P57
「。。。切実に?」
切実に呼んだのは神様だったが。
ウンタクの答えにトッケビの眉毛が上がった。しばし熱心に何かを考えていたウンタクが立ちどころに悟ったというのが答えだった。
 「わたしが呼んだんじゃなくて、ただおじさんがわたしの目に見えたんですよ。この前通りで間違って目を合わせてしまって、あの時のおじさんでしょ?」
どうやら、おかしな気運が満ち溢れていたが、男は人ではなくお化けのようだった。
 「どういうことだ。見えるというのは」
 「おじさん、お化けでしょう。わたしはお化けが見えるのよ」
自分にお化けだというウンタクを見てトッケビは眉をひそめた。トッケビはお化けのような卑しい存在ではない。彼がウンタクの言葉を否定すると、最初は皆そのように否定するとウンタクがふてぶてしく振舞った。このようにかっこいいお化けはまた初めてだったが、お化けはお化けだから。
ウンタクは独身のお化けなのか、おじさんのお化けなのかを無視することを心に決め、ケーキの箱を片づけた。どうせ神様は私のお願いを聞いてくれるはずもなかった。神様がいるのかいないのかわからないが、たぶんいないのだろう。このように辛い人生を生きる私をほったらかしにする神様はいないと考える方がましだった。10年後にもこのように辛かったらその時ももう一度祈ってみよう。
 「なんだ、お前。一体何なんだ。普通見えなければならないものが何も見えない」
ウンタクが目を丸くした。
トッケビは何も言わないようにしたが、ウンタクがおかしなことを言ったので黙っていられなくなった。
トッケビが目をしかめた。目を合わせてから不思議だったが、さらにおかしなものは見えないということだった。この子の未来が。どんな未来も見えなかった。
 「20才、30才、お前の未来」
 「あ、ないように見えるでしょ?未来が」
あまりにもお先真っ暗でお化けにも見えないでしょう。ウンタクは嫌気がさしたという表情を浮かべた。
 「おじさん、死ぬ前に祈祷師だったの?あ、詐欺師?未来とか言っちゃって」
 「何だって??」
最初は詐欺師だと思っていたが、半分当たっていた。「詐欺師だったお化け」だと、パンと結論を出した。
 「成仏してくださいね。長く彷徨ったらよくないですよ。その花は何です?」
 「蕎麦の花」
男の手に握られた蕎麦の花がウンタクの視線を捕えた。蕎麦の花がこんなにきれいなんだな。新たな事実を知るようになったウンタクが違ったまなざしを露骨に送ってもトッケビは微動だにしなかった。それで花が本当にかわいくて、お化けには花は特に必要ないと思い、私にくれたらいいのにと強く主張した。お化けだが、誰でもいいから何かをもらいたかった。誕生日だから。
黒い瞳を輝かすウンタクに勝てずケーキの箱を一度、ウンタクを一度見つめたトッケビが結局手に持っていた花束を差し出した。手を伸ばしてさっさと受け取ったウンタクは鼻を埋めて香りを嗅いだ。
 「でも蕎麦の花言葉はなんですか?」
 「恋人」
低い声が頭の上で鳴り響いた。恋人。あまりにも美しい単語だった。白い花と花言葉がよく似合っていた。ウンタクの周りにどこから現れたのかわからない蛍が飛んでいた。周りが輝いた。そうしてみるといつの間にか天気も晴れていた。曇っていたのが嘘のようだった。雲の間にお日様が顔を出した。二人はお互いを見ていた。
 「泣いていたのに。アルバイト。叔母さん、彼氏、3つのうちどれだ」
しばしぼ~っとして立っていたウンタクが驚いた。なんで知ってるの?最初は小さく祈っていたんだけど。その時は誰もいなかったのに。やはりお化けだからか。
P60
混乱しているのを隠せないウンタクの表情にトッケビはくすっと笑ってしまった。
 「わたしが誰かの願いを聞いやることもするんだ」
 「誰かの願いを聞いてくれるですって?あの、ジニみたいな?守護神みたいなもの?」
お化けではなく守護神だったのか。ウンタクの目がさらにキラキラ輝いた。神様が本当にいたということか。お化けだけいっぱいいて、人生に一生来てくれないもののように振舞っていた守護神が、自分が願い事をしてもいい存在が、本当に?本当に死ぬと思って切実に祈ったから現れたのだろうか。ウンタクの心臓が期待感でドキドキし始めた。ただのお化けではなく、詐欺師のお化けでもなく、守護神なら・・・
 「おまえの守護神とは言っていない」
 「わたしの母さんがそう言ったの。人は自分だけの辞書を持って生まれてくるんですって。わたしの辞書にはどんなに探しても幸福、幸運、そんな単語は少しも見えないの。私の言ってることわかるでしょう?」
見下ろすのが負担だった。少し前までは悲しくて泣いていた子が今は切実さで目を輝かし、自分を見ていた。これでよかったのだろうか。
しかしその子はすでに自分を見て、今日自分は久しぶりに気の弱いトッケビだった。
 「5百万ウォンぐらい融通してもらえないかな・・・」
 「だめだけど。叔母さんの家族と別れの挨拶をして。しばらく会えないだろうから。チキン屋でアルバイトを一生懸命して、採用されるだろうから」
そうだ。この程度だけなら。トッケビはそう言って自ら納得しうなずいた。そうして青い火花になって消えた。まばたきする間に起きたことだった。
 「あ、彼氏は?」
ウンタクが遅れて空に向かって言った。防波堤の上には再びウンタク一人だった。だから寂しかった。すごく久しぶりに寂しくなった。でも自分には守護神がいるかもしれない。いや自分の守護神に違いない。そうだったらいいのに。一人でないのならいいのだから。
何もなかった手には蕎麦の花束が握られていた。「恋人」という花言葉をしっかりと噛みしめた。ウンタクはその場所に縛られたように長い間立っていた。静かになった海がウンタクのそばでとどまっていた。

P61

無表情な顔とは異なりトッケビの気分が悪いわけではなかった。
自分の気持ちを掴み切れずもどかしいだけ。ひとまず天気が晴れあがったことからそうだった。溌剌とした女子高生の願いはほぼすべて叶うであろう。
物思いにふけったまま家に戻ったのだが、見るだけでも暗い気分になる黒い人物が立っていた。旧知の死神であった。人の気配に振り返った死神もびっくりして言った。
「ここに住んでいるのか」
トッケビのほうこそ、なんでこいつが自分の家にいるのか聞きたかった。ちょうど確認する相手が二人の方に向かって歩いてきた。お盆にコーヒーを載せたトックァだった。
 「説明しろ」
 「あ、いつ戻ったんですか?おじさん」
家のオーナーだと言って契約まで終えた若い財閥3世が、トッケビをおじさんと呼んでいる光景に死神はぽかんと口を開けた。
 「おじさん、どっちにしろ20年は空き家になるじゃない、ここが。だから、20年なら賃貸料がどれくらいになるか、すごく純粋に気になったワケよ。」
だから、この生意気なニセの甥っ子が賃貸しをしたということか?トッケビの家を?それも死神に。トッケビはあきれ返って、吐き捨てるように笑った。
 「お前、こいつが誰か知って入れたのか?こいつとの契約が・・・」
 「新入居者の方にこいつだなんて!お茶屋をなさってるんだって! すみません。おじきが一度も社会セ氏活をしたことがなくて・・・」
お茶屋だと。死神の茶屋は亡者が最後に行くところだった。善良な人々に現世で辛かったことを忘れさせてくれるお茶を飲ませてくれるところ。
トッケビは険悪な顔をした。その顔が怖いトックァだがまずは知らんぷりを決め込むことにした。どうせ起こってしまったこと。すでに契約はしてしまった。そうだ、誰かがクレジットカードを止めたからだ!逆切れしたトックァにトッケビは歯ぎしりした。
死神もすでに正々堂々と自分の家だと主張し始めた。鼻でせせら笑い書類を燃やせば終わりだというトッケビに死神が息巻いた。トッケビの家からトッケビを追い出すことができる者は誰もいないだろう。トッケビはそのような存在だった。反面、死神には契約書があった。結局、勝者も敗者もなく言い争いは終わった。家がものすごく広いこともあったし、トックァの言葉の通りすぐ旅立つこともあり、死神に部屋をひとつ貸すことに、トッケビは家のように広い気持ちを持つことにした。このように家の問題はやっとひと段落した。
トッケビが部屋に入ってしまうと、トックァは死神に向かって手を合わせた。入居者様と呼んでいたが、その呼び方はすごく情がなく感じると、ちょうどおじきが知っている間柄のようなので、二番目のおじさんと呼ぶと言った。トッケビの甥っ子は無駄に図々しかった。
 「単刀直入に申し上げます。僕を一度だけ助けてもらえますか?もしあるお爺さんが訪ねてきて誰だと聞かれたら、ただ遊びに来たと言ってもらえませんでしょうか?その方が、二番目のおじさんに賃貸ししているのを知られたら、僕大変な目に合うんですよ。」
亡者を導く仕事、上の世の公務員として生活しながら、苦労して一文、二文、貯めた金だった。その金でついに手に入れた自分の家なのに、まさかトッケビの家だったとは。死神はすでに契約まで終えたところだ。家を諦めたくなくて、あきれ果てたがほぼトックァの話を聞いてやることにした。
 「その爺さんって誰?」
 「僕のおじいちゃんです」
本当に大丈夫なのかわからなかった。この契約。


アルバイトも決まって、叔母の家族も解決すると言ったが、守護神でなければ詐欺師のお化けだったのは明らかだった。守護神が何なの?何日も何度もアルバイトの口を断られたウンタクの足取りは誰が見ても力なかった。
とぼとぼ歩いていたが、前を歩いていた男がタバコの吸い殻を街路樹の道にポイっと投げたのが見えた。地面に落ちていたチラシに吸い殻の火が移ったのをウンタクが気づいた時、男はすでに遠くに行ってしまった後だった。ウンタクはすぐに走って火のついたチラシを足で踏み、残りは息で火を消そうとした。やっと火が消えた。
 「ほらみろ、お前だ」
人気のなかった道に、また男が立っていた。驚いたウンタクだったが前回ほどは驚かなかった。突然現れたのはこのおじさんの趣味のようだった。
 「もう、なんでしょっちゅうついて来るの!」
 「ついて来るんじゃなくて、お前がまた呼んだんだ」
どんな方法で呼んだと言うのか。そうでなくても叶わない願いについて問いただしかったのに、連絡先も知らず詐欺師にやられたとばかり思っていた矢先だった。
 「わたしがどうやって呼ぶの!ところで、おじさん本当に守護神(スホシン)なの?どんな種類の神様なの?(亡身(マンシン)、謹慎(クンシン)、内申(ネシン)、あなた(タンシン)?」
突然また体がここにきて、それだけでも呆れるトッケビにウンタクは逆に守護神なのかと追及した。叶うようになるはずのこの子の願いがまだ叶わない様だが、今はそれが重要ではなかった。大体、私をどうやって呼んだのか、それがトッケビにはさらに重要だった。
 「いたずらに、願いが叶うかのように人を期待させて!」
 「お前、俺に何をしたのか・・・」
 「わたしは呼んでないですから」
 「お前だ、お前が呼んだんだ。間違いない。一度もこんなことはなかった!」
道で長身の男と女子高生が押し問答しているのを見るのは見慣れた光景ではなかった。ウンタクはしばらく考えてみて、これかなと思った。
 「私に見えるものを全部言ってみて」
 「制服を着ている。」
 「ほかに」
 「髪の毛が短い」
 「それが全部?翼、そんなのが見えない?わたしいずれにせよ妖精みたい。
 ティンカーベル!」
贔屓目に見て可愛く見えるようでもあった。贔屓目で見る必要はなさそうだ。何か手掛りでも得られるかと思い聞いていたトッケビは目を一度しかめて火花に変わった。
火花がウンタクの目の前で消えた。現れるのも消えるのもとても一瞬だ。ウンタクはかなり残念な気持ちになった。電話番号でも聞いておけばよかったものを。次にはアルバイトのことをちゃんと聞かなくちゃと思った。
しかし本当にあの男を呼んだのは私なのだろうか。お化けなら避けて通るのに忙しく、呼び入れたことはなかった。呼ぶ方法もわからない人にどうやって呼んだのかと聞いたりして。叶わない願いごとも、時々現れる男も、ウンタクの心をかき乱した。どんな神でも掴まえて祈ってみようと聖堂に向かった。
ミサの時間内ずっとあのかっこいいおじさんのことを考え、彼が現れた2回の状況について没頭し、ふと共通点をみつけた。ミサが終わってがらんとした聖堂に一人座っていたウンタクがすくっと立ち上がり聖母像の前に行った。その前のマッチを擦ってろうそくに火を付けた。そしてその後、マッチの火を息で吹き消し黙ってほのかな光を放つろうそくを見つめていた。
静かな聖堂。後からのしのしと誰かが歩いてくる音が聞こえた。ウンタクは素早く後ろを振り向いた。やはり。
 「わかったわ!どうやって呼ぶのかわかった!」
すでに3回目だった。突然呼ばれて出てきたトッケビは小さくため息をついた。ちょうど服をすべて着替えたところだったから良かったものの、もう少し早かったら、あられもない恰好で登場するところだった。聖母マリアとイエスの銅像が並んでトッケビを見下ろしていた。色とりどりのステンドグラスを貫通した光が聖堂をほのかに照らしていた。トッケビはその光の間を大きな歩幅で横切った。
 「それでもここで呼ぶのはちょっと違うんじゃないか」
 「怖いの?とてもいい方々だって。」
 「ごまをするな。神がどこにいると思ってる。なんで呼んだ」
 「なんとなく」
なんとなく?方法に気づいたようで「トッケビ」である自分を呼んだと言う女子高生に呆れてトッケビは渋い顔をして再び戻っていった。聖堂ではなく、神様の前でわざと能力を使うのがいやで火花で消える代わりにドアを開けて外に出ていくことにした。
その姿が可笑しくてウンタクはへへっと笑い彼について外に出た。いつもかっこいいコートを着ているお化けなのか守護神なのかわからない男のコートの袖を掴み、願い事について食い下がった。願い事はひとつも叶わなかったが、なぜか自分が呼べば来る存在がいるというのが気分がよかった。
 「必ず解決する。アルバイトも必ず」
 「そうじゃなくて彼氏」
 「それはお前もちょっと努力しろ」
トッケビは馬鹿らしいとでも言うように神経質に音を立てて再び火花になって消えた。
 「あ、また消えたのね」
しかし今回は別に心配しなかった。どうやって呼べばよいかわかったから。

学校を終えて図書館で勉強していたウンタクにふと気になることができた。ろうそくを吹けば現れるのはわかった。そうだとすればまさかこれもあり?休憩室でスマートホンをタップしろうそくのアプリをダウンロードした。そしてスマートホンの中の炎をフ~と吹いてみると画面の中のろうそくが消えると同時に目の前に男が現れた。黒いスーツを着たトッケビ。
 「マジ、やった」
つぶやくウンタクにトッケビは目いっぱい怒った表情をした。また無駄に召喚されたと思い火花で消えようとした瞬間、ウンタクが彼を手でつかんだ。
 「俺を掴んでいるのか?今?」
 「あ、ちょっと待って」
 「お前が掴んでるせいで行けないのか?俺は。お前はいったい」
トッケビの周りを包み揺らめく火花のせいでこれ以上熱くて耐えられないウンタクは手を離し、手のひらをパタパタさせた。トッケビは消えようとしたことも忘れたままぼ~っと立っていた。
 「あの~。守護神とかそんなんじゃなくて、ただ5百万融通してもらえません?」
少女の事情が気の毒なのは通りすがりの鬼神たちでも知ってるようだった。だといって荒唐無稽な話を聞いてやるというのではなかった。願い事は叶うのだから少し待てばいいはずなのに、これまでどうやって耐えて生きてきたのかわからず、性格は気短になっていた。しょっちゅう自分を呼び出すのもそうだった。あの子の事情も事情だが、トッケビはトッケビとして事情があった。今日はとても大事な日だったのだ。
P70
 「今日は用事があって出かけなきゃならない」
 「何の用事?あ、服がちょっと真面目ね。」
 「明日、知人の法事がある」
 「でも、なんで今日から行くの?地方なの?」
 「そこは今日が明日だ」
近くにドアがあった。火花として消えようとしてもこの子がまた掴んだら無駄なことだった。トッケビはドアから出るために歩き出した。ウンタクが彼について行った。トッケビがドアノブを回すのだが、ウンタクが後からぶつぶつ言いながら引き留めた。
 「わたしどうしても聞きたいことがあるの」
しつこいにもほどがある。トッケビは少し諦めてまずは聞いてみることにした。
 「こんな質問は変に聞こえるのはわかってるんだけど。誤解しないで聞いてね」
 「わかったから言え。なんだ」
 「最初はおじさんが死神だと思ったの。でも死神ならわたしを見るなり連れて行くでしょう。その次にはお化けだと思ったわ。でもおじさん影があるよね」
二人の視線が地面に向かった。かすかな影が二つ重なっていた。ウンタクも自分なりにたくさん考えた。トッケビがウンタクの存在をいぶかしく思うようにウンタクにも彼がそうだった。普段見ていたお化けたちとは違っていた。自分が呼べば来る存在。守護神だと言う者。そんな存在は初めてだった。だから考えた。
 「おじさん、もしかしてトッケビじゃない?」
トッケビ。今、俺にトッケビと言ったのか?トッケビは自分の正体を聞くウンタクをまっすぐ見た。お化けが見えて、少し特別に気の毒な事情を抱えているがトッケビの立場では平凡な女子高生だった。制服を着て赤いマフラーを巻いた子が自分を見て、呼んで、掴む。
 「お前、一体何なんだ?」
 「私の口から言うのもちょっとあれなんだけど・・・・トッケビ新婦なの」
 「何?」
 「わたしお化けが見えるのは知ってるでしょう?わたしが生まれた時からこんなのを持っているんだけど。たぶんこのためにお化けたちがそう言うんだと思う。わたしがトッケビ新婦だって」
マフラーを解いて髪の毛を払いのけウンタクが自分の首を見せた。青い烙印。トッケビの模様がはっきりとして鮮明だった。トッケビはようやくずいぶん前のことを思い出した。死ななければならない女性を救った。女性があまりにも切実にお腹の中の子供を助けてくれと言ったために、その日トッケビは気の弱い守護神になってやった。その子が自分を呼ぶことができた理由も見当がついた。しかし依然として混乱していた。
トッケビ新婦。とても長い間待っていた存在だった。トッケビ新婦だけができることがあるのだから。新婦が現れてその仕事をしてくれるのをどれだけ願ってきたことか。
 「証明してみろ」
 「どうやって?パタパタ飛ぶ?じゃなきゃ、ほうきに変身する?」
 「そんなことではなく、言ってみろ」
 「わたし今ものすごく真面目なんだけど」
 「俺も。俺に見えるものを言ってみろ」
 ぷぷっと笑っていた顔にはもう笑みが消えていた。真面目だというのは本当のようだが、見えるものを言ってみろという言葉はちょっといたずらのようでもあった。ウンタクが言った言葉だから。けれども深刻になる目つきが再び語っていた。見えるものを全部言ってみろと。何かを見なければならないのか。ウンタクはゆっくり様子をうかがってみた。
 「背が高いでしょ?」
 「他に」
 「服が高そうに見えます」
 「他に」
 「30代中盤?まさか「ハンサム」とか期待してるんじゃないでしょ?」
しばらく重苦しかった空気が軽くなった。トッケビが低い声で言った。
 「俺が期待する答えはお前が持っていなければ。俺に見えるものがそれで全てなら、お前はトッケビ新婦ではない」
本当に?本当に見えるものをすべて言えということなのか。ウンタクは目をぱちくりさせた。何も知らないように目だけをぱちくりさせるウンタクにトッケビは長い溜息をついた。少し緊張して期待していたのにもう今は腹が立ったような気分だった。
 「トッケビにお前は使い道がないんだ。お化けが見えるのはよくないが、どっちにしろおまけで生きる命なのだから甘受して生きろ。お前はただ原則を破り、人間の生死に関与して生まれた副産物のようなものだからな」
トッケビ新婦でないと判断するやいなや溢れ出した憎い言葉にウンタクはカッとなって言った。トッケビ新婦じゃないならそうなんでしょう。おまけで生きる命だなんて。あまりにも言い過ぎだ。どんなに貧しくても人生は人生なのに。他人の人生を頭ごなしに副産物扱いにして。誰もこんな風に生きたいと思って生きているわけじゃない。唇をぎゅっと噛んだ。
 「わたしが甘受したくないと言ったら?」
 「もともとの寿命で死ぬ方法もある」
結局ウンタクの目に涙が滲んだ。泣くまいとしたが、見下ろす男の目線があまりにも無感覚だった。初めて会った時は、つまり視線を奪われるぐらいかっこいいと思った。妙な雰囲気があった。いつもどこか曇った天気のような表情をしていたが、軽く笑う時には、雲の隙間に隠れていたお日様が昇るような暖かい感じだと思った。しかし今、男はあまりにも冷たかった。
 「わ~ほんとになんてこと・・・わかったわよ。さっきした質問をもう一度するから。おじさん、トッケビでしょ?」
 「違う」
 「違うの?じゃあ何なの?一体何の存在で、わたしに価値があるないっておじさんが判断するわけ?」
 「お前の貧しい状況を10ウォン程度心配する人。」
お化けが見えても耐えることができたのは、真っ暗なトンネルを一人歩くようなことも耐えてみるかと思ったのは、トッケビ新婦だから、いつかトッケビ新婦と言って幸せに生きることができるのではないかと思う希望からだった。でも違うと言う。使い道がないと言う。つじつまがひとつも合わなかった。わたしがトッケビ新婦なのか違うのか。
自分を見上げるウンタクの表情が悲しく見えてトッケビは仕方なく表情をほどいた。むやみにトッケビ新婦だと言ったのはけしからんが、この子に腹を立てることではなかった。
 「現実の中で生きろ。噂の中で生きずに。お前はトッケビ新婦ではないのだから」
振り返りドアノブを回した。ドアを開けて出ると明るい光が現れた。違う世界だった。トッケビのドアは行こうと思う世界に開いた。
 「あの、まだ話が終わってな・・いんだけど・・」
ドアの外に出てしまったトッケビを掴まえようとウンタクがドアを開き、ついて出てきた。外は外だが何か変だった。初めて見る所だった。

(つづく)


● COMMENT ●

思い出せば・・・3話ってこんなにいろんなものがつまった回だったのですね~~~
トッケビと死神、トッケビとウンタク、いろんな出会いとからみの回ーーー
そしてあのドアの世界やろうそくの召喚などなど・・・・

私の友達で3話の途中で止まってしまった・・・という人が2人もいるのです。
これ、3話の最後まで見たら、いっきにドラマの世界が広がるのになぁと、今から薦めてみます。

私の直訳字幕では、奥の部屋のおじさん、角の病院でした(笑)
キム・ゴウンちゃんのたたみかけるような早口セリフがウンタクに合っているなぁと思った回でした。
そばの花言葉って「恋人」?? そういう創作や、あの風景がガラッと変わる田舎のそば畑をモチーフに使ったり、うまいなぁと思います。
しばらく500万、500万とねだるウンタクも可愛かったです♪

このみさん

ひとつお詫びが。翻訳の1、2、3はドラマの話数とはリンクしていないんですよ~(T_T)
上巻が13勝まであって、(ドラマでは1~7話分)小説の章に私が勝手に番号を振っているんです。
それで、この回はまだ1話分です・・(^^ゞ

小説の方は1、2話をかなり分量を多くして構成されているみたいですね。
物語の初めなのでそうなのかもしれません。

ところで、クッパン サムチョンがそのまま「奥の部屋のおじさん」ですか?
あらら~それはまた(笑)
ある意味わかりやすいですが。
はて?となりますすね。
奥の部屋はその家の中では序列が低い人の部屋でもあるらしいです。

蕎麦の花畑のシーンは幻想的でステキでした☆
花言葉、日本と韓国では違うんですかね。
韓国では「恋人」「愛の約束」とありました(^_-)-☆

あ、3話で止まってしまったお友達にはぜひ続きを見てくださいと
お伝えくださいませ。あまりにももったいないですから(*^_^*)



あはは~そうでしたか(笑)>>話数
私は最初のうち、かなりまとめ見したので、1話なのか2話なのか全然整理できてなかったのです。
余韻にひたり終えたら、また最初から見るので、SAMTAさん小説訳を思い出しながら、ゆっくりと見直すことができそうです。

大変失礼いたしました~(^^ゞ

ああ、全部訳し終えるのにどれだけかかるかわかりませんが
その時はワードでまとめてお送りします^^;;


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プロフィール

SAMTA

Author:SAMTA
横浜在住
韓国ドラマ・映画好き
韓国俳優キム・ミョンミンさんの
カンマエに嵌ったのが2009年5月。
それからミョンミン道一筋です☆
韓国語、韓国料理など韓国文化全般に
興味があります。☆

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